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連作SES営業短編 第二話 容姿端麗
SES営業は基本なんでもやる。その日の午後一は採用面接だった。
面接用のおしゃれシェアオフィスに候補者が来る。
顔は整っているけど髪型とか服装が致命的にださい。
それが彼女の第一印象だった。
採用基準はひとつだけ。
稼働して金になるかどうか。
その場で内定を出して、彼女はそれを受けた。
入社日を決めた。2週間後。
それまでに現場を決めて、入社日=入場日にするのがいつもの俺のミッションだ。
容姿端麗案件の面談は対面だった。
コロナ禍に入って面談はすべてリモートになった。俺自身数年振りの対面面談だ。
過去にWEB面談で修正詐欺にあったのかもしれない。
待ち合わせの駅改札前にはスーツの男女が2組。男は皆、スキルシートの入ったクリアファイルを持ってる。
2組の女の顔を見て、勝ったと思った。
数ヶ月後、現場近くのカフェで彼女と会った。定期的にヒアリングをして不安や愚痴を聞く。これも俺の仕事。
久しぶりの彼女はなんだか垢抜けていて、現場でPMOを目指さないかと言われていると嬉しそうに言った。
テーブルの上には付箋が付いたPMBOKの本があった。
遠くない将来、彼女は退職を申し出るだろう。上位会社に引き抜かれる。
その時は精一杯ごねて金に変えるだけだ。
それでいいやと、俺は思った。
おまけの用語解説
容姿端麗案件:
容姿の良いヒトを採用しますっていうSES業界におけるゲスの極み案件のひとつ。
今回は案件を指しているが容姿端麗要員というパターンもある。
しかもそれを言っているのが女性営業だったりして、フェミニストの人はちゃんと働いて欲しい。