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【投資】"短期売り逃げ"は悪なのか? - 「短期売り逃げ」ファンドに賛否 企業の成長支援に責務(日本経済新聞)
日本経済新聞の反アクティビスト、アンチ・アクティビストシリーズ第4弾、アクティビストは"短期で売り逃げる"からダメ、無責任だという議論。何を言っているんだ?という内容なので取り上げてみます。
記事の要旨
記事の主張としては、アクティビスト・ファンドの1つ、丸木強氏が率いるストラテジックキャピタル。取締役3人を送りこんだダイドーリミテッド(3205)について、これまでの50倍の配当を出させたあげく、目標株価1000円を超えたら早々に売却したことに対し、(記事では直接的な表現で批判はしていないが)"賛否が分かれた"としています。
アクティビストが企業の成長、価値実現の後押しをしているケースも紹介。一方的に批判はしていない内容ですが、最後に
企業を伸ばしたうえでのリターンでなければ、社会が拒否反応を示した2000年代の結末を繰り返す
と締めくくっているように、まあ短期リターン志向のファンドについて批判的な立場なんだろうなと感じます。
またWEB版の記事では、専門家の解説として、楽天証券チーフ・ストラテジスト、窪田真之氏も以下のとおりコメントしています。
「経営改革を求める」という大義名分を掲げて、財務内容が良好で株価が安い企業の株を買い集めて、株価を引き上げるための増配などの要求を繰り返し、株価が上昇したら短期的に売り逃げる行為を繰り返すファンドは、今でも多い。昔の仕手筋と大きな差異はない。保有期間などについて、規制が必要なことは明らかである。
長期投資で、真の経営改革を求め、稼ぐ力を向上させるファンドもある。「眠っている稼ぐ力」を活性化させることができれば、ファンドにとっても、企業にとっても良い結果となる。「眠っている資産(主にキャッシュ)」だけを狙うファンドなのか、「眠っている稼ぐ力」を狙うファンドなのかによって、結果は変わる。
そもそも…会社もファンドも他人のお金である
上場企業、いや上場企業に限らず株式会社は、創業者自身の資金のみならず、他人からも資金を調達してその資金で事業を行っています。上場企業なら尚更、他人から受け入れた資金に対してリターンを返す責任があります。借入金であればその見返りとして、あらかじめ定められた金利を支払えばいいですが、株式資本については配当で還元、あるいは株価を上昇させることによって出資者にリターンを返します。そしてその期待されるリターンは、借入金よりも高いのは当然です。
それを勘違いして、上場しても「会社のお金は自分たちのお金」「株式によって調達した資金は返済しなくてもいい」と勘違いしている経営者・企業が日本には多い印象です。窪田氏が"「眠っている資産(主にキャッシュ)」だけを狙うファンドなのか…"と、言ってますが、そもそも資産(バランス・シート)にキャッシュを眠らせたままにしている、そしてそれを株主資本の不活用(無駄遣い)だと思っていない企業、経営陣のほうが問題です。
短期志向のアクティビストにとやかく言われたくなければ、外部から調達した資本をフル活用して、全力で事業を行い、リターンをあげることに専念すればいいだけです。そんなに難しいことではないですよね?
ファンドだって、そのファンドに投資をしてくれる外部の資金、他人のお金です。例に出てきたストラテジックキャピタルの丸木氏だって、(当然自身のお金も出資しているはずですが)大半は投資家から集めたお金、その投資家に対してリターンをお返しする責任があります。
あらゆる属性の人たちが株式市場に参加し、そしてそれぞれの考えで株価の上昇を期待します。いろいろな思惑がある人たちが集まるからこそ、同じ価格で売り手と買い手が現れ、取引が成立する、流動性の高い市場が形成されます。
短期志向のファンドも全然あり。もちろん長期の成長を期待し、「眠っている稼ぐ力」を顕在化させるファンドもあり。短期志向のアクティビストに突っ込まれたくなければ、企業側・経営陣がそういう隙を見せなければいいだけかなって思います。