上場企業、4年連続最高益の見通し ─ 金融業の好調と製造業の苦戦
概要とポイント
概要
2025年3月期の上場企業純利益が前期比2%増加する見込みで、4年連続で最高益となる。これは、特に金融業の業績好調による上方修正が全体の業績を押し上げた結果である。一方で、製造業は不振が続き、自動車や鉄鋼業界では大幅な減益が見込まれている。地政学的リスクや為替相場の変動が先行きへの不透明感を増しているが、企業の経営努力と外部環境次第ではさらなる上振れの可能性も示唆されている。
ポイント
金融業の業績好調
金利上昇による利ざや改善や政策保有株の売却が金融業の利益を押し上げた。特に三菱UFJフィナンシャル・グループは純利益予想を17%上方修正し、過去最高益を記録する見込み。
SOMPOホールディングスも政策保有株の売却益により大幅な利益上方修正。
非製造業の堅調な推移
非製造業の純利益は前期比10%増加。海運業では運賃の上昇が、建設業では再開発需要が業績を支えている。
清水建設のように利益が3.5倍に拡大する企業も。
製造業の苦戦
製造業全体では5%減益の見通し。特に自動車業界では中国や米国市場の採算悪化が響き、26%の減益となる見込み。
鉄鋼業界も31%減益予想。中国の余剰鋼材が周辺地域に流れ込み、採算悪化を招いている。
先行きの不透明感
米国経済政策への懸念。特にトランプ新政権の輸入関税引き上げの可能性が輸出企業に影響を与えると予想される。
中国市場のリスクも引き続き企業業績に影響。
業績上振れの可能性
為替相場が円安で推移すれば、企業の収益を支える可能性がある。
株価への影響
上昇の可能性: 金融業や非製造業の好調な業績が、日本株全体にポジティブな影響を与える可能性が高い。特に再開発需要が堅調な建設業や、運賃上昇の恩恵を受ける海運業に注目。
下落のリスク: 製造業、とりわけ自動車や鉄鋼業界の不振が製造業全体の株価にネガティブな影響を与える懸念がある。
不確定要因: 米中の地政学的リスクや新政権の経済政策が株価に与える影響は不透明だが、為替相場や経営努力による業績改善が期待される。
為替相場の今後について
為替が円安基調で推移すれば、輸出企業の収益を改善し、株価全体を押し上げる可能性がある。
一方、地政学的リスクや米国政策の変動次第では、円高に振れる可能性もあり、輸出企業への圧力となるリスクが残る。
今後の注目点として、トランプ新政権の政策や米中の経済状況が為替相場の大きな決定要因となる。