VMwareとブロードコムに対する独禁法違反調査――市場支配を背景にした不当取引の疑い
この記事は、日本の公正取引委員会(公取委)が、VMwareおよびその親会社であるブロードコムに対して、独占禁止法違反の疑いで調査を行っていることを伝えています。VMwareは、日本国内のサーバー仮想化ソフトの市場で約8割のシェアを占めており、この市場支配力を背景に、クラウド事業者に対して不当な取引条件を課しているとされています。
主なポイント
調査の背景:公取委は、VMwareが市場で支配的な地位を利用して不公正なライセンス条件を強いているとして、立ち入り検査を実施しました。2023年11月にVMwareを買収したブロードコムも、この違反行為を主導した可能性があるとして調査対象になっています。
市場での支配力:VMwareは、日本国内のサーバー仮想化ソフト市場で約8割のシェアを持ち、この技術はクラウドサービスの運用に不可欠です。
疑われる不正行為:VMwareは、サーバー仮想化ソフトのライセンス条件を変更し、必要のないストレージやネットワークの仮想化ソフトを含むパッケージを不当に購入させた疑いがあります。富士通やIIJなどのクラウド事業者がこの変更の通知を受けました。
クラウド事業者への影響:VMwareのライセンス条件の変更により、クラウド事業者はサービス提供の遅延リスクやシステム再構築のコストが発生するため、実質的な値上げが負担となっています。IIJは、これにより2025年3月期の営業利益が11億円減少する見込みです。
独占禁止法違反の可能性:公取委は、VMwareの行為が「抱き合わせ販売」や「拘束条件付き取引」、「優越的地位の乱用」に該当する可能性があるとし、調査を進めています。今後、ブロードコムにも報告命令を出す予定です。
グローバルな懸念:このライセンス条件の変更は、欧州や中国、韓国でも実施されており、各国の競争当局が関心を寄せています。公取委が初めての立ち入り検査を行ったことが注目されています。
業界からの批判:クラウド業界団体CISPEは、ブロードコムがVMwareの優位性を利用して、不当なライセンス条件や高額な使用料を求めているとして批判しています。従来の12倍の料金を要求された顧客もいるとの報告があります。
この記事は、大手IT企業が市場支配力を利用して顧客に不当な条件を強いる行為が、日本および世界の規制当局によって調査されていることを強調しています。今後の調査結果が、クラウド事業者やエンドユーザーに及ぼす影響に注目が集まります。