【育休体験談vol.04】「当たり前を疑うようになり、仕事への向き合い方も変わった」
株式会社Mama's Sachiは、「ひとりひとりの声や体験は、誰かの希望につながる」との考えから、パパママの声や体験談などを「LINEで1日1問育児クイズパパ力検定」でのアンケートなどを通して募集し社会へ発信しています。
育休取得体験談のコーナー第4回。
今回は、自動車メーカー勤務で、およそ6か月の育休を取得したパパさんのお話です。
「共育て社会」へのはじめの一歩
育休取得体験談
ダイジェスト
育休準備編
【取得しようと思った理由】
妻から2人目ができたと言われた時に、育休の話に及びました。その時に、「次はあなたが(育休を)取って」と言われたのです。ですが、ぼくには育休取得のイメージが無く「取れるわけがない」とバトルに。話を進めるうちに、妻から「私もキャリアを大切にしたい」という話が出て、納得しました。そこではじめて妻の気持ちを知ったわけです。実際、妻は出産してから3か月で職場に復帰しました。妻が復帰するのとほぼ同時に、今度はぼくが育休に入りました。いわゆる”バトンタッチ育休”ですね。
【取得にあたって準備したこと(仕事面)】
育休取得の意思を早めに伝え、準備期間が十分に取れるようにしました。2月末に妊娠がわかり、4月には上司に伝えていました。当時の部長には、「ぜひ(育休を)取得してほしい。パイオニアになってね」と背中を押してもらえました。
【取得にあたって準備したこと(家庭・子育て面)】
妻とコミュニケーションをとることを最も大切に考えました。具体的には「コミュニケーションシート」を作りました。
「育休を取得する」と決めてからも、「育休」というものがどういうものか、何をすれば良いのか全くわかりませんでした。そこで、「育休」を自分なりに定義したいと考え、「仕事」に当てはめ、会社で使っているような資料を使って目標設定をすることにしたのです。
そして、妻と2人で同じ書式の「コミュニケーションシート」に記入していったところ、妻とぼくが捉えているものや視点が異なっていることに気づきました。家事育児に関して妻の視座は広く、全体を捉えるような書き方をしていたのに対して、ぼくは細部のスキルに注目しており、目線の違いを感じました。書き出していって対話を重ねていき、育休までにできるだけ目線合わせができるようにしました。
育休真っただなか編
【印象に残っていること】
自分にとって大きな気づきがあった瞬間がありました。それは、家族に貢献することの喜びに気づいた瞬間でした。育休に入ってからひと月ほど経った頃に、精神的に落ち込んで、ヘルペスまで出てしまいました。
その時に、自分にとっての「社会」が「会社」だったということに気づいたのです。会社に行かなくなったことで、自分は社会から隔絶されてしまったという感覚に陥りました。精神的に不安定になった当時は、育休がどういうものなのかきちんと理解しないままに育休に入り、無意識に「育休を糧にスキルアップする」というマインドでいたと思います。自分がいかに成長できるのかということに焦点を当てていたとも言えます。ですが、特に月齢が低いうちの育児は毎日大体同じことの繰り返しで、危ないことが何も起こらないこと、つまりプラスでもマイナスでもなく「0」が最善。だから「自分は成長していない」という苦しみがあったのです。
そんなある日、育休取得経験のある親しい職場の友人から「そろそろ辛くなってきた時でしょ」と電話をもらいました。ぼくは正直に、「自分から”取りたい”って言った育休がストレスになっているなんて言えないと思っていた」と打ち明けました。すると彼は「頑張り過ぎなくていいよ」と笑ってくれたのです。
その電話をきっかけに、そもそもぼくが育休をとったのは自分のためではなかったと気づくことができました。家族のために取得したのだったと気づけたのです。自分が育休を取得することで、妻がフルタイムで働けるし、子どもたちも喜んでくれている。そこに気づけたことで、育休の捉え方がようやく変わり、「自分がいかに成長するか」という呪縛から解放されたのです。
今思えば、会社人としての成長の方向性と、社会人としての成長の方向性は違うと考えられます。社会人としては、育休を通して視野が広がったと感じています。高みを目指す成長ではなく、広がりを感じられる成長。貢献する喜びを心から感じることができました。
【楽しかったこと】
貢献する喜びに気づいてからは、子どもたちと日々楽しく過ごしました。当時、もちろん娘はまだ赤ちゃんですが、息子は4歳だったので、一緒に遊んだ思い出が記憶に残っているようです。娘の散歩と合わせて、お兄ちゃんとモンシロチョウを追いかけたことも良い思い出です。
