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乱高下するリチウム価格、EV需要鈍化と日本商社の戦略

リチウムの価格推移

記事の概要とポイント

概要

リチウム価格が過去5年間で大幅に乱高下しました。2022年に過去最高値を記録したリチウム価格は、2023年から急落し、現在ではピーク時の8分の1にまで下落しています。その背景には、電気自動車(EV)需要の鈍化や市場の供給過剰があります。これにより、リチウム関連の川上企業は生産縮小や採掘休止を余儀なくされる一方で、日本の商社は中長期的視点でリチウム資源への投資を進めています。

ポイント

  1. リチウム価格の変動

    • 2022年に急上昇後、2023年から急落し、現在はピーク時の8分の1まで下落。

    • 背景にはEV需要の減速と市場の供給過剰。

  2. EV市場の影響

    • アメリカやヨーロッパ、中国でEV販売の伸び率が鈍化。

    • 中国政府の補助金終了や市場競争激化が要因。

  3. リチウム市場の特性

    • 相対取引が多く、価格が変動しやすい。

    • EV需要の見通しに大きく左右される。

  4. 川上企業への影響

    • アメリカや中国のリチウム関連企業が生産縮小や調整を実施。

    • 日本の商社は中長期的視点で投資を継続。

  5. 日本商社の戦略

    • 三菱商事と三井物産がカナダやブラジルでリチウム開発プロジェクトに出資。

    • 安定供給を目指し中長期の契約を締結。


今後の株価への影響

リチウム関連銘柄

  • リチウム価格の急落が、関連銘柄にマイナスの影響を与える可能性があります。

  • 川上企業(採掘・加工企業)の株価は低迷が続くリスクがある一方で、安価なリチウムを活用できる企業にとっては恩恵も。

リチウム採掘企業:

  • アルベマール(Albemarle Corporation):アメリカに本社を置く化学企業で、世界最大級のリチウム生産者の一つです。

  • 天斉リチウム(Tianqi Lithium):中国の大手リチウム企業で、リチウム鉱山の採掘から製品化までを手掛けています。

  • SQM(Sociedad Química y Minera de Chile):チリに拠点を置く企業で、リチウムの主要生産者として知られています。

  • ピルバラ・ミネラルズ(Pilbara Minerals):オーストラリアのリチウム採掘企業で、世界的なリチウム供給者の一つです。

  • ガンフォン・リチウム(Ganfeng Lithium):中国の大手リチウム企業で、採掘から加工まで幅広く事業を展開しています。

リチウム加工企業:

  • 鋼鈑商事株式会社:日本の企業で、全固体電池用のリチウム金属箔や複合材を提供しています。

  • 株式会社高純度化学研究所:リチウム金属の製造を行う日本の企業です。

  • 本荘ケミカル株式会社:リチウム関連製品を手掛ける日本の企業です。

  • 有限会社クリスタルベース:リチウム単結晶の製造を行っています。

  • 富士フイルム和光純薬株式会社:リチウムの粒状製品を提供しています。

EV関連株

  • EV市場の伸び率鈍化は、バッテリー関連やEVメーカーの収益に影響を及ぼす可能性が高い。

  • 特に中国市場の競争激化や補助金終了の影響を受ける企業に注視が必要。

日本商社株

  • 中長期的な視点でリチウム開発に投資する三菱商事や三井物産は、安定的な供給確保によりポジティブな評価を受ける可能性がある。

  • ただし、短期的には価格低迷が収益に影響を与える可能性も。

市場全体への影響

  • リチウム価格の乱高下は、市場全体の不安定要因となる可能性があります。

  • EV関連セクターの見通しが曇ることで、投資家心理にネガティブな影響を与え、株式市場全体の調整が進む可能性。


結論

リチウム価格の乱高下は、EV市場の成長鈍化と資源市場の供給過剰によるものであり、関連銘柄や市場全体に波及する影響が予想されます。ただし、日本の商社による中長期的な投資戦略は、安定供給を確保する動きとして評価される可能性があります。投資家としては、EV市場の動向やリチウム関連企業の戦略変更に注目し、特に商社株の中長期的な成長性に期待を寄せるべきです。


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