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新NISAと特定口座について

今回は、新NISAと特定口座についてもう少し掘り下げてお話ししたいと思います。
※新NISAの概要については、NOTE記事“ゴールベース・アプローチと新NISAについて”をご参照ください。
※特定口座の概要については、NOTE記事“口座開設時の留意事項” をご参照ください。 


特定口座の特徴

 特定口座源泉徴収ありの特徴は、特定口座内取引での取得価額や売却価額や受取配当金について、証券会社側で管理・損益通算されて、譲渡益税や配当課税が源泉徴収・納税まで行い、確定申告が不要となります。

※複数の証券会社等でそれぞれ開設した特定口座内取引について通算したい場合や特定口座内の損失を繰り越したい場合など、確定申告が必要な場合があります。

新NISA口座の特徴

 新NISA口座の特徴は、新NISA口座内での取引について譲渡益税や配当課税が課されないというものです。
 ここで注意点ですが、たとえ新NISA口座内で買った株価より安い株価で売却して、計算上の損失が発生していたとしても税金が戻ってきたりしませんし、新NISA口座内で儲かって売却した取引と損益通算するような事はありません。
 つまり簡単に言うと、新NISA口座内取引では、益も損も発生しないとみなすから非課税ですよ、と言う事です。
 追い打ちのように言いますと、新NISA口座内取引での計算上の損益と特定口座内取引での損益との通算もできません。
 
 そしてもう一つ、新NISA口座内で買付けた有価証券を、特定口座や一般口座の課税口座への払出しについてです。
 新NISAの課税口座への払出しについては、いろいろな解説がWEB上でなされていることとは思いますが、
 新NISA口座内で買付けた有価証券のうち、投資信託に関する内容は多く検索できましたが、株式に関する内容があまり見当たらなかったので、今回は新NISA株式の課税口座への払出しについてです。
 各証券会社のWebQ&Aで、課税口座への払出し手続きや留意点については公開されていますので、ここでは以下の3点のみ紹介します。
・課税口座へ払い出した上場株式等の取得日は移管日、取得価格は移管日の時価(終値)となります。
・課税口座へ払い出されても、同年内のNISA投資可能枠が戻ることはありません。
・課税口座へ払い出されると、再度NISA口座へ戻すことはできません。
 
 今回のお話の前提知識はこれ位に留めまして、本題に入りたいと思います。

取引事例と制度上のその取り扱い

 今回は、取引事例と制度上のその取り扱いついてです。
 ポイントは以下の2点です。
 
・新NISA株式を課税口座へ払出した時の取得価格は移管日の時価(終値)。
・特定口座内取引は損益通算される。
 
 今回のお話の本題は、架空のお取引事例から考えるです。
※日付や曜日、売買期間は無視して、時系列としてのみお考え下さい
※また、証券取引に係る委託手数料は計算に入れてません。
※復興税を考慮せず譲渡益課税20%で計算
 
(Yさんの事例)
4/10 新NISAで、A株を1,000円で100株買い
4/10 特定口座で、B株を1,500円で100株買い
4/10 AとBを併せて250,000円の購入

9/10 A株の株価が900円、B株の株価が1,400円に変動した。

10/20 A株は業績不振予想だが、A株と同業の他社が好調で業態としては上げ相場の状況になる。B株の新商品が市場の話題になる。Yさんは来年テレビを買い替える資金を捻出するため、今年中にA株もB株も売却をして清算したいと考える。

11/20 A株の株価が1,100円、B株の株価が1,700円に変動した。YさんはA株を売ろうとも考えたが、A株は業績不振だがA株の業態的な好調さにつられてA株の株価も順調なので、迷ったがもう少し様子を見ることにした。

12/20  A株の株価が700円、B株の株価が2,000円に変動した。
以上の経緯の中での手続き・売却パターンを2つ記載します。
Yさんはどのように売却しようと考えますか?
 
(パターン1)
12/20 新NISA内でA株を700円100株の70,000円で売却・・・計算上30,000円の損だがNISA内なので損失はないものとされる
12/20 特定口座内でB株を2,000円100株の200,000円で売却・・・特定口座内で50,000円の益と譲渡益税10,000円
 
AとBの取引を清算してみると、250,000円で買って、270,000円で売ったので、計算上20,000円の売却益から譲渡益税10,000円が差し引かれて、10,000円の益
 
(パターン2)
11/20 新NISA内のA株100株を課税口座(特定口座)に払出す・・・A株の移管(払出し)後、特定口座内ではA株100株を移管時の時価1,100円の110,000円が取得価額になる
12/20 特定口座内でA株を700円100株の70,000円で売却・・・特定口座内の計算で110,000-70,000の40,000円の損
12/20 特定口座内でB株を2,000円100株の200,000円で売却・・・特定口座内で50,000円の益
12/20  A株売却損とB株売却益を特定口座内で損益通算して、10,000円の益なので、譲渡益税は2,000円
 
 AとBの取引を清算してみると、250,000円で買って、270,000円で売ったので、計算上20,000円の売却益から譲渡益税2,000が差し引かれて、18,000円の益
 
(まとめ)
 パターン1とパターン2のように、実際に売却した金額から実際に購入した金額を差し引いた計算上の損益は20,000円と同じですが、新NISAから課税口座への払出しの有無によって、制度上の計算をして譲渡益税を支払った結果としての最終損益に違いが生じます。
 
 このように、新NISAと特定口座の制度上の取り扱いが異なる事を理解して取引する事で得をする場合もあり得ます。
 
 迷った時には、一人で結論を出さずに、証券会社の営業員に相談してみる事で広がる可能性もある事を忘れないでください。
 
※上記の内容は、あくまで架空のお取引事例に沿った制度上の取り扱いを例示するものであり、推奨や指南・示唆するものではありませんので、予めご留意ください。また本内容に基づく実際の取引や証券会社のシステム上の制約などにより異なる取り扱いとなり、想定した結果と異なる結果が生じたとしても一切責任を負えませんので、予めご留意ください。

ご留意頂く事項
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