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日産、90%の営業利益減で苦境に直面 市場変化と経営の課題が浮き彫りに

概要とポイント

日産自動車の2024年4~9月期の連結決算では、売上高がわずかに減少したものの、営業利益が90%減と大幅に悪化しました。日産社長兼CEOの内田誠氏は、この業績悪化の背景として、厳しい市場環境と自社固有の問題を指摘しています。

  1. 市場環境の変化

    • 中国市場の価格競争:中国のノンプレミアム市場が縮小し、競争が激化。

    • 米国市場での対応不足:HEVやPHEVの需要が高まっている中、対応する車種の不足。

  2. 日産固有の問題

    • 販売目標と実績のギャップ:販売計画が高すぎて達成できず。

    • 収益構造の悪化:販売台数減少と固定費増加、モデルミックスの悪化、在庫削減やインセンティブ増加が収益を圧迫。

    • 商品ラインナップの遅れ:米国市場での顧客ニーズにタイムリーに対応できていない。

  3. 中期計画「The Arc」の見直しとターンアラウンド戦略
    日産は、業績回復のため事業構造を再構築し、将来的な市場変化に柔軟に対応できるようにする「ターンアラウンド」の取り組みを発表しました。

  4. 組織体制の変更
    販売と収益に責任を持つチーフ・パフォーマンス・オフィサー(CPO)の新設や、地域拠点と本社の役割の明確化を進め、スリムで効率的な組織を目指します。


日産の経営の問題点

  1. 過大な販売目標設定
    日産は市場環境の変化を過小評価し、達成が難しい高い目標を掲げ続けている点が問題です。計画が現実的でないとリソースの無駄使いや組織のモチベーション低下につながります。

  2. 顧客ニーズへの対応遅れ
    特に米国市場でのハイブリッド車やプラグインハイブリッド車の需要増に対応できておらず、競争力を失っています。市場のトレンドに対応するための製品開発スピードが遅れていることが大きな課題です。

  3. 収益悪化とコスト管理の問題
    販売台数の減少と固定費の増加、インセンティブの増加などが収益を圧迫しています。原材料コストや取引先への補償費用も負担となり、コスト構造を見直す必要があります。

  4. 市場環境への柔軟性不足
    内部のプロセスや組織体制が柔軟でなく、市場変化への迅速な対応が難しい状態です。このため、ターンアラウンド戦略による体制見直しが急務です。


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