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ASMLの予想外の受注減少が引き起こす半導体株価の急落と今後の見通し

概要:

オランダの半導体製造装置メーカー、ASMLホールディングスは、2024年7月から9月期の受注額がアナリストの予想を大きく下回り、株価が急落しました。ASMLは2025年の業績見通しも下方修正し、同社の製品に対する需要の減少が背景にあるとされています。この発表により、ASMLの株価は一時取引停止されるほど大幅に下落し、他の半導体関連銘柄にも売りが波及しました。

ポイント:

  1. 予想を大幅に下回る受注額:

    • ASMLが発表した7-9月期の受注額は26億ユーロで、ブルームバーグが調査したアナリスト予想の53.9億ユーロを大きく下回りました。これは半導体業界の冷え込みにより、ASMLの製造装置に対する需要が抑制された結果です。

  2. 株価の大幅下落:

    • この発表を受けて、ASMLの株価はアムステルダム市場で16%安となり、1998年6月以来の大幅な下落を記録しました。他の半導体関連銘柄にも影響が広がり、英アーム・ホールディングス米エヌビディアの株価も急落しました。

  3. 業績見通しの下方修正:

    • ASMLは来年の売上高見通しを従来の300億~400億ユーロから300億~350億ユーロに引き下げ、利益率の見通しも従来の54~56%から51~53%に修正しました。これは主に極端紫外線(EUV)装置の需要遅れに起因しています。

  4. 中国市場への依存:

    • ASMLの売上高の47%は中国市場からのものであり、中国は依然として同社にとって最大の市場です。しかし、米国が中国事業への制限を強化するとの見通しが嫌気され、株価に対してもさらなる下押し圧力となっています。

  5. 今後の見通し:

    • CEOのクリストフ・フーケ氏は、半導体業界の回復が予想よりも遅れており、この状況が2025年まで続く可能性が高いと述べ、顧客は引き続き慎重な姿勢を示しています。

株価への影響:

  • ASMLの株価は急落し、関連する半導体企業にも売りが波及。今後の回復が予想よりも緩やかであり、業界全体への影響が懸念されています。



このグラフは、ASMLの2020年第1四半期(Q1)から2024年第3四半期(Q3)までの受注額の推移を示しています。縦軸はユーロ建てで、最大10億ユーロ(€10B)までの受注額を表しています。

主なポイント:

  1. 受注額のピーク

    • 2021年第1四半期(Q1)から2022年第3四半期(Q3)にかけて受注額が急激に増加し、特に2021年第1四半期と2022年第3四半期にピークを迎えています。これは、半導体業界全体が好調だった時期であり、ASMLの製造装置に対する需要が非常に高かったことを示しています。

  2. 減少傾向

    • 2022年第4四半期以降、受注額は減少傾向にあり、2023年第1四半期(Q1)から特に減少が顕著です。これは、半導体業界の需要低迷がASMLの受注に大きな影響を与えていることを示しています。

  3. 2024年第3四半期の急激な低下

    • 特に2024年第3四半期(Q3)には受注額がさらに大幅に低下しており、予想の約半分に留まっているとされています。グラフの青いバーはこの急激な減少を示しており、ASMLの受注額は過去数年間で最低水準に達しています。

  4. 半導体業界全体の低迷

    • このデータは、半導体製造装置に対する需要が業界全体の冷え込みにより減少していることを強調しています。ASMLは、半導体製造装置のリーダー的な企業であるため、業界の低迷が同社の受注に直接的な影響を及ぼしていることがわかります。

結論:

グラフからは、ASMLの受注額が2021年から2022年にかけて非常に好調だったものの、2023年以降の半導体業界の冷え込みが受注に大きな打撃を与え、特に2024年第3四半期には著しい減少が見られることが確認できます。


ASML 第3四半期2024年の財務結果

オランダの半導体製造装置メーカーASMLホールディングスは、2024年7月から9月の第3四半期における受注額が26億ユーロ(約4230億円)となり、アナリストの予想平均である53億9000万ユーロの約半分にとどまったと発表しました。

この受注減少は、半導体業界全体の需要低迷が影響しており、ASMLの製造装置に対する需要が抑制されたことが原因とされています。
さらに、ASMLは2025年の業績予想を下方修正し、純売上高を従来の300億から400億ユーロと見込んでいたものを、300億から350億ユーロに引き下げました。
また、粗利益率の予想も約54%から56%としていたものを、51%から53%に修正しました。
この発表を受け、ASMLの株価は急落し、アムステルダム市場で16%安となり、1998年6月12日以来の大幅な下落を記録しました。

また、他の半導体関連銘柄にも影響が広がり、英アーム・ホールディングスの米国預託証券(ADR)は一時9.2%安、米エヌビディアの株価は6.8%下落しました。
ASMLのクリストフ・フーケ最高経営責任者(CEO)は、「従来見込まれたよりも、回復は緩やかな様子だ。これが2025年も続く見通しで、顧客は慎重になっている」と述べ、半導体市場の回復が予想よりも遅れる可能性を示唆しました。

https://www.reuters.com/markets/us/chip-stocks-fall-asml-forecast-cut-potential-us-ai-chip-export-cap-2024-10-15/?utm_source=chatgpt.com

https://www.marketwatch.com/story/asml-stock-tumbles-after-warning-of-slower-recovery-7ebf427c?utm_source=chatgpt.com


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