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相続手続きに必要な書類は?
Note記事「亡くなった親族の保有株式」では、被相続人の口座調査の仕方や被相続人への移管が必要な事について記載しました。
※相続手続きには、相続人の証券口座開設を伴う場合があります。このような場合には、Note記事「口座開設と注文の仕方」をご参照ください。
今回は、証券会社での相続手続きに必要な書類について、投稿します。
まず、証券会社での相続手続きに必要な書類は、大きく3つに分かれます。
1つ目は、証券会社で入手する手続き依頼書等に類する書類
2つ目は、市役所などで入手する公書に類する書類
3つ目は、被相続人や相続人間又は裁判所で取り決められた相続財産の分配に係る書面です。
です。
1つ目の証券会社で入手する手続き依頼書等に類する書類は、死亡届出書や相続手続き依頼書や移管依頼書などがありますが、これらは各証券会社に依って、または被相続人がどのような証券口座を開設していたかに依って、書類名称や必要書類が異なりますので、相続手続きをする証券会社に確認する必要があります。
2つ目の公書ですが、基本的に必要とされる書類は、次の3種類です。
(1)亡くなられた方の戸籍謄本
(2)除籍謄本
(3)相続人全員の印鑑証明書
(1) 戸籍謄本については、亡くなられた方の出生から死亡までの全ての戸籍謄本です。
「出生から」という点については、13歳・14歳・15歳からと専門家の方々で見解が異なります。
つまり「登記が必要な年齢から」とか相続人である「子を為す事ができる年齢」から等々です。
そのため「出生から」の全てであれば、問題ないと思います。
被相続人の「出生から」となると、原戸籍と略される古い戸籍(改製原戸籍)まで遡る事が多々あります。
なお、現在の戸籍は現在戸籍と呼ばれ「現戸籍」と略されることがあります。
※原戸籍とは、昔に作成保管されてきた戸籍様式が、法律等によって新様式に変更された場合の元となる戸籍の事を指します。端折って言いますと、電子化された戸籍情報の元となる紙様式の戸籍や古すぎて電子化を省略した昔の紙戸籍などの事です。
市役所に戸籍の写しを依頼する時には、「相続手続きで使用するので被相続人の出生から死亡までの全てが必要だ」と伝えてください。目的・用途・必要範囲がわからないと、市役所の人もすぐ出せる範囲でいいかなと勘違いして、戸籍情報の足りない戸籍となってしまうことも多々あるようです。
また、本籍地を変更されているような場合には、本籍地以外(旧本籍地)の戸籍まで必要な場合があります。
昔は、必要な戸籍の本籍地ごとに、それぞれの市役所から取り寄せる必要がありましたが、電子化の流れでしょうか、広域交付制度が令和6年3月1日より開始して、本籍地以外の市町村の窓口でも申請できるようになりました。
やっと便利になりました。
ただし、先程の電子化されていない戸籍については、従来通り戸籍の本籍地の市役所での申請が必要だそうです。
(2)除籍謄本とは、結婚・離婚・死亡・転籍などによって誰もいなくなった状態の戸籍の写しのことです。
戸籍法が改正されて新しい様式に切り替わる際は、戸籍の内容が全てそのまま書き写されるわけではありませんので、戸籍を見ても全ての情報が載っていないこともあるため、だれが相続人であるかについて把握漏れなどを避けるためには、被相続人(亡くなった人)の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本、除籍謄本、改正原戸籍謄本を集めてみなければはっきりしないのです。
なお、除籍謄本も広域交付制度の対象です。
(3)相続人全員の印鑑証明書
印鑑証明書は、相続人の方が住民票を有する市町村で印鑑登録をしている場合に、印鑑登録をした市町村で発行されます。
15歳未満の相続人は印鑑登録が出来ないので、親権者等の署名と押印で代用されます。
15歳以上18歳未満の相続人は、親権者等の法定代理人の同意書を添付して印鑑登録ができます。
海外に居住されている相続人で、日本に住民登録がないない場合には、近くの在外公館等で在留証明書とともにサイン証明(正式には「署名証明」)が可能ですので、これが印鑑証明書の代用となります。
なお、相続のために一時的に日本に帰国し、手続する場合には国内の公証役場にてサイン証明を取得することも可能です。
また、令和6年1月末から、欧州、中東、アフリカ地域の在外公館において、「在留届オンライン(ORRネット)」を利用した証明のオンライン申請が可能な場合があります。
詳しくは外務省又は各公館のホームページをご参照ください。
さらには一時的に日本で住民票を置く手続きをして印鑑登録をして印鑑証明書を取得したなんて荒ワザも聞いた事があります。
3つ目の、被相続人や相続人間又は裁判所で取り決められた相続財産の分配に係る書面とは、故人の遺言書や相続人間での遺産分割協議書や裁判所での遺産分割審判などの事です。
※封印された遺言書と思しき封書を発見した場合は、開封せず裁判所・弁護士・司法書士等に相談しましょう。
相続手続きをする証券会社(手続証券会社)が確認したい事項は、手続証券会社で預かっている有価証券や金銭を相続人の誰に何をどれだけ相続させるのかという点です。
例示で詳しく言いますと、「〇〇証券株式会社に預託しているA株式500株、B株式200株、金銭100,000円について、相続人XにA株式300株、B株式100株、金銭40,000円を、相続人YにA株式200株、B株式100株、金銭60,000円を、それぞれ相続させる」又は「手続証券会社に預託財産すべてを相続人Xが相続する」などのように、誰が何をどれだけ相続するのか?という点です。
手続証券会社では、誰が何をどれだけ相続するのか?の書面に従って、被相続人の証券口座から相続人それぞれの証券口座に移管手続きを行います。
「誰が何をどれだけ相続するのか?」という点が明確にされていないと移管処理ができません。
あと、株式等を分割して相続する場合の留意点です。
上場株式の売買単位を100株としている上場企業がほとんどです。
そのため例えば、A株式100株をXに50株、Yに50株とした場合、100株を50株づつに分割して移管すること自体は可能です。
しかし50株という売買単位未満株式の売却となりますと、100株単位での市場売却と比較して、取引条件や株主優待条件、売却コストなどの面において不利益が生じる場合がございますので、ご留意ください。
また、100株を3人に分けて、33.3株などの様に小数点以下の数まで分割しての移管処理はできません。
このように分割に端数が生じる場合には、端数分多く取得された方から端数分少なく取得された方へ、又は100株を一人で取得して他の方に相続相当分を金銭で交付するなど、手続証券会社での手続き外で協議して頂くようにお願いします。
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