【投資】住宅は購入か賃貸か、一戸建てかマンションか
自分の住むところを考えるにあたり、それを購入するのか借りるのか(賃貸か)、そして一戸建てかマンションか。それぞれ、どちらがいいか、どちらがお得か、といった議論がよくあります。今日はそれについて自分の考えを整理したいと思います。
結論は?
結論だけ先にいうと、先日の"【投資】【筋トレ】【ゴルフ】不正解はあるが、正解は?"でも議論したのと同様、住宅選びについても「正解は人それぞれで異なる」と思っています。これを言ってしまうと元も子もないんですが、人それぞれのライフステージ/年齢、家族構成、金銭的状況、価値観、そういう様々な要素で、自分に合ったものを選ぶ、それが正解。ただその中で、やってはいけないこと、不正解もあるんだろうなと思います。
自分は今、購入した一戸建てに住んでます。現在の住宅を購入する前は、賃貸でマンション、賃貸で一戸建て、両方を経験しました。また不動産投資家として、賃貸で貸す側もやっています。それらの経験を踏まえ、なぜ現在は一戸建てを購入して住んでいるのか、自身の過去の意思決定を整理したいと思います。
購入か賃貸か?:家族のステージと地域性
まず購入か賃貸かについては、自分の中では「ここに住みたい」と思える地域が固まったこと、これが1番大きな要素でした。子供が小学校にあがるタイミングで今の地域の賃貸の一戸建てに引越し。そこで6年間を過ごし、その地域の環境、会社までの通勤(決して近くはなかったですが)や買い物、そして子供の少年野球のお手伝いを通じて築かれた地域との繋がり、そういったものが快適、心地良かったことがあります。結果として、子供がその地域から近い中高一貫校に行くことになったので、そのタイミングで家を購入することにしました。ただ、別の学校に行くことになっていたらどうしていたか…実際、別の学校の地域の物件も見に行っていて、その地域も候補にしていたので、今の地域が好きだったというよりは、本当のところは「子供の学校の近くに住む」というところが第一にあり、結果としては「地域が変わらなくて良かったな」という感じでした。別の地域にしていたら、ひょっとしたら賃貸のままだったかもしれません。
購入か賃貸か?:金銭面と市場タイミング
家を購入する決定をした最大の要素が、子供が中学に進学するというタイミングと、今後も住みたい地域が固まったということでしたが、それを後押しした材料が、頭金がある程度貯まったことと、リーマンショック後の2009年というタイミングでした。ちょうど2008年のリーマンショックの真っ只中から家探しを開始。中古物件、売れ残り物件等の選択肢もそこそこあり、値段もそこそこ買える水準、また住宅ローンの金利もどんどん低下傾向にありました。
結果的には、住宅ローンの変動金利が団信込みで1%を下回ってきており、それはお得かなと思ったので、むしろ頭金をできるだけ使わずに、借りれるだけ借りることにしました(たぶん9割くらいは借り入れたような…)。それと同時に、ほとんと使わなかった頭金は、全額日本株に行きました(笑)今思えば、2009年、絶妙なタイミングでしたね。
とはいえ、「自身の返済能力を超えた無理な借り入れ」はやってはいけないこと、不正解の1つです。最近の「購入か賃貸か?」の議論で、借入負担、返済リスクをもって賃貸のほうがいいという意見もありますが、それは賃貸でも同じ。家賃であれ借入の返済であれ、自分の払える能力以上の物件を選んではいけないということです。
購入か賃貸か?:不動産投資家としての観点
自宅を購入した後に、不動産投資を始めました。自宅購入の際にはあまり考えてもいませんでしたが、不動産投資を開始し、賃貸で部屋を貸し出すというのを始めて、やっぱり「自宅については賃貸よりは購入かな」という思いが強くなりました。家賃は、不動産オーナーの借入金の月々の返済額(不動産投資ローンの金利は住宅ローンより高い)、固定資産税といった物件オーナーにかかる固定費、修繕費といった変動費、そしてオーナー自身の利益、そうしたものが全部積み上がって設定されます。自分で住宅ローンを返済していくよりも割高です。
そんな購入するよりも割高な家賃設定ですが、それは部屋を借りる側からしたら「自由に住み替えができるオプション料」だとも言えます。ですので、「住み替えが自由であることを理由に賃貸がいい」という考えについては、「その分家賃が高く設定されている(住み替えができるオプション料を払っている)ので、経済的に均衡している」とも言えるかなと思います。
購入か賃貸か?:リスクヘッジ
