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【Google Workspace利活用】GWとMSへの生成AI統合の違い

1 はじめに

先日、Google WorkspaceとMicrosoft 365の両方で、大きな変更が発表されました。
どちらも生成AIが標準装備となったのです。
この発表を聞いたとき、クラウドサービスの新時代の幕開けを感じました。

2 両社の発表内容

Google Workspaceでは、2025年1月15日からビジネスプラン向けにGeminiが標準搭載されることになりました。

一方、Microsoft 365では個人向けプランにCopilotが統合され、料金改定と共に標準機能として利用できるようになりました。

ほぼ同時に同じような発表をするあたり、両者が競い合っているなと感じるのですが、表面だけ見ると、同じように感じてしまう方もみえるかもしれません。

しかし、両者には個人的には重大な差異があると考えているので、今回はこれをご紹介します。

3 重要な違いは「対象ユーザー」

ここで注目すべきは、両社のアプローチの違いです。

Google Workspaceは、ビジネスユーザー向けにGeminiを標準搭載し、エンタープライズグレードのデータ保護を提供します。
つまり、業務での利用を前提とした、安全な環境が整備されているわけです。

https://workspace.google.com/intl/ja/solutions/ai/#security

一方、Microsoft 365個人向けプランでのCopilot統合は、あくまで個人利用を想定したものです。
ビジネス向けプランでは、依然としてCopilotの利用には追加契約が必要です。

https://www.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365/buy/compare-all-microsoft-365-products
一般法人向けのMicrosoft365の場合は、追加契約が必要
https://www.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365/business/compare-all-microsoft-365-business-products

4 ビジネス利用における注意点

特に個人事業主の方や小規模事業者の中には、Microsoft 365 の個人版を利用している方もいるのではないかと想像しています。
こういう方が、Copilotが標準装備となったことを契機にそのまま使ってしまう、、、というのはいかにもありそうだなと思います。

しかし、それは実はよろしくないのではないか?ということを注意喚起しておいた方が良いのではないか、と思っています。

上記3で確認したのは、対象の違いでしたが、対象が違うことで違いが生じるのは、利用規約です。
利用規約が違うということは、契約内容が違うということです。

どのように契約内容が違ってくるのか、概観してみましょう。

⑴ Google Workspaceに統合されたGemini

こちらを見ると、次のことが書かれています。

  • Gemini とのやり取りが組織外に開示されることはありません。Gemini は、お客様の許可なくコンテンツを組織外に共有することはありません。

  • 既存の Google Workspace の保護は自動的に適用されます。Gemini は、他の Google Workspace サービスと同じエンタープライズ グレードのセキュリティを提供します。

  • お客様のコンテンツが他のお客様のために使用されることはありません。 お客様のコンテンツは、人間によってレビューされることも、許可なくお客様のドメイン外で生成 AI モデルのトレーニングに使用されることもありません。

さらに詳細を知りたい方は、以下のリンク先もご覧いただくと良いでしょう。

⑵ Microsoft 365 個人版に統合されたCopilot

https://www.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365/p/microsoft-365-personal/cfq7ttc0k5bc

どのような規約が適用されるのかを確認したいので、製品のWebページに行きますが、残念ながら、明確に書かれていません。

仕方がないので、Microsoft 365の個人版に適用されるサービス規約を確認してみます。

サービス規約の対象となるサービスの中に、Microsoft 365の個人版に含まれるアプリとサービス、Microsoft Copilotの記載がありました。

https://www.microsoft.com/ja-jp/servicesagreement#serviceslist

サービス規約が適用されるのであれば、私が以前書いたこちらのnoteが参考になるはずです。

Microsoftが、あなたの入力したデータ等をAIのトレーニングも含め利用できると解釈することができます。

また、CopilotについてのWebページも確認してみると、次のような違いがわかります。

https://www.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365/copilot#Howitworks

個人使用向けの紹介:情報の利用についての記載なし
https://www.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365/copilot#tabs-pill-bar-ocb9d49_tab2
一般法人向けの紹介:自分が設定したセキュリティ等のポリシーがCopilotにも適用されると明記
https://www.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365/copilot#tabs-pill-bar-ocb9d49_tab0

明らかに個人版とビジネス版とで記載を変えています。

明記されていないように感じられるものの、個人版のMicrosoft 365 のCopilotに入力したデータ等はMicrosoft側に利用されると考えておくのが無難だと考えます。

そうだとすると、個人版のMicrosoft 365 のCopilotビジネス利用には適さないと私は考えます。
(もとより、Microsoft自身も「個人版」として提供しているので、ビジネス利用を想定していないので、ある意味当たり前ですが。)

5 同じようで違う生成AI統合の話

ビジネスでの利用を考えた場合、Google Workspaceの今回の変更は、非常に価値のある進化だと考えています。
若干の値上がりはあるものの、追加契約なしで、セキュアな環境でAI機能を活用できるようになったからです。

一方で、Microsoft 365の個人向けプランのCopilotは、確かに魅力的な機能ではありますが、ビジネスでの利用には適していないと考えます。
重要な業務データをCopilotで取り扱う場合は、適切なビジネスプランを選択することをお勧めします。

クラウドサービスの選択は、単なる機能比較だけでなく、セキュリティやコンプライアンスの観点からも慎重に検討する必要があります。

ビジネスで生成AIを利用したい方にとって、今回の Google Workspaceの変更は非常にありがたいものになるのではないでしょうか。

追記250201:
Microsoft 365 個人版に標準装備となったCopilotは、利用の上限があります。
Google Workspaceは、利用上限の記載は見かけません。
この点も差がついていますね。

Microsoft 365 個人版に標準装備となったCopilotのクレジットの記載

*このnote生成AIの支援を受けて作成しました。


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