【投資】極小時価総額日本株投資の醍醐味 - デュアルタップ(3469)
自分がサラリーマンをリタイアして以来、ここ2〜3年フォーカスしている日本株の戦略が、時価総額が極めて小さい会社への投資です。これまでも何度か話題にしてきましたが、日本の株式市場には、機関投資家が投資対象としない時価総額300億円未満の銘柄が、実に数でいうと3分の2を占めます。こうした企業に投資をし、株主総会やIRを経由して、経営の資本効率や株主還元の改善を促し、株価上昇、さらには時価総額がもっと上昇し機関投資家の投資対象となってもらおう、という狙いです。
いわゆる「物言う個人投資家」。こうした個人投資家の存在が増えてきていることは、年初に日経新聞でも取り上げられていました(以下の記事ご参照)。
そうはいっても、玉石混交な極小時価総額銘柄群。以前、日本株の保有銘柄を紹介したとおり、これまでは3銘柄に投資。あまりパッとした結果にはなっていませんでした。
しかしながら遂に(笑)、これぞ極小時価総額投資の醍醐味というのでしょうか、保有銘柄の1つ、(株)デュアルタップ(3469)が火を噴きました。
デュアルタップ(3469)
デュアルタップは東京都区部で投資用マンションを開発・販売、そして販売後の管理も手掛けています。近年、マレーシアに進出したり、ハラル認証のエナジードリンクの合弁をやってたりと、いろいろと手を広げようとしていますが、結局のところ売り上げのほとんどはマンション販売。
コロナ禍からの正常化の中、東京への人口流入はプラス材料だと思っていましたが、やはり開発のための用地取得、建設費の上昇が足枷になっているか、近年は大型物件の在庫もなく、苦戦モード。本社移転により固定費削減してきています。
その結果、最近は400円近辺で株価も低迷。自分の中では、「失敗銘柄」「他の利益が出た銘柄に実現損でぶつける損だし用銘柄(結局実現損は出してませんでしたが)」として、ほぼほぼ塩漬け状態になってました。
そんな私の問題児、デュアルタップ(3469)。突然、2024年4月8日に株主優待制度新設をアナウンス。それも、100株保有で4,000円のクオカード(1年継続保有で追加1,000円)。12.5円/株の配当と合わせると、なんと100株/40,000円の投資で5,250円、13%と破格の株主還元+配当の利回り。当然発表の翌日からは、2日連続でストップ高となりました。
購入から現在までの経緯
そんな自分の中では「失敗銘柄」の位置付けの当該銘柄。そもそもなんで購入したのか?購入を開始したのは2021年7月以降。ただ単純に、1)時価総額30億円未満、PER10倍以下、PBR1倍以下のスクリーニングで引っかかってきたこと、2)当時のチャートでは、底値300円からカンバックしてきて、今後も伸びそうに見えたこと、3)HP等を調べながら、海外展開も含め事業を拡大しようという意欲が見えたこと、などでした。もともと流動性もそんなになかったことから、3ヶ月程度をかけて徐々にポジションを積み上げていきました(上記の図参照、平均単価623円)。
マンション開発・販売というビジネス。まずは土地の仕入れから始まり、そして上物の建築、そして最終的に販売した段階で売上が立ちます。そのプロセスは当然短期間で行われるものではありません。そして物件が無事に販売された直後には、「売上・利益が立ち、手元の現金が増え、そしてPER/PBRが低く見える」という状態。私がスクリーニングしたのは、まさにその時でした(アホすぎました^^;)
そういうビジネス・サイクルの特徴を理解をちゃんとしないまま、「早く極小時価総額銘柄のポジションを積み上げたい」という欲が勝ってしまいました。今思えば、ちょっと恥ずかしい投資判断。そして、コロナ禍明けの正常化局面では業績も上り調子になると思っていたのですが、原材料費高騰等の影響は2021年時点では見通せませんでした。
どこかのタイミングでロスカットもできないまま(流動性も低いですし)昨年後半には400円近辺まで株価は下落(▲35%程度)。なかなか苦しい状況でした。ただ一方で、400円くらいになったら下値抵抗の強さも感じ、このままコール・オプション的に持っててもいいかな…って思い始めていました(自己肯定したかっただけでしょけど…)。
Lessons Learned - 教訓/反省
今回の株主優待制度新設という神風により結果は大幅プラスで着地できそうですが(とはいえまだ全売却してないのでわかりませんが…)、ほんと反省すべきことが多い投資判断でした。これを「結果オーライで良かったね」で済ますのではなく、あらためて良かった点、悪かった点を整理し、次に活かさないといけないと思ってます。
反省点
投資対象のビジネスの理解をしっかりとする。単年度だけの決算内容だけでなく、複数年確認し、既存ビジネスが持続可能なものなのかチェックする。これ、当たり前のことなんですが、当時は「投資したい」意欲が強すぎ、そんな当たり前のことをちゃんとやらずにど素人判断してしまいました。
ポジション構築は焦らず、ゆっくりと。まずは少し買い、IRとのコミュニケーションやその後の開示姿勢、そして株主総会での経営陣の対応、そういったやり取りを通し、徐々に信頼度・確信度が高まってきたら増額していく。その間に株価が上がってしまっていたら、それは仕方ないと思って諦める。それを勿体無いと思わないように。
良かった点
これはこれで結果論かもしれないが、400円近辺で「もうこれ以上悪材料に反応することもないかな?」という判断ができたこと。これは、浮動株14%という流動性の無さ、こういった超小型株の特性かもしれませんが、短期で売る人がもういなくなれば、これ以上はなかなか下がらないものです。
今ダメな株が、将来もダメとは限らない。別の言い方をすれば、「今、会社の状態が悪いことは、決して将来も悪いことを意味しない」。そこから少しでもプラスの変化があれば、株価はプラスに反応する。
ただし、そのためには経営陣、または大株主が、株価を上げることに意欲・コミットを示していること。
今回の超絶な株主優待制度(とはいえ100株以上は一律同じなのですが)の是非に関する考えはまた別途ありますが、まだ自身のポジションも全部整理できていないので、今後の方針等も含め、また落ち着いた頃に書きます。目先、6月末の権利確定日に向けてボラタイルな展開は続くと思うので、売り機会は何度か訪れると思ってます(株価1,000円でも5%超の還元利回りですからね)。
まあ結果論ではあるものの、失敗銘柄だと思っていたのが何かの材料で急に息を吹き返す、こうしたコール・オプション的な事象も極小時価総額銘柄への投資の醍醐味だったりはしますね(笑)