新規事業を成功に導くPoCの進め方 Part6. 定量的な評価指標
新規事業のスペシャリストが成功の秘訣を伝授
私、えいるですが普段はITコンサル系企業で、皆さまのビジネスを成功に導くために日々、ITサービスにおける提案・設計・構築などをしております。
また、今の会社に転職する前は、大手IT企業で自ら新規サービスの企画立案・経営戦略策定・営業訪問・サービス構築と0→1の段階で必要なことのほぼすべてを経験してきました。
ITコンサルとしてクライアントの要望を形にしてきた経験
自分でサービス立ち上げた経験
両方の成功体験を知る私の経験から得た「新規事業を成功に導くノウハウ」を皆さんに紹介したく記事を連載しております。
今回のテーマはPoCに軸を通す定量的な評価指標
前回はPoCと、その先にある新規事業を成功に導くメソッドとして以下3を紹介させて頂きました。
定量的な評価指標の事前策定
適切な検証サイクルの構築
明確な事業継続の判断基準
第6回となる今回は、そのメソッドから「定量的な評価指標」をテーマに、PoCの成功・失敗を判断するための評価指標を正しく策定し、一貫してブレのない進行と評価を可能にするための実践術を紹介してきます。
定量的な評価指標とは?
ここではまず、定量的な評価指標とは具体的にどのようなものかを紐解いていきましょう。
「定量評価」と「定性評価」を正しく理解し、活用する
物事を評価するときの指標は一般的に「定量的評価」と「定性的評価」の2つに分類でき、両者の違いは以下になります。
[定量的評価]
数値データを使用して対象の成果を客観的に比較・評価できる特徴があります。例えば、テストの点数や、商品の売上高などが該当します。
[定性的評価]
言葉や観察などの非数値データを使用して対象の特徴を捉える手法で、主観的な解釈や事実の奥にある根拠などを発見できる特徴があります。例えばインタビューやアンケート結果などが該当します。
2つの違いを見てわかる通り、定量的な評価指標では数値的な結果が、定性的な評価指標では感情的な結果が得られる、この指標と結果を正しく使い分けることはPoCで非常に重要です。
定性的な評価指標を用いて得られる結果は「検索機能があれば、もっと使いやすい」といった人の思いや感情が含まれるので、PoCの評価よりも収穫や課題として、今後の新規事業で対応する優先度の決定などに役立てるのが効果的です。
定量的な評価指標は新規事業成功の鍵を握る重要要素
次に定量的な評価指標では「顧客の満足度が92%」など、必ず結果が数値として表現される指標になります。私はPoCの計画時に必ず定量的な評価指標を立て、それをPoC成功有無の判断基準とすることを必須としています。
この理由は2つあり、1つ目はPoCの成功有無を明確に判断するためです。
PoCは新規事業を成功に導くための手段として実施しているのであって、目的ではないこと、これは新規事業の障壁となる不安を排除することにあると何度か説明させて頂きました。
この不安が排除されたのか?という結果は、YES or NOの2択で確認できる必要があり、判断が曖昧だと「新規事業を初めて大丈夫なのか?」「不安は排除され、事業は成功するのか?」といったことがわからず、PoCを行った意味がなくなってしまいます。
このように後味の悪い結末を迎えないためにも成功・失敗を明確に判断できる定量的で明確な基準を計画時に定義するようにしましょう。
定量的な評価指標はPoC進行中の不安を軽減させてくれる
定量的な評価指標が必要となる2つ目の理由が、この計画時に指標を立てることにあり、それはPoC進行中の不安軽減につながります。
実際にPoCを実施していくと当初予は想定していなかった事象が往々にして発生します。しかし、PoCは本開発よりも予算や期限がさらに限られており、全てを対処している余裕はないのが実情です。
限られたリソースを使って対処すべきか・本来の予定を遂行するか?これを何の根拠や基準ももたず判断するのはとても難しいことです。
しかし、ここで計画時に定量的で明確な評価基準が定まっていれば、
課題を対処しないと基準をクリアできずPoC失敗につなる=対処する
課題を対処しなくても基準のクリア有無には影響しない=対処しない
と判断すればよくなるので進行中の不安が明らかに軽減されます。
このように定量的な評価基準は、PoCの成功有無を明確に判断できるだけでなく、全体に1本の軸を通しブレない検証を可能にしてくれるのです。
定量的な評価指標の作り方
ここまで定量的な評価指標の定義と役割について説明してきました。しかし、開発が正式にスタートしてない計画段階から、定量的な指標を立てるのは難しいというのも現実です。
そこで、ここからはPoCの目的として最も多い「実現性」「性能」「ニーズ」の3つに着目し、それぞれどのような観点で指標を立てるとよいか、その実践術を具板的な形で紹介していきます。
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