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TSMC、2nm世代の圧倒的進化! 半導体業界の競争激化と未来の展望

概要

台湾積体電路製造(TSMC)は、国際学会「IEDM 2024」にて 2nm世代の半導体技術 に関する論文を発表し、2025年下期(7〜12月)に量産開始 予定であることを明らかにした。
2nm世代では FinFET から GAA(Gate-All-Around)ナノシート へ移行し、動作速度が3nm比で15%向上、消費電力が35%削減 されるとされている。
また、技術の指標となる SRAM部の歩留まりが最大90%と高い ことも報告された。

TSMCの発表は、 インテルに代わり半導体微細化技術を牽引する役割 を確立したことを示し、Samsungを含む競争相手との差をさらに広げるものと考えられる。


技術のポイント

  1. GAAナノシート導入

    • 3nm世代までの FinFET から GAAナノシート に移行

    • 動作速度が 15%向上、消費電力が 35%低減

    • トランジスタ密度が3nm比で15%増加

  2. SRAMの改善と歩留まりの高さ

    • 256MビットSRAMマクロの歩留まりが最大90%

    • 冗長回路を使えば100%近く達成可能

    • ただし、SRAMセル面積の縮小が停滞傾向にあり、2nm世代では 3nmより大きくなった可能性

  3. 裏面電源供給(BSPDN)の導入は次世代へ

    • 2nm世代では BSPDNは採用せず

    • 次の「A16」世代で導入予定

  4. 次世代技術CFETの進展

    • GAAの次世代技術であるCFETの試作品発表

    • IntelやRapidusも技術開発を発表

    • 量産は2029年の1nm世代 を想定


今後の半導体業界への影響

① TSMCの技術的リード強化

  • TSMCが最先端の半導体製造をリード

    • 10nm世代までは Intelが主導 していたが、5nm世代以降はTSMCが牽引

    • 2nm世代でも Intelの技術発表はなく、TSMCが先行

  • GAA技術の採用でSamsungとの差別化

    • Samsungは3nm世代でGAAを導入したが、歩留まりの低さが課題

    • TSMCは2nmで高い歩留まりを実現し、市場で優位性を確保

② AI・HPC向け半導体の性能向上

  • 2nm世代の技術はAI・HPC(高性能コンピューティング)に最適

    • 動作速度の向上 & 消費電力削減 により、AIチップの高性能化が可能

    • NVIDIA・AMD・Appleなど、AI向けプロセッサの需要増加が見込まれる

③ 半導体市場の競争激化

  • TSMC vs. Intel vs. Samsungの競争がさらに激化

    • Intelは GAA技術の微細化 を発表したが、TSMCとの差は大きい

    • Samsungは歩留まりの改善が課題

  • RapidusもIBMと連携し開発を発表

    • 日本発の先端ロジック半導体製造の成否が問われる

    • 2027年量産予定の「1.4nm」プロセスが市場で評価されるかが鍵

④ 投資動向と市場の影響

  • TSMCの技術進展により、半導体セクターの投資が加速

    • NVIDIA、AMD、Apple、Qualcommなどの半導体設計企業がTSMCの2nmプロセスを活用

    • IntelやSamsungも先端技術の開発競争を加速させる可能性

  • Rapidusの台頭と政府支援

    • 日本政府の支援を受けたRapidusが2027年の量産を目指す

    • TSMCに対抗する技術力を確保できるかが今後の焦点


結論

TSMCが2nm世代技術で 高い歩留まりと性能向上を実現 したことは、半導体業界全体に大きな影響を与える。
今後のポイントは、

  • TSMCがIntelやSamsungとの競争をどう優位に進めるか

  • AI・HPC向けの需要増加にどう対応するか

  • Rapidusが2027年にどの程度TSMCに対抗できるか

となる。
短期的には TSMC関連の企業(NVIDIA・AMDなど)が恩恵を受ける 可能性が高いが、長期的には IntelやRapidusの動向にも注視 する必要がある。


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