建物を倒壊させる地震エネルギー
心豊かな時間を育む設計をお届けするために
家の性能は、前提条件です。
建物を倒壊させる地震エネルギーから大切な家族のいのちや資産を守るために
消防署や警察署のような頑丈な箱を造るだけでは…心豊かな時間を育む暮らしをお届けすることは出来ません!
しかも頑丈なだけでは、震度7以上の地震が繰り返して、発生すれば…筋交や耐力壁が痛んで…住めない家になってしまいます。
私たちは、許容応力度計算に基づいて、基礎や耐力面材、筋交、構造金物で耐震性能を高めるだけではなく、
限界耐力計算も実施して、制震ダンパーを設置することで建物を倒壊させる地震エネルギーを44%以上減衰することで
筋交や耐力壁が損傷することを防ぎ、大切な家族のいのちと資産を守ります。
『耐震+制振』の考え方
一般社団法人住教育推進機構理事長
大沼勝志さんのチカラボより
この制振ダンパーですが、地震に何回も耐えるためには必要なアイテムです。
震度7の地震が何度も起こるような場合、最初は耐えられても、何回も揺れることで倒壊してしまうことがあっては意味がありませんから、やはり粘りのある建物にしなくてはなりません。
そのためには制振ダンパーというものが必要になると思います。
この制振ダンパーですが、1階の柱と2階の梁に斜めに設置していきます。
制振ダンパーにもいろいろなタイプのものがありますので、種類は選んでいいと思いますが、この油圧式ダンパーにすると、新築でも戸建リノベーションでもどちらも施工しやすいという面で、とてもメリットがあると思います。
この制振ダンパーを付けると、震度7の地震の揺れを震度5に抑えることができるということになります。
写真左上のように、建築基準法を遵守してつくった建物で、震度7の地震が起きた場合、2階の床部分が約33㎜動くという計算になります。
それが制振ダンパーを付けることによって、半分以下の15㎜以下に抑えることができます。
つまり、建物が壊れにくくなるということです。
実例をあげてみます。
40坪総二階建ての建物です。
この時、耐震等級3まで上げたかったのですが、新潟という地域性で、どうしても積雪荷重を考えますと、耐震等級3まで上げてしまうと、1階の壁量が増えてしまって、最初に計画していた24帖のLDKがとれなくなってしまうことになります。
やはり施主は、間取りも大事ですので、この24帖のLDKを確保しながら耐震性能を上げることはできないかという相談になったわけです。
実際に計算すると、耐震等級2の数字になりますので、建築基準法の1.25倍の1.39倍になり、耐震等級3の1.5倍には及びません。
そこで制振ダンパーを16本入れることにしました。
そうしますと、減衰定数が0.1から0.17に改善されて、地震の揺れ幅を抑えることができます。
また、加速度低減率も0.75から0.56に改善されて、地震エネルギーを44%低減することができました。
その場合の、限界耐力計算をすると、1.39から2.09まで数字が良くなって、建物の耐震性能が耐震等級3レベルに上がりました。
これは新築物件の例ですが、例えば戸建リノベーションになりますと、地盤改良をしていないですとか、基礎が古いままで、それでも耐震性能について考えていこうとすると、この制振ダンパーは有効ですので、是非覚えておいてほしいと思います。
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