
新規事業を成功に導くPoCの進め方 Part1. PoCとは?
[注意事項]
本記事は私個人の見解や知見を文章化したものであり、私の勤務先を含め、特定の企業や組織としての考えや見解は一切含まれておりません。
新規事業のスペシャリストが成功の秘訣を伝授
私、えいるですが普段はITコンサル系企業で、皆さまのビジネスを成功に導くために日々、ITサービスにおける提案・設計・構築などを担当しております。
特に得意としているのが、企画・構想段階の何もないところから、サービスを作り上げていく新規事業立案の分野で、その証拠に新規事業をテーマにしたセミナーやブログによる情報発信も多数実施中です!!
また、今の会社に転職する前は、大手IT企業で自ら新規サービスの企画立案・経営戦略策定・営業訪問・サービス構築と0→1の段階で必要なことのほぼすべてを経験してきました。
自分でサービス立ち上げた経験、ITコンサルとしてクライアントの要望を形にしてきた経験、その両方の成功体験を知る私だからこそ、新規事業のスペシャリストと胸を張って言えます。

そんな私が十数年の経験から得た新規事業を成功に導くノウハウを皆さんに紹介したく、新たなテーマで連載記事を書かせていただくことにしました。
技術革新の裏で供給者が背負うプレッシャー
AI、Web3、VRなど今までは夢の先にあると思っていた未来の技術たちが、気がつけば誰でも利用できるぐらい身近な存在となりました。
ITにより世の中がますます便利になっていくのは非常に嬉しいことです。
しかし、これは逆に新規事業やサービスを企画する側にとっては非常にプレッシャーであり「AIを組み込んだ革新的なサービスでないと売れない」といった課題を背負うことになりました。
自分たちが考える企画にAIは本当に使えるのか?
そもそも、どうやって組み込めばいいのか?

扱う技術のレベルが高ければ高いほど、このような懸念や疑問は大きくなり、もし失敗したらと…不安は増すばかりです。
でも、安心してください!!
新規事業者の不安を払拭する存在、それがPoC!!
そう、皆さんの不安を払拭し、新規事業を成功に導く存在、それこそが今回のテーマとしているPoCです。
「PoCとは?」については、この後で詳しく紹介しますが、ざっくり説明すると新規事業を正式にスタートする前に
ミニマムでクイックに企画のコア部分を事前に検証する
自分たちの企画が本当に価値があるかを最初に確認する
などになります。簡単に言うと「最初に不安を取り除くこと」ですね。

莫大な人とお金を投資して売れないサービスを作らないためにも、事前にある程度の手応えをもって、事業を進めるための仕組みと取り組みがPoCとなるのです。
それでは、次からもう少し具体的に「PoCとは?」について見ていきましょう。
新規事業成功のカギを握るPoCとは?
PoCは「Proof of Concept」の略語で、よく概念実証や実証実験という言葉で表現され、新しい概念・理論・アイデアを実際に開発する前に、実現可能性や効果を検証する工程のことを指します。
したがって、その目的は「不安を排除し、確証を得る」に集約されます。
新規で企画しているサービスが技術的に本当に実現できるのか
利用者にとって本当に必要とされているニーズは何なのか
市場価値のあるサービスと認め、投資に踏み切るか
新規事業やサービスを企画された経験のある方なら、立ち上げ当初にこのような不安を抱いたことが多いのではないでしょうか?
これらはプロジェクトを遂行する上で避けては通れないリスクであり、もしプロジェクトの途中でこれらの不安が的中してまった場合、ワーストケースではサービスのリリース前にプロジェクトが終了となり、それまでの努力と投資が無駄になってしまうこともあります。
このような最悪のシナリオを避けるため、プロジェクトを正式に開始する前に、その実現性や有用性を検証し、不安を取り除くことを目的に実施するのがPoCです。
PoCの実施イメージとメリット
この図は、新技術のAIを検証するために実施したPoCのイメージになります。

このときは「AIによるシステム開発」が「人が行う従来通りの開発」と比較して
時間はどれだけ短縮されるのか?(どれだけコストカットできるのか)
人の解析結果と同等の精度があるのか?
といったことをプロジェクト発足前に、開発予定の一部を切り出して検証することで「今回のサービス企画にAIは有益か?」をミニマムでクイックに検証しました。
このようにPoCは、プロジェクト発足前の事前検証として実施するのが一般的で、最小限に不安の芽を摘んでおくことで、サービスに関わる全員が安心して、この後の正式プロジェクトを進められるようになるのです!!
PoCの実施で得られる、もう1つのメリット
PoCを実施することで正式なプロジェクト発足前に皆さんが抱える不安を払拭できることを説明してきました。
加えて、もう1つPoCのメリットとして「リスクと損失を最小限に抑える」が挙げられます。
新規で企画・構想したサービス案の100%が必ず実現するとは残念ながら言い切れません。
当初想定のプロジェクト予算を遥かに超える規模であった
今のIT技術では絶対実現できない課題にぶつかった
などなど、さまざま理由でプロジェクトが頓挫してしまうこともあります。これは、未知なる企画・構想を0→1で作り上げているのでやってみて初めてわかることは往々にしてあるものです。
このような事態が正式にプロジェクト後、人を集め、開発をスタートさせた中盤になって発生すると失う損失は大きくなります。
一方でPoCを先に実施し、ミニマムで検証を行い事業継続の判断を行えば、仮に今回の企画が実現困難であるとわかった場合でも損失は少なくすみます。

このように実現性に対してリスクがある場合、PoCを実施することで、その可能性を見極め、リスクを最小限に抑えながら開発が進められるのです!!
おわりに
今回はPoCをテーマに新規事業成功への勝ち筋を紹介していく新たな企画のスタートとして記事を書かせていただきました。
今後は、
PoCの過去失敗事例から学ぶ、新規事業成功の秘訣
新規事業を成功に導く具体的なPoCの進め方
などを紹介していくのでお楽しみに!!