前述のとおり、購入のネックは、その後の急な環境変化(家族関係もそうですし、経済状況もそう)による住み替えの自由度の低さでしょうか。私自身もリーマンショックの直後でしたので、マーケット的にはいいタイミングだと頭では思っていたものの、やっぱり感情面、内心は先々心配でした。「ほぼほぼフルローンで大丈夫かな?」とか、「全額変動金利で大丈夫かな?」とか、「残りの頭金、全額に日本株に突っ込んで大丈夫かな?(これはオススメしませんが…)」とか。
そうしたリスクや心配をちょっとでも抑えるべく、購入の際の物件選びは慎重に行いました。以下、自分が大事にしていた点を整理すると:
自分の好き嫌い・嗜好よりも、いざという時に貸しやすい、売りやすい、オーソドックスな物件を選ぶ→こだわりのレイアウトとか作りになっている物件になかなか買い手がつかないという実例を見たので。できるだけシンプルなレイアウトのものを選好。
後で変更できる設備よりも、変更できない要素を重視する(立地、駅からの距離、日当たり、周りの環境、地盤、建物の構造とか)。
モノを見て買う(検査もできるので)。これから建築、完成予定のものとか、あるいは注文住宅は選択肢から外す。→高い買い物です。自動車のように試乗できるわけでもないので、であれば少なくとも「実物を購入する前に見れるもの」を選びました。なお、自腹で追加のインスペクションも実施するつもりでした(結果としては実際はしてないんですが)。
自宅を購入したとしても、何かあったときに「売りやすい」「貸しやすい」物件を選ぶことが大事だと思っています。とはいえ、家は人生の多くの時間を過ごす空間です。「そんな経済合理性や、何かあったときのためのリスクヘッジよりも、自分の嗜好、家族の嗜好にあった家に住みたい」ということを重視される方が多いのも当然です。その方々にとっては、自分の理想を反映した注文住宅を建てたり、自分の好みにあった物件を選ぶののが正解ですかね。
一戸建てかマンションか?
さて、購入か賃貸かという点においては私は購入派になりますが、では一戸建てかマンションか、という点ではどうでしょうか。私自身は、「購入するなら一戸建て、賃貸ならどちらでも」という考えです。実際に賃貸でマンション、一戸建てそれぞれに住み、それぞれのいい点、よくない点を経験しつつ、結果として住み心地については優劣つけがたいなと思いました。ただ、「購入するなら一戸建て」については、自身の若い頃にそう信じ込ませる経験がありました。
それは1995年1月の阪神大震災。その頃は東京で社会人2年目。自身も家族もおかげさまでその震災の影響は受けませんでしたが、震災で壊れた物件の修復作業において「マンションは住人の合意を得るのが難しく、なかなか改修作業が進まない」という話を何度も聞きました。それが完全に頭にこびりついて、「買うなら一戸建てだな」っていう考えが定着してしまいました。
ただ冷静に考えると、そんな「一生に一度あるかないかの事象のために、一戸建てがいい」という自身の考えもちょっと極端、偏っているかなって気もします。
マンションは駅近にある物件も多く、利便性も高いです。セキュリティーのしっかりしているところであれば、安全性も高そう。また虫等の侵入も一戸建てよりは防いでもらえると思います。しっかり管理されている物件であれば、定期的な修繕等も行い物件価値も維持されると思います。そして、おそらくはいざという時に貸しやすいのもマンションかなって思います。一戸建てのほうは、やっぱりセキュリティー面でちょっと不安(セコムしてますが)、そして修繕に関しても、定期的に徴収される修繕費がない分、自分で貯めておかないといけません。庭の手入れも定期的にやらないといけないですし、家の前面道路の枯葉掃除とか、いろいろ大変な部分もあります。何気に、日々の1階と2階を行ったり来たりの階段の上り下りも面倒です(笑)
それでも私自身は、今の一戸建てに満足してますが、前述のとおり、マンション、一戸建て、それぞれ一長一短はあるでしょうね。ただ、マンションであろうが一戸建てであろうが、そこにもやってはいけないこと、不正解はあるような気がします。それは、欠陥物件を購入すること。でも、これって言うのは簡単ですが、素人では判断が難しいんですよね。なので、自分としては、物件をこの目で確認できて、なんなら追加費用を払って検査できる中古物件を買うこと、そこを大事にしていました。
まとめ
これまでの議論をまとめると、自分の住宅選びに関しては、「賃貸よりは購入派、ただし、いざという時に売れる・貸せる物件を(マンションでも一戸建てでも)この目で確認して選ぶこと」が自分にとっての正解かなっていうのが結論です。皆さんも住むところに関して、ご自身の正解を見つけてもらえればと思います。