【新NISA】新NISA1年目、マイナス・リターンで始まる確率はどれくらいあるのか?
今年から始まった新しいNISA制度。これをきっかけに投資を始めたという方々も多いと思います。年初はそういった新規参入の流れもあり、堅調なスタート。いわゆる"新NISAブーム"を後押ししましたが、足元状況は一転してしまいました。
当方の新NISA口座。つみたて枠では日経225に連動するインデックスファンド、そして成長枠では米国NASDAQ100に連動するインデックスファンドに毎月積立で投資を行なっていますが、足元の評価損益はマイナスに陥っています。
新NISA制度は、(当方の場合は)今後5年かけて枠いっぱいの1,800万円まで投資を積み上げ、10年後、20年後に非課税の恩恵を受けれらればいいかな、という超長期のホライズンで投資。始まってまだ8ヶ月、240万円程度しか投資をしていない中で、「プラスかマイナスか」を議論しても仕方のないくらい、「まだまだ始まったばかり」のものです。
どれくらいのペースで積み立てるか、そして何年後までを想定しているかは人それぞれですが、20代・30代であれば年間360万円の枠を毎年埋めるわけでもなく、そして20年というよりは30年先まで見据える必要があります。始まって8ヶ月程度の相場の乱高下、"ほんと誤差の範囲"です。
これまで、新NISAでどれくらいのリターンが見込めるか?世の中によくある「リターンをX%と一定とすると」という非現実的な仮定ではなく、マイナスリターンもあり得るというもう少し現実的な仮定のもと、モンテカルロ・シミュレーション手法を用いて、未来の可能性を可視化してきました。
今回は以前のnote記事で用いたシミュレーションをもとに、「では最初の1年目、マイナスリターンでスタートする可能性はどれくらいあるのか?」「マイナス10%以上という大幅下落でスタートする可能性はどれくらいあるのか?」について確認してみたいと思います。
シミュレーションの前提条件を再確認
上記で貼った以前のnote("シミュレーションで投資・金融市場の不確実性(リスク)を可視化する")で使用した前提条件は以下のとおり。
期待リターン:年率8%(株式を想定、ちょっと保守的な感じ)
想定リスク:年率16%(シャープレシオ0.5、まあまあ?)
シミュレーション回数:3,000回
上記条件にそった金融系列をランダムに発生させていきます。今回はスタート1年だけの想定ですので、1年後にリターンがどうなるか?それを3,000回繰り返す、という感じです。
1年目、マイナスリターンで終わる可能性は?
上記前提条件のもと、では1年後リターンがマイナスで終わる可能性はどれくらいあるのでしょうか?
結果を確認してみると、3,000回中、894回、率にすると30%の確率でマイナスとなることがわかりました。
約1/3の確率でマイナス。それなりに可能性は高いですよね?1年間のリターンがマイナスになることは、感覚的には「普通に起こり得ること」として捉える必要がある確率です。
マイナスが10%を超える可能性は?
とはいえマイナスリターンといっても程度があります。では、そのマイナスが10%を超えるという"大幅下落"の可能性はどれくらいあるのでしょうか?
見てみると3,000回中、368回。約12%の確率です。8年に1回くらいの可能性でしょうか。これも「滅多に起こらない」というほど稀でもない、という感じです。
「期待リターンが8%」なのに、結果として1年後マイナス10%以上となる可能性が10%以上もあるのです。
積立期における市場のマイナスは歓迎すべき
「期待リターンをX%と一定とすると…」というよく見られるシミュレーションだと、なんとなくリターンは毎年プラスという錯覚に陥りがちです。でも、こうしてバラツキを想定したモンテカルロ・シミュレーションでみると、8月初からの市場の下落も「確率的には十分な可能性で起こり得ること」として受け止められます。
投資の基本は1)いいものを、2)安く買う、こと。
そういった意味では、この新NISAをきっかけに、これから資産を構築していこうという20代、30代、あるいは40代の人達にとっては、資金を投入している時期、いわゆる"積立期"は1)いいものが2)安く買えるチャンス。むしろ歓迎すべきことなのです。
なんならこの先5年から10年は「あまり上がらないでほしい」と思ってもいいくらい。
投資に"絶対"はありませんが、もしその"絶対"があるとすれば、市場が売られたからといってパニックになって売却する、あるいは「もうこりごり」といって投資をやめてしまう、これでは"絶対"に意味ある資産を構築していくことはできないかなと思っています。
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