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受験の覇者、医学生がChatGPTに敗北した日

その日医学生は思い出した
ヤツらに支配される恐怖を…
仕事を根こそぎ奪われる屈辱を…


引用:『進撃の巨人』第1巻(著:諫山創、1ページ)

どうもこんにちは。
Webフリーランスとして活動している、まろ@医学生と申します。

衝撃的なタイトルですね、これは。でもね、事実なんです。

華金の酒の肴にどうぞ。いやちょっとスパイシーすぎるかもしれません……
今回はせっかくの酔いも冷めちゃう、そんなお話。

Chat GPTの登場とその衝撃

2022年11月、OpenAIが開発した対話型AI「ChatGPT」が公開され、瞬く間に世界中で注目を集めました。リリースからわずか5日でユーザー数が100万人を突破し、2か月後には1億人に達するという驚異的な成長を遂げています。

ChatGPTの登場当初、医療分野における応用については懐疑的な意見が多く見受けられました。

特に、AIが医師の役割を代替することは難しいと考えられており、

医師ほど専門性の高い人材なら、大丈夫だろう

そう思っていた人も多いハズです。

しかし、Chat GPTのモデルは進化し続け、医学的な知識の理解度が飛躍的に向上し、以前は不可能とされていた高度な医学的質問への対応も可能になってきました。

そして、その日は訪れます……

医学生がChatGPTに敗北した日


2023年4月25日、衝撃的な論文が発表されました。

株式会社MICINと金沢大学の共同研究によると、Chat GPT(GPT-4)が第117回医師国家試験に挑戦し、合格点を超える成績を収めたのです。

言うに及ばないことですが、医師免許は三大国家資格の一つであり、取得するのは決して簡単ではありません。

熾烈な受験戦争を勝ち抜き、6年間の定期試験・卒業試験を経てやっと受験資格が得られる医師国家試験。「合格率9割」とは言うものの、これほどまでに選抜されたメンバーでも「1割が落ちる」試験なのです。

そんな難関試験を、ChatGPTは軽々と突破。2023年4月の時点で、少なくともこれから医師国家試験を控える6年生以外よりは賢いことが証明されました。

Chat GPTが医師国家試験に合格したことは、単なる技術の進歩というだけではなく、私たちがこれまで当たり前だと思ってきた「知識」や「専門性」というものがAIによって再定義される可能性を示しています。

正直このスピードは、数年前には考えられなかったレベルです。

さらに衝撃的なニュース|完全敗北

もっともっと衝撃的なニュースが、今週医クラを襲いました。
MicrosoftとOpenAIから出された論文の概要がこちら。

・o1-previewをはじめとする複数の生成AIモデルの能力を分析した
・当初は難しいだろうとされていた、日本語での医学的課題の把握も指示なしで高い正確性を示した
・複数の生成AIモデルが医師国家試験の問題で正答率9割以上を叩き出した

中でも驚異的だったのは、o1-previewです。

日本の医師国家試験の正答率は、なんと脅威の98.2%。臨床知識・医学遺伝学・解剖学などのそれぞれの項目でも、高得点を叩き出しています。

医学生の皆さん、医師国家試験の平均正答率知っていますか?約80%です。

通常の医学生を遥かに凌駕しています。

学年で一番頭が良い人をイメージしてみてください。ChatGPTは少なくとも、知識の面でその人に勝るのです。そう考えると、恐ろしいですよね。

より詳しく知りたい方は、実際の論文を見ててみてくださいね。

https://arxiv.org/pdf/2411.03590


「〇〇だからこの科はAIに取って代わられない!」それ本当?


こういった議論が出るとき、必ずと言っていいほど出てくる意見が

「〇〇だからこの科はAIに取って代わられない!」

その「〇〇」という前提、本当に正しいのだろうか?

例えば代表的なものが精神科。ぴよぴよちゃんたちは口を揃えてこう言う。

精神科は人と人との関わり合いだから、絶対に大丈夫!人の話は人がしか聞けないよ!

しかし実際のところ、AIも人間の話し方や表情からその深層心理を読み取れようになっています。人間よりも高いパフォーマンスを発揮するという研究結果もあるほど。

先程の文言を意訳するなら、こうだ。

(心の声:私は精神科志望だ。精神科がAIに奪われることは、ないと思いたい。というか目をそむけたい。そうだ、背けよう。)精神科は人と人との関わり合いだから、絶対に大丈夫!人の話は人がしか聞けないよ!

「大丈夫だ」という根拠を、無理に探しているのではないだろうか。

「勉強ができる優秀な医学生」ほど、AIの進化から目をそむけているように感じている。

「AI?間違っていそう、仮にも私医学生ぞ?」といった具合だろうか。

医学生とAIのこれから

今後AIが医療領域でどのくらい発達するのか、そもそも導入されるようになるのかは全く分からない。

どのくらい仕事を奪われるのか、共存するのかも未知数である。

しかし、我々の方がAIの進化に合わせていかなければならないのは、誰の目にも明らかな事実。

かの有名な生物学者チャールズ・ダーウィンは言った。

「最も強い個体が生き残るのではない。最も賢い個体が生き残るのでもない。唯一生き残る者は、変化に対応できる個体だ」と。

医学生として、AIと調和していき変化に柔軟に対応していなければならない時代は、もう既に始まっているのかもしれない。


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