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798万円~で家が建つ!みたいなやつよく看板でみませんか?


~本当に建つのか?どんな家になるのか?追加費用はいくらかかるのか?~


はじめに:「798万円~の家」を見たことはありますか?

郊外を車で走っていると、「798万円~でマイホームが建つ!」「月々3万円台で家が持てる!」といった広告や看板を見かけることがありますよね。

「こんなに安く家が建つなら買ってみようかな?」と思う人もいるかもしれません。ですが、実際には「思っていたより追加費用がかかって、結果的に2000万円以上になった…」というケースも少なくありません。

では、798万円の家は本当にその価格で建つのか?どんな家なのか?住めるようにするにはどれくらいの追加費用が必要なのか?建築のプロとして詳しく解説していきます。


1. 798万円の家ってどんな家?

結論から言うと、798万円で「家は建つ」。しかし、それはあくまで「建物の本体価格のみ」の話であり、そのままでは快適に住むのは難しいのが実態です。

一般的に、ローコスト住宅メーカーが提供する「798万円~の家」は、建物の面積が20坪(約66㎡)程度で、2LDKや3LDKのコンパクトな間取りになります。

建材や設備も最低限の仕様になっており、外壁は安価なサイディング、屋根はコロニアル(スレート)やガルバリウム鋼板が使われることが多いです。窓やサッシは単板ガラスのアルミサッシが標準仕様で、冬は結露が発生しやすく、夏は室内の温度が上がりやすいというデメリットがあります。

内装に関しても、キッチンは安価なシステムキッチン、お風呂は1216サイズ(1坪未満の狭いタイプ)が標準で、トイレも1カ所のみということがほとんど。収納スペースも最低限しかないため、住み始めてから「収納が足りない…」と感じることも多いです。

さらに、断熱材や耐震性能も「基準は満たしているが最低限のレベル」に抑えられていることが多く、標準仕様のままだと冬は寒く、夏は暑い家になりがちです。

つまり、798万円という価格は「家の箱」が完成する金額であり、「快適に暮らせる家」になるためには、追加の工事や設備投資が必要になるのです。


2. 798万円で建つ家に追加で必要な費用は?

建築に必ず発生する「諸費用」

まず、建物本体とは別に、家を建てるためには必ずかかる諸費用があります。

地盤調査と地盤改良費は、その土地の状態によって大きく変わります。地盤が強固であれば追加費用は少なくて済みますが、地盤が弱い場合は補強工事が必要になり、50万円~150万円の追加費用が発生することもあります。

また、家を建てるには水道やガス、電気の引き込み工事が必要です。既に土地に整備されていれば問題ありませんが、新しく引き込む場合は50万円~100万円ほどの費用がかかります。

さらに、建築許可を取得するための設計・確認申請費用が20万円~50万円ほど必要です。工事を行う際には、足場や仮設トイレの設置などの仮設工事費も30万円~50万円程度かかります。

そして、家が完成した後には外構工事も必要になります。駐車場の舗装や庭の整備、フェンスの設置などを考えると、最低でも50万円、多ければ200万円以上の費用がかかることもあります。

このように、最低限の工事を行うだけでも、200万円~600万円ほどの追加費用が発生するのが一般的です。


住みやすくするためのオプション費用

標準仕様のままでは「住みにくい」と感じる部分が多いため、多くの人がオプションを追加します。

例えば、キッチンのグレードアップをすると30万円~100万円、お風呂のサイズを広くするだけでも30万円~80万円かかります。2階にもトイレを設置したい場合は、20万円~40万円の追加費用が必要になります。

また、収納スペースが不足しているため、クローゼットやパントリーを追加する人も多く、20万円~50万円ほどの費用がかかります。

さらに、標準仕様のままだと断熱性能が低いため、窓を二重サッシにしたり、断熱材を高性能なものに変更すると50万円~150万円の費用が発生します。

オプションを追加すると、合計で200万円~600万円ほどの費用が必要になることが多いです。


土地代を考慮しないといけない

当然ながら、家を建てるには土地が必要です。すでに土地を所有している場合は問題ありませんが、土地を購入する場合は土地代が別途かかります。

地方では300万円~1000万円、郊外では500万円~1500万円、都市部では1000万円~3000万円ほどの費用がかかるのが一般的です。

土地代の他にも、登記費用や仲介手数料などが50万円~100万円ほど必要になります。


3. 結局、最終的にいくらかかるのか?

実際に住める家にするためには、建物本体価格798万円の他に、諸費用やオプション費用、土地代が必要になります。

すでに土地を持っている場合でも、合計で1200万円~1500万円は必要になるのが一般的です。

土地を購入する場合は、その土地の価格にもよりますが、地方で2000万円~、都市部では3000万円以上になることも珍しくありません。


4. 798万円の家はどんな人に向いているのか?

「とにかく初期費用を抑えたい」「後からDIYで工夫したい」という人には向いているかもしれません。すでに土地を持っている人や、最低限の設備で満足できる人なら、うまく活用できるでしょう。

しかし、快適な暮らしを求める場合は、結局オプション費用がかかるため「総額」で考えることが重要です。


5. まとめ:「798万円の家」は本当に安いのか?

結論として、「798万円で家は建つが、住める家にするには1200万円~3000万円かかる」というのが現実です。

「安さ」だけで判断せず、トータルの費用をしっかり見積もってから計画を立てることをおすすめします!



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