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KDDIの新戦略『ConnectIN』:通信と製品の融合でDX市場を切り拓けるか?

記事の概要とポイント

概要

KDDIは、製品と通信を一体化して提供する新ビジネス 「ConnectIN」 を発表。従来の通信料金モデルとは異なり、PCメーカーが 一定期間の通信料を組み込んだ製品を販売 する仕組みで、ユーザーは端末と通信をまとめて利用できる。KDDIは 通信回線の管理やシステム運用を担当 し、メーカーと利益をレベニューシェアする形を採る。ConnectINを起点に、DX支援や他分野への展開を狙っており、競合の通信会社が容易に参入できないよう特許も取得済み。

ポイント

  1. 新しいビジネスモデル

    • 通信料金をメーカーが負担する形で提供し、KDDIは 端末販売数に応じたレベニューシェア で利益を得る。

    • ユーザーは 通信契約不要で端末とセットで利用 できる。

    • PCメーカーは 継続的にユーザーとの接点を持てる ため、サービス提供の機会が増える。

  2. 主な提携企業

    • 日本HP、Dynabook、VAIO、パナソニックコネクト、レノボ・ジャパン、ダイワボウ情報システムがConnectINに参加。

  3. DX支援への展開

    • ConnectINを足がかりに、KDDIのビジネスプラットフォーム 「WAKONX」 を活用し、企業の DX支援 に展開。

    • モビリティー、監視カメラなどを活用した社会インフラ事業にも応用を検討。

  4. 競争優位性

    • KDDIは システム運用や管理を担い、関連特許を取得 しており、競合他社が類似サービスに参入しにくい環境を整備。

    • KDDI傘下の ソラコムとの競争リスク については「ソラコムは海外向けが強み」として共存可能と説明。


KDDIの戦略の良い点

  1. 新たな収益モデルの構築

    • 通信料金ではなく、製品販売台数に応じたレベニューシェア により収益を得るため、通信市場の競争激化を回避できる。

    • ユーザーに直接通信契約を求めないため、導入のハードルを下げられる。

  2. PCメーカーとの協業による市場拡大

    • PCメーカーが通信サービス込みで販売することで、通信とハードウェアの一体型ビジネスが成立。

    • PCメーカー側にも ユーザーとの接点維持やサブスクリプション型ビジネスの可能性 というメリットがある。

  3. DX市場への展開

    • 企業の DX(デジタル変革)支援を視野 に入れ、ConnectINを足がかりにビジネスプラットフォーム「WAKONX」を活用。

    • IoTやモビリティー分野への応用も考えられる。

  4. 特許取得による競争優位性

    • 競合通信企業の参入を防ぐ障壁 を構築し、独自のポジションを確立。


KDDIの課題

  1. メーカーとの利益分配の最適化

    • レベニューシェア方式はPCメーカーとの利益配分が重要。利益の取り分が少なければKDDIの収益確保が難しくなる。

    • 逆にKDDI側が取り分を増やしすぎると、メーカーがConnectINを採用しづらくなる。

  2. ユーザーへのメリット訴求

    • 通信込みの製品モデルが 従来の通信契約方式と比べてどの程度お得か を明確にする必要がある。

    • 既存の通信契約モデルとの差別化が不明瞭だと、消費者が受け入れにくい可能性。

  3. 海外展開の難しさ

    • 国内PCメーカーが中心のため、グローバル市場での展開は不透明。

    • KDDIグループのソラコムが海外市場で展開しているが、ConnectINとの連携がどこまで進むかが課題。

  4. 競合の動き

    • KDDIの成功を見て、NTTドコモやソフトバンクが 類似サービスを展開する可能性 もある。

    • 特許が障壁になるとはいえ、完全な参入防止にはならない。


結論

KDDIの「ConnectIN」は 通信と製品を一体化する新しい収益モデル であり、企業のDX支援を視野に入れた戦略は魅力的。しかし、メーカーとの利益分配やユーザーへのメリット訴求が成功の鍵を握る。 今後はIoTやモビリティーなど他分野への展開が重要 であり、競合他社の動向も注視する必要がある。


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