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「チーズはどこへ消えた?」から紐解く、医学生の4つのサブタイプ

医学生におすすめの書籍はいくつかある。

分かりやすくビジュアル的に理解できる「病気がみえる」、解剖学を勉強するなら欠かせない「グレイ解剖学・ネッターアトラス解剖学」、国家試験対策を効率的に行える「イヤーノート・QB」などなど。各診療科を本格的に学びたいなら、標準〇〇学などもいいかもしれない。

でも今回は、そういう医学知識を学ぶためにおすすめの本ではなく、保険診療の大局を学べる本を紹介したい。

それが「チーズはどこへ消えた?(原題: Who Moved My Cheese?)」だ。1988年にアメリカで初版、2000年に日本語に訳されてから日本で400万部、全世界で2800万部を突破するほど売れている。

発売から40年経った今でも日本のみならず世界中で読まれ続けている大ベストセラー。そこには、時代が変わっても決して変わることのない普遍的な真実が記されている。

ちなみに大企業の研修テキストに採用されている他、大谷翔平選手も愛読書としてあげている。

ざっくりとこの本を要約するならば、状況の変化にどのように対応すべきか、どのような行動を取るかを説いた自己啓発書。迷路とチーズを暗喩として用いている。

『チーズはどこへ消えた?』から紐解く、医学生の4つのサブタイプ」と称して、この本の登場人物が何を暗示しているのか、そして今の医学生が今後どのように動いていくべきかを考察しよう。

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登場人物たち

「チーズはどこへ消えた?」の途上人物は、以下の2匹のねずみと、2人の小人。

スニッフ(Sniff)

性格
・変化の兆候を素早く嗅ぎ取る("Sniff" = 嗅ぐ)
・状況を敏感に察知し、行動を迅速に起こす
・計画を立てるよりも、本能的に動くタイプ

象徴するもの
新しい機会や変化を早期に見つけ、積極的に対応する人。

スカリー(Scurry)

性格
・変化を見つけると、すぐに行動に移す("Scurry" = 急いで動く)
・あまり深く考えず、直感的に動く
・効率性を重視し、失敗してもすぐに修正する

象徴するもの
・行動力に優れ、問題解決に素早く取り組む人。

ヘム(Hem)

性格
・変化を恐れ、現状に執着する
・新しい状況に対して否定的で、「以前はこうだったのに」と過去に固執
・不安や恐怖から行動を起こさない

象徴するもの
・変化を拒むことで、自らの成長や成功を妨げる人

ホー(Haw)

性格
・最初は変化を恐れるが、やがて受け入れる
・考えながら行動し、新しい方向性を探る
・失敗を学びとし、成長していく

象徴するもの
・学びを得て変化を受け入れ、成長する人。

ちなみに、Hem and Hawで「うろうろする」「判断に迷う」という意味がある。

物語をざっくりと紹介

2匹のねずみと2人の小人は、常にチーズを求めていた。

ある日、迷路の中にある「ステーションC」に大量のチーズが何者かによって補充されていることを発見する。そしてそこでの生活を始めるのであった。

しかしある日、ある日、ステーションCのチーズがなくなったのである。

スニッフとスカリーは、その状況をすぐに受け入れ、新しいチーズを探しに行った。迷路を行ったり来たりしながら着々と作業を進め、これまで行ったことのないエリアでついにステーションNを発見するのである。

一方でヘムとホーは、変化を受け入れられず、「チーズは戻ってくるはずだ」と信じて動かない。次の日もその次の日も、ステーションCにチーズを探しに行く。そこにはもう既に何もないのに。

すぐに行動したねずみたちを馬鹿にして現状を分析しようとする。ホーは状況を受け入れつつ「前も迷路の中であちこち行ってみたから大丈夫だろう。」行動しようとするが、「他のところは危険だ」ヘムがそれを許さない。そうしていつしかホーも、失敗とを恐れて行動をやめ、新しいチーズを見つける希望を捨てる。

それでも「この状況はますます悪くなる一方なのではないだろうか」と恐怖が打ち勝ち、意を決してステーションCから出て迷路の中を探すことに。

そしてホーは気付く。

何が起きてるのか注意深く見ていたら、変化に備えていたら、きっとあんなに驚くことはなかっただろう

そこからホーの快進撃が始まる。時には「チーズはもうどこにもないんじゃないか」「行動しない方がいいんじゃないか」という考えが頭をよぎることもあったが、変化を楽しみながら迷路の中を突き進む。

そしてある日、ステーションCとは比べ物にならないほど大量のチーズが積まれているステーションNを見つけるのであった。

ステーションCにとどまったヘムの消息は、誰も知らない……

ここで示唆に富む名言や格言が生まれているので、そこはぜひ本書を手にとって見てみて欲しい。


この本の教訓|変化していくことの重要性

2匹の小人がステーションCにあるチーズを見つけたときに言った印象的な言葉がある。

「僕らはそれだけのことをしたんだ」
「実際、長い事勤勉に働いたし、これを見つけるのは大変だったもの。」

医学生にも同じような思いを少なからず持っている人はいるのではないだろうか。

「僕らはそれだけの勉強をしたんだ」
「受験勉強も試験勉強も頑張った。ここに来るってだけで苦労したんだ」

そう思い込み、なかなか医療の外に足を踏み入れたがらない。いずれその慢心が、命取りになるかもしれないのに。

チーズがなくなったときの対応も対照的だ。

ネズミたちは毎日違いがないかをチェックしていて段々と少なくなっていることに気づいていたし、いずれはなくなるだろうと覚悟していた。なくなったときも詳しくは分析せず、変化した状況に対して、「自分たちも変化する」という方法を取ったのである。

