「八九寺真宵 × いすた」Crossover SS
「飯塚さん」
「まるで珍しくもない、さもありふれた苗字みたいに言わないでくれる?僕の名前はいすただよ」
「失礼。噛みました」
「違う。わざとだ」
「かみまみた」
「わざとじゃない!?」
「病みました……」
「現代における小学生の精神事情!!!!」
「ところでいすたさん、頑張ってアドリブを捻り出していただいているところ申し訳ありませんが」
「捻り出すとか言うなよ……。はいはい、何ですかお嬢さん」
「私はお腹がすいていますよ?」
◇
「ひゃっほーっ!!見てくださいいすたさん!ここが楽園です!エデンです!!」
(安上がりなエデンだなぁ……)
かくして、僕はお菓子をご所望の八九寺を連れ、近所のスーパーへと足を運ぶこととなった。
別にそれはいい。いいんだけど……
「ねぇ、なんで肩車なのさ?」
「仕方がありません。こうしないと上の方に何があるか見えないじゃないですか。むしろ『小学生女子を肩車している』という得がたい経験をしていることを、もっと感謝していただきたいくらいです。きっと阿良々木さんなら泣いて喜んでいます」
(うわぁ……)
僕の中での暦さんの好感度が引くほど下がった。
言いつつ、よほど楽しいんだろう。八九時は僕の肩に乗った両足をパタパタとさせてはしゃいでいる。
「わっ…コラ、暴れるな。……それで?何が欲しいの?3つぐらいまでなら好きなの選んでいいよ」
「いえいえそんな、1店舗で十分です。それ以上となると、土地も考えなくてはなりませんし、さすがに」
「そんなスケールのデカい話をしにきた覚えはないな?」
fin.
Illustrator:yuu花(@cat_yuuka)