今でも印象的に残っているのが、ある夕方、スーパーに買い物にいく途中のことでした。
「何食べたい?」とぼくが聞くと、息子が「ママも好きなハンバーグがいいかな」。そして「ひき肉買おうか」と、何気ない会話をしているとき、不意に自分の口から、「幸せだなぁ」という言葉が出てきたのです。無意識でつぶやいたその言葉に、ぼく自身が驚きました。「おれ幸せな時間送ってんだな。こんなこと言ったの、はじめてだ」と。
その頃、「日本の社会ってあたたかいんだな」と感じられたことも大きな気づきです。ぼくが娘を連れてスーパーで買い物をしていると、たくさんの人が話しかけてくれたり、おばあちゃんやパートのおばちゃんも声をかけてくれたりしました。はじめて地域貢献の意識も芽生えました。お兄ちゃんの育児中は土日だけ子どもの面倒をみて、育児をしていることを気取っていたなと反省しました。
【価値観がアップデートしたと思ったこと】
人生観がガラリと変わりました。いろいろな当たり前を疑うようになりました。息子の時は、「子どもが生まれたらママが育休を取るのは当たり前だ」と思っていました。でも、「育児ってこんなに大変なのに、どうしてママが当たり前なんて言えるのか」と思います。どうして日本の社会は男性優位なんだろうという疑問にも変わっていきました。
復帰してからも育休を取得した影響はすごくあります。人にはいろいろな事情があるということを受け入れられるようにもなりました。当たり前を疑うようになってからは、人それぞれの事情に思いを馳せた上で、どうしたらみんなが働きやすくなるのだろうと考えるようになり、仕事との向き合い方が変わりました。常に周りに感謝を抱くようにもなりました。
【育休中、復帰に向けて準備したこと】
復帰後は、日々、どんなスケジュールで働きたいかを「見える化」しました。スケジュール表を作り、18時には帰れるようにしてもらえるよう、準備をしました。
育休を終えて
【取得期間について】
半年の育休期間は、自分としてはちょうどよかったと思っています。
娘を幼稚園にあずける際、2週間ぐらい慣らし保育の期間がありました。新しい環境に預けられ、毎回泣きながらも適応しようとしてくれている娘を見て、「自分は慣れたところに戻るのに、半年ぶりの復帰が不安って言ってられないな」と思えました。
幼稚園や保育園も、あずけて当たり前の場所ではなく、「働く親のためにあずかってくれているから働けている」ということにも思いが及び、働けていることも当たり前じゃないんだなと思いました。
【復帰してから大変だと感じたこと】
職場は理解があり、とても働きやすいのですが、敢えて言うなら時間のやりくりが大変です。自分はこれをやりたい、という時もありますが、時間の制約がどうしても生じてしまいます。幸い、両家の実家が近いので、頼らせてもらいながら乗り越えられています。本当に助かっていて、恵まれた環境だと思います。子どもたちも、いろいろな人に育ててもらっているのでのびのびと育っていますね。
【これから育休取得する男性へのメッセージ】
純粋に、育休を楽しんだほうが良いと思います。家事や育児のスキルというのは、正直、やるかやらないかの違いでしかありません。何のための育休なんだろうということを真ん中に置いて、家族や職場、自分にとっての良い育休にするために、まずは楽しめば良いと思います。正解はありませんが、家族も自分も笑顔になれたら嬉しいですよね。応援しています!
【パートナーより】
現在は、ふたりともが家事育児の「柱」となっていて、私自身も週に二日は残業や自分の勉強のための時間ができていますが、夫の育休取得までは夫婦対等とは言えず、夫が大黒柱でこちらがサブという位置付けでした。
当時、育休を取得してほしいと言い出した時はちょうど昇格のチャンスがあった時でした。1人目のときに遅れてしまったので、今回は「絶対に一歩も折れない」という覚悟をもって言い出したのを覚えています。思った以上に、こちら側の意向はパートナーに伝わりにくいものなんだなということを感じていました。夫が育休取得してからは、「ふたりでイクメンスピーチ甲子園を目指そう」と目標を持ち、歩調を合わせて進んでこられました。「バトンタッチ育休」で、朝から夫が1人で育児家事を担ってくれる時期が一定期間あったので、そこであらゆることの目線合わせ・相互理解ができたように思います。
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