KDDIの新戦略『ConnectIN』:通信と製品の融合でDX市場を切り拓けるか?
記事の概要とポイント
概要
KDDIは、製品と通信を一体化して提供する新ビジネス 「ConnectIN」 を発表。従来の通信料金モデルとは異なり、PCメーカーが 一定期間の通信料を組み込んだ製品を販売 する仕組みで、ユーザーは端末と通信をまとめて利用できる。KDDIは 通信回線の管理やシステム運用を担当 し、メーカーと利益をレベニューシェアする形を採る。ConnectINを起点に、DX支援や他分野への展開を狙っており、競合の通信会社が容易に参入できないよう特許も取得済み。
ポイント
新しいビジネスモデル
通信料金をメーカーが負担する形で提供し、KDDIは 端末販売数に応じたレベニューシェア で利益を得る。
ユーザーは 通信契約不要で端末とセットで利用 できる。
PCメーカーは 継続的にユーザーとの接点を持てる ため、サービス提供の機会が増える。
主な提携企業
日本HP、Dynabook、VAIO、パナソニックコネクト、レノボ・ジャパン、ダイワボウ情報システムがConnectINに参加。
DX支援への展開
ConnectINを足がかりに、KDDIのビジネスプラットフォーム 「WAKONX」 を活用し、企業の DX支援 に展開。
モビリティー、監視カメラなどを活用した社会インフラ事業にも応用を検討。
競争優位性
KDDIは システム運用や管理を担い、関連特許を取得 しており、競合他社が類似サービスに参入しにくい環境を整備。
KDDI傘下の ソラコムとの競争リスク については「ソラコムは海外向けが強み」として共存可能と説明。
KDDIの戦略の良い点
新たな収益モデルの構築
通信料金ではなく、製品販売台数に応じたレベニューシェア により収益を得るため、通信市場の競争激化を回避できる。
ユーザーに直接通信契約を求めないため、導入のハードルを下げられる。
PCメーカーとの協業による市場拡大
PCメーカーが通信サービス込みで販売することで、通信とハードウェアの一体型ビジネスが成立。
PCメーカー側にも ユーザーとの接点維持やサブスクリプション型ビジネスの可能性 というメリットがある。
DX市場への展開
企業の DX(デジタル変革)支援を視野 に入れ、ConnectINを足がかりにビジネスプラットフォーム「WAKONX」を活用。
IoTやモビリティー分野への応用も考えられる。
特許取得による競争優位性
競合通信企業の参入を防ぐ障壁 を構築し、独自のポジションを確立。
KDDIの課題
メーカーとの利益分配の最適化
レベニューシェア方式はPCメーカーとの利益配分が重要。利益の取り分が少なければKDDIの収益確保が難しくなる。
逆にKDDI側が取り分を増やしすぎると、メーカーがConnectINを採用しづらくなる。
ユーザーへのメリット訴求
通信込みの製品モデルが 従来の通信契約方式と比べてどの程度お得か を明確にする必要がある。
既存の通信契約モデルとの差別化が不明瞭だと、消費者が受け入れにくい可能性。
海外展開の難しさ
国内PCメーカーが中心のため、グローバル市場での展開は不透明。
KDDIグループのソラコムが海外市場で展開しているが、ConnectINとの連携がどこまで進むかが課題。
競合の動き
KDDIの成功を見て、NTTドコモやソフトバンクが 類似サービスを展開する可能性 もある。
特許が障壁になるとはいえ、完全な参入防止にはならない。
結論
KDDIの「ConnectIN」は 通信と製品を一体化する新しい収益モデル であり、企業のDX支援を視野に入れた戦略は魅力的。しかし、メーカーとの利益分配やユーザーへのメリット訴求が成功の鍵を握る。 今後はIoTやモビリティーなど他分野への展開が重要 であり、競合他社の動向も注視する必要がある。