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新規事業を成功に導くPoCの進め方 Part2. PoCって必要ですか?

割引あり

[注意事項]
本記事は私個人の見解や知見を文章化したものであり、私の勤務先を含め、特定の企業や組織としての考えや見解は一切含まれておりません。

本記事の注意

新規事業のスペシャリストが成功の秘訣を伝授

私、えいるですが普段はITコンサル系企業で、皆さまのビジネスを成功に導くために日々、ITサービスにおける提案・設計・構築などを担当しております。

特に得意としているのが、企画・構想段階の何もないところから、サービスを作り上げていく新規事業立案の分野で、その証拠に新規事業をテーマにしたセミナーやブログによる情報発信も多数実施中です!!

また、今の会社に転職する前は、大手IT企業で自ら新規サービスの企画立案・経営戦略策定・営業訪問・サービス構築と0→1の段階で必要なことのほぼすべてを経験してきました。

自分でサービス立ち上げた経験、ITコンサルとしてクライアントの要望を形にしてきた経験、その両方の成功体験を知る私だからこそ、新規事業のスペシャリストと胸を張って言えます。

そんな私が十数年の経験から得た新規事業を成功に導くノウハウを皆さんに紹介したく、新たなテーマで連載記事を書かせていただくことにしました。

第2回となる今回は「PoCの必要性」をテーマに新規事業を立ち上げるときにPoCは本当に必要なのか?について見ていこうと思います。


誤解から生まれるPoCのマイナスイメージ

PoCは、プロジェクトの成功確率を高めるための重要なステップであり、新規事項における今後の方向性を決定する貴重な情報源となるプロセスです。

しかし、その一方で実際にPoCを実施した人たちからは

  • 実施にコストがかかり、その投資分が無駄になった

  • せっかくの企画がPoCで課題がたくさん見つかり、継続が困難になった

といったマイナスイメージや失敗談を耳にすることも、残念ながら少なくありません。

PoCにより様々な成果や成功体験が生まれる一方で、なぜこのようなマイナスイメージや失敗談が生まれてしまうのでしょうか?

その原因を今回は詳しく解析していき、PoCの必要性について改めて見ていこうと思います。


失敗談から見るPoCの必要性

それでは、ここからは

  • PoCをやっていれば、こんなことにならなかったのに…

  • やらなくてもいいのにPoCをやってしまった…

という対局的な2つの失敗談からPoCの必要性について見ていこうと思います。


失敗談1:実現不可な課題への無駄な投資

最初に紹介するのは「PoCをやっていれば…」の事例で、現時点では実現性のない状況に気づけず、時間と予算を投資してしまった工場DXの失敗談です。

ある製造業の現場では、工場機械や生産作業からのデータ採取・保存を行い、現場の作業改善を進めていました。

このデータに注目した経営層は「そのデータを使えば、受発注や在庫管理といった現場に閉じない経営に直結する意識決定ができる」と考え、データドリブン経営を実現すべくプロジェクトを発足し、投資を決定しました。

しかし、実際に開発を進め、インフラ基盤やマネジメントに必要な可視化画面などを構築していくと、今あるデータはあくまで現場改善レベルで必要内容であり、経営判断を満たすデータとはかけ離れたものであることがわかりました。

結果、経営層の求める情報を得るには必要なデータの精査と、それらを現場から採取するための現場工事が必要なことが判明し、プロジェクトは途中で中断されることに…。

このように今までチャレンジしたことがない、未知なることへ挑戦する場合は、いきなり風呂敷を広げて大きなプロジェクトを発足するのではなく、PoCというミニマムな形で「やりたいことが本当に実現できそうか」を試してみるのが正解でした。

仮に今回のように「今あるデータだけでは経営判断にいたるようなサービスは作れない」とわかってプロジェクトが中断される場合でも、PoCの段階であれば、失う期間と予算は最小限に抑えられたはずです。


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