見出し画像

NTTと岡山大学、無線アナログ回路の小型化を目指し『音電融合』技術を開発

この記事は、NTTと岡山大学が共同で進めている「音電融合」に関する技術開発の内容を取り上げています。従来の電子・光回路と異なり、超音波を信号媒体として用いることで、無線通信に使用されるアナログ回路の小型化を目指しています。以下がポイントです。

概要

  1. 音電融合の狙い

    • 超音波を媒体とした回路(音回路)を電子回路に融合する「音電融合」の技術を開発し、無線アナログ回路のさらなる小型化と高効率化を目指しています。

    • スマートフォン等のRFフロントエンド(無線通信回路)で使用される複数の超音波フィルターを、単一素子に集積する技術を構築中。

  2. 超音波の特性

    • 超音波の波長は数μmと短く、損失が少ないため、周波数フィルターとしての適性が高い。また、集積化により、回路面積の削減が期待されます。

  3. フォノニック結晶とトポロジカル構造の利用

    • NTTの研究では、音波を反射や漏洩させずに曲げるために「トポロジカルフォノニック結晶」を利用し、特定の方向に音を伝搬させる技術を開発。これにより、従来の音回路の制約を克服。

  4. 今後の展望

    • 3年以内に超音波フィルターの集積化を検証し、さらなる小型化と周波数選択性の向上を目指します。また、音の導波路やリング共振器などの技術を駆使し、無線通信端末の超小型化・低消費電力化を実現する方向で研究が進められています。

ポイント

  • 技術革新の意義:音波を使用することで、高精度な周波数選択が可能であり、超音波フィルターを活用することで無線通信回路の大幅な小型化が期待されます。

  • トポロジカルフォノニック結晶:導波路を曲げても音が漏洩しない構造が開発され、音電融合による新たな回路設計が可能に。

  • 応用範囲の拡大:全音響RF信号プロセッサーの実現により、スマートフォンやIoT端末などの通信デバイスの小型化、低消費電力化が期待され、次世代の無線技術としての可能性が広がっています。

この技術は、電子と光、そして音の回路を融合させた新しいエレクトロニクスの方向性を示しており、特に無線通信分野での応用が期待されています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?