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【投資】豊かさを測る指標(9) - 日本経済新聞
いよいよ豊かさを測る指標シリーズの最終回。"効率性一辺倒からの脱却"と題し、豊かさを評価する上での現在のアプローチの紹介です。
(9)効率性一辺倒からの脱却
これまで社会の豊かさを評価する上での様々な課題を見てきたが、規範的な評価の科学を充実させるには、理論・実証・実験の観点から基礎研究の一層の進展が求められる。
「豊かさを測る指標群」は整備されつつある。
フランスのサルコジ大統領(当時)が招集した「経済パフォーマンスと社会進歩の測定に関する委員会」(スティグリッツ委員会)で、(1つの指標ではなく)複数の指標群に基づいて「社会の豊かさ」を判断する「計器版盤アプローチ」を提唱。
単一指標ではなく、複数を指標群を並べ、社会の現状を把握しやすくするメリット。
経済協力開発機構(OECD)の「より良い暮らしの指標群」も運用、計器盤アプローチのさらなる発展と精緻化に期待。
ケンブリッジ大学のダイアン・コイル教授らは、2023年の論文で効率性一辺倒で拙速な評価を繰り返した経済学の現状に警鐘を鳴らし、厚生経済学の再起動が必要と。
厚生経済学は「人間生活改良の道具」であり、社会を「効率性」という評価基準だけで評価することや、非現実的な前提に基づいて安易に評価されることはあってはならない。
ダッシュボード - 複数指標群を包括的に見て判断することに行き着く
もともと当方この連載に興味を持ったのは、自身でも筆者が言うところの効率性を重視した従来のGDPによる豊かさの判断のアプローチに疑問を持っていたからでした。実際、以下の2023年11月のnoteで議論したとおり、パレート法則的な経済評価(きっと筆者がいうところの効率性と同じことかと思いますが)では、日本の良さは捉えられていないと思っています。
同時にこの連載を読むにつれ「豊かさを測る指標ができたとしても、その指標を他と見比べることで、自分は豊かではないんだと改めて気付かされ、むしろ不幸になる」のでは?という素朴な疑問というか、自己矛盾というか、そういうものも感じました。かつて世界有数の幸福な国とされたブータンの国民が、ネットの普及で自国の貧困を知り、幸福度が急落した例のように(連載3回目参照)。
今回の連載最終回。現在の厚生経済学が複数の指標群に基づいて豊かさを判断する「計器盤アプローチ」というのだと知り、自分の中では納得感のあるアプローチだなと思ってます。
考えてみたら、個別株運用においても、その企業が投資に値する価値があるかどうかの判断、別に1つの指標に基づいて行なっているわけではなく、複数の指標群を包括的に見比べて判断しています。まさに今回の「計器盤アプローチ」と同じ、要は「ダッシュボード」ってことですね。
この連載で厚生経済学の何を理解できたかは不明ですが、ちょっとした雰囲気を味わうことはできました。