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【投資】豊かさを測る指標(2) - 日本経済新聞

日本経済新聞誌面、やさしい経済学に連載されている「豊かさを測る指標」シリーズ。2つ目は「経済成長に頼る危うさ」についてです。


(2)経済成長に頼る危うさ

連載2回目は経済成長(GDPの成長)に国の豊かさを頼ることの危うさについて議論しています。ポイントとしては:

  • GDPは生活の豊かさに関する要素(健康、教育、労働環境、自然環境、余暇、治安、人権の保障など)を考慮に入れていない

  • 逆に生活の豊かさを破壊する活動(軍事費、訴訟費用、刑務所運営費、医療費など)は加算

  • こうした欠点は元々認識されており、「豊かさの指標」を作る試みは古くからあったが、1970年代前半、後のノーベル賞経済学者、ウィリアム・ノードハウス氏とジェームズ・トービン氏が、経済成長と豊かさの指標のトレンドが同じであることを定量的に示した。これにより、経済成長を社会の豊かさと解釈する風潮が再強化された。

  • しかしこの風潮には2つの問題がある。1つは経済成長(平均所得の増加)への過度な関心と、格差が国民生活にもたらす問題への無関心の醸成、2つ目は経済の基礎統計を目標としたため改ざんが生じたこと。

  • 特に独裁国家では、経済成長が国家目標となったことで、粉飾が横行するようになった。

若干ピンとこない - どの指標にも問題はあるのでは?

あくまでも素人個人としての感想ですが、今回の連載記事に関して以下の納得いかない点はありますね。

国全体の豊かさを測るのか、個々人の豊かさを測るのか?

筆者は経済成長(GDP成長)を社会の豊かさと解釈することの問題点の1つとして、経済成長への過度な関心と格差への無関心をあげています。

そもそも自分のGDPへの問題意識は、本文の最初のところ、豊かさに関する要素が考慮されておらず、また社会問題によって発生する(豊かさとは逆の)追加コストが加算されているという点にまさに指摘されています。ただこれは2人の経済学者によって、豊かさを測るためにつくられた指標と、経済成長を示す指標のトレンドが同じであるということが定量的に示されたということで、学問的には解決されました。

ただ、そもそもピンとこないのは、GDPという経済指標はそもそも国全体のマクロの状況に焦点をあてているのに対し、経済厚生/豊かさの指標は、本論で感じるところ、個々人の豊かさに焦点をあてているように思えます。つまりマクロとミクロ、視点が違うように思うわけですね。

個々人の感じる豊かさはそれぞれ異なる中、それを総じてマクロ的に議論しようとすると、結局は経済成長に集約されてしまう…そういう難しさがあるのかなと感じます。

どんな指標でも独裁国家であれば改ざんリスクはある

経済成長指標の2つ目の問題点として、粉飾・改ざんをあげています。独裁国家では粉飾が横行していると…まあそれは指標そのものの問題ではなく、運用面の問題ですよね。別にGDP自体に罪はありません。

どんな指標が使われても、そしてそれが国民の豊かさをちゃんと表す指標であっても、独裁国家であれば粉飾するでしょうね(笑)

まあとはいっても、自身も「豊かさを測るためにつくられた指標と経済成長を示す指標のトレンドが定量的に同じである」ということが示されたからといって、「ではGDPが日本の豊かさをちゃんと示しているか?」と言われると、100%は合意できない気持ちもあります。

そのあたり、今後の連載も楽しみにしておきたいと思います。

#日経COMEMO #NIKKEI


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