銘柄評価:キッコーマン(2801) 90点
1) 会社の概況と特徴
キッコーマン(2801)は、1917年に設立され、1949年に上場したしょうゆ最大手の企業です。国内シェアは約3割を誇り、北米市場での成長が著しいです。また、デルモンテの加工食品のアジア商標権も所有しています。事業は国内食料品製造・販売、海外食料品製造・販売、海外食料品卸売など多岐にわたり、特に海外売上比率が77%と高く、グローバルな展開が進んでいます。物流の効率化や値上げ効果を背景に、業績は堅調に推移しています。
2) 株購入における総合評価
キッコーマンは、安定した業績と高い成長性を持つ企業として魅力的です。特に北米市場での事業展開が収益の柱となっており、しょうゆや調味料の需要増加が見込まれます。ROEは12.5%、自己資本比率は73.6%と財務状況も健全です。配当性向も高く、株主還元を重視する姿勢が評価されます。総じて、長期的な投資先として適しており、特に安定した配当を期待できる点が魅力です。
3) 売上と利益、成長性
キッコーマンの売上高は、2020年の4,686億円から2024年には6,608億円に増加しました。営業利益も同様に、2020年の398億円から2024年には667億円へと拡大しています。2025年の予測では、売上高6,850億円、営業利益708億円と成長が見込まれます。特に欧州やアジア・豪州でのしょうゆ販売の拡大が寄与しています。
4) 株価と時価総額、総資産
キッコーマンの時価総額は1兆7,997億円で、食品業界内で第3位に位置します。2024年1月から5月の株価は、高値が10,255円、安値が1,779.5円と変動しています。総資産は6,678億円、自己資本比率は73.6%と健全な財務状況を維持しています。
5) キャシュフロー、現金
2024年度の営業キャッシュフローは808億円で、投資キャッシュフローは-429億円、財務キャッシュフローは-314億円です。現金等の残高は1,191億円と十分な流動性を持っています。
6) 配当性向
キッコーマンは配当を年2回行っており、2024年度は1株あたり70円の配当が行われました。2025年度の予想配当は21~22円です。配当性向が高く、安定した配当が期待されます。
7) 採点と解説
業績と財務(20点):18点
安定した収益基盤と高いROE、自己資本比率が評価されますが、海外市場への依存度が高い点はリスク要因です。株価の安定性(20点):16点
株価の変動が大きく、安定性にはやや不安が残ります。成長性(20点):19点
海外市場での事業拡大が成長を牽引しており、今後の成長性が期待されます。業界地位と競争力(20点):18点
国内外での強固な地位と競争力を持つが、市場の競争激化に対する対策が必要です。配当性向と株主還元(20点):19点
高い配当性向と安定した配当が評価でき、株主還元にも積極的です。
8) 総合評価:90点
キッコーマンは、高い成長性と安定した収益基盤を持つ企業です。特に海外市場での成長が今後の業績を支える要因となり、高い配当性向も魅力的です。長期的な視点での投資に適しており、安定した配当を期待できる点も評価ポイントです。