対して小人は二人揃ってこんなことにはなるとは思わなかったと言い、「チーズがないぞ!こんなことがあっていいわけはない」と叫ぶ。まるで「医療従事者の待遇を良くしろ!こんなことがあっていいわけはない」と叫ぶように。

同じことの繰り返しをして、状況が好転しないのを不思議がる

身近な人を見ても、そういう人はいるのではないだろうか。既に崩壊しかかっている保険診療に対して、「これまで医者になった人達と同じように勉強を頑張っているのだから、同じ待遇じゃないと困るぞ」と言う人。そういう人(ヘム)と同じになってはいけない。また、得てしてそういう人の周りには同じ属性の人が集まり、負のオーラをまとっている。


個人的に好きなヘムのセリフがある。

早い時期に小さな変化に気づけばやがて訪れる大きな変化にうまく適応できる

まだ医学生として感じられる変化は微々たるものかもしれない。しかし、小さな変化は感じられるはずだ。そうすればきっと、いずれ訪れる大きな変化にもうまく対応できるだろう。

医学生の4つのサブタイプ

医学生は以下の4つに分類できる。

スニッフ型(変化を察知する医学生)

 → 「医療の未来を先読みし、新しい道を模索するタイプ」保険診療の崩壊を早い段階で察知し、将来の医療環境の変化を予測する。
AI・デジタルヘルス・自由診療・海外医療など、新たな選択肢を早くから学び、準備を進める。
臨床以外にも、経営、医療×IT、政策などの視点を持ち、適応しようとする。
例: 医学生のうち、スタートアップや医療DXに興味を持ち、在学中から起業準備を進めるタイプ。

スカリー型(素早く行動する医学生)

 → 「変化を恐れず、すぐに新しいフィールドに飛び込むタイプ」保険診療の限界を感じたらすぐに行動し、自由診療や海外医療などにシフトする。
考え込むことなく「もうこの分野はダメだ」と判断し、すぐに収益性の高い分野へ動く。
研究や留学、ビジネスのチャンスがあれば即決して飛び込むタイプ。
例: 医学生のうち、卒業後すぐに美容外科や自由診療専門クリニックに進む人や、米国やドバイなどに渡って医師免許を取る人。

ヘム型(変化を拒み、現状維持を望む医学生)

 → 「保険診療にしがみつき、変化を受け入れられないタイプ」「医療は公的なものであり、保険診療の仕組みがなくなるわけがない」と信じて疑わない。
たとえ診療報酬が削減され、労働環境が悪化しても、「それが医療の本質」として受け入れる。
変化を拒み、開業や自由診療には興味を持たず、ひたすら勤務医として働き続けようとする。
例: 「やりがい搾取」に耐えながら勤務医を続ける医師や、旧来の医療体制にこだわり続ける人。

ホー型(最初は拒むが、学びながら適応する医学生)

 → 「最初は保険診療にこだわるが、次第に変化を受け入れるタイプ」最初は「医師=保険診療」という固定観念が強いが、現実を見て徐々に考えを変えていく。
研修医・若手医師になった後、臨床の現場で厳しい状況を経験し、新たなキャリアを模索するようになる。
勤務医をしながら自由診療を取り入れたり、医療×ITや経営に興味を持ち始めたりする。
例: 初めは大学病院で勤務医をしていたが、働き方の限界を感じて転職し、開業や医療ビジネスに目を向ける人。

チーズを保険診療に置き換えてみると……

ここでは、チーズを崩壊しかけている保険診療に置き換えてみよう。さしずめ、迷路は医師になるための努力したプロセスといった具合だろうか。

保険診療は国を支える根幹であり、決してなくなることはないだろう。そう考えると、チーズには問題なくありつける。

しかし将来がどうなるかは予想できないとはいえ、今の医学生が十分に食べられるほどのチーズは用意されていないだろう。

それが分かっている今、どのような行動を取るべきなのか、そして変化していくことが求められている。

医学生にとってのチーズ|それを求めてどう動くか

この本を読んで「人生が変わる!」ほどのインパクトは得られないかもしれない。

しかし、あなたが登場人物の誰に該当するのか、そしてどのような末路を取るかは明白だ。

あなたはどの登場人物でしたか?あなたにとっての「チーズ」とはなんですか?

正直このnoteの内容でおおまかにストーリーを把握できる。しかしネズミと小人たちの細かい描写に現れる彼らの考え方や生き方を見るために、ぜひ本書を手にとって見て欲しい。

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保険診療が音を立てて崩壊している今の時代、これから医者になる医学生にとっての「未来がみえる」、そんな本になるだろう。

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【追記】
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