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【解説②】教諭等の標準的な職務の明確化に係る学校管理規則参考例等の送付について(通知)2020.9.9一部加筆


*「まとめ」に加筆を行いました。

前の記事に書いたとおり、文部科学省は7月17日に

「教諭等の標準的な職務の明確化に係る学校管理規則参考例等の送付について」

という通知を発出しました。送付先は教育委員会です。

教員としての「働き方改革」を推進していく者にとっては、必ず知識として装備しておくべき、理論的根拠となる重要な資料の一つとなります。

前回の記事に引き続き、この通知の中身を詳細に解説していきます。

①本参考例の活用について

1.本参考例の活用について
教諭等の職務内容は,関係法令等を踏まえ,服務監督権者である教育委員会が定めるものであり,本参考例はそのための基礎資料として活用していただくことを想定していること。このため,本参考例を活用して関係規定等を整備する場合であっても,本参考例で示している規定の仕方にかかわらず,各教育委員会における既存の規定等との整合性を踏まえ,当該既存の規定等に応じた適切な形で対応いただくことを想定していること。また,具体的な標準的な職務を定めるに当たっては,各地方公共団体における具体的な職名や各学校・地域の実情等を考慮した上で定めることが求められること。

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【解説】
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〇前文に書かれていたことを簡潔にまとめたに過ぎません。詳しくは前回の記事をご参照ください。

〇要は、教員の仕事内容は、教員に対する服務監督権をもつ教育委員会が定めると法律で決まっているのは承知の上で、文部科学省としての見解を示すから参考にしてくださいという内容です。

②標準職務例に掲げる職務等について

2.標準職務例に掲げる職務等について
別添2別表に掲げる教諭等の標準的な職務の内容及びその例(以下「標準職務例」という。)については,校務の中で主として教諭等が担う職務の範囲を示したものであること。また,各学校に所属する全ての教諭等が一律に担うことを想定したものではないこと。
標準的な職務の例を示した「教諭等」とは,校長及び教頭等の管理職以外の学校における職であって学校に関する職務を広く担う職について,標準的な職務を明確にする趣旨から,主幹教諭,指導教諭,教諭,助教諭及び講師をいうものであり,標準職務例においては管理職が担う職務は示していないこと。なお,職務の中には,管理職が担うことも考えられる職務も示しているが,教諭等が担うことも想定されるため示しているところであり,実際の具体的な校務分掌に基づく役割分担については,管理職も含め,地域や学校の実情に応じ適切に実施することが考えられること。
なお,各教育委員会の関係規定において標準的な職務として位置付けられたとしても,教諭等に対し時間外勤務を命ずる場合は,いわゆる「超勤4項目」に当たる職務に従事する場合であって臨時又は緊急のやむを得ない必要があるときに限られるものであることに変わりはないこと。
また,標準職務例は,教諭等の標準的な職務の明確化を図り,教諭等がその専門性を発揮し本来の職務に集中できるようにすることを趣旨として示しているものであり,地方公務員法第 15 条の2第1項第5号に定める標準職務遂行能力における趣旨とは異なるものであること。

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【解説】
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〇ここでは、別添の表に、教員の仕事の範囲を「標準職務例」として示したので参考にするようにということが書かれています。

〇そして、対象となる教員(教諭)は、主幹教諭,指導教諭,教諭,助教諭及び講師であり、管理職の職務を想定したものではないと断っています。

〇このパートで押さえておきたいことは、もし各教育委員会が標準的な職務として位置付けた仕事であったとしても、教員に「時間外勤務」を命令できるのは、「超勤4項目」に該当する仕事に限定されると、文部科学省が改めて言明し、確認していることです。これは非常に重要なことです。

〇つまり、仮に部活動の顧問を強要したとしても、部活動に関する仕事は「超勤4項目」に含まれるものではないため、校長の職務権限が適用されるのはあくまで勤務時間内に限定され、勤務時間終了後の部活動指導を校長に命令する権限はないということです。あくまで校長は「お願い」しかできません。

(それにしても、教員の世界しかり、今回の外出自粛要請しかり、日本の社会の恐ろしいところは「お願いの強制」という空気による抑圧が構造化しているということだと改めて気づきます)

*なお、「超勤4項目」とは、以下の4つの業務に関してのみ、校長は時間外勤務を命令することができるとする例外的な規定のことです。

イ 校外実習その他生徒の実習に関する業務
ロ 修学旅行その他学校の行事に関する業務
ハ 職員会議に関する業務
ニ 非常災害の場合、児童又は生徒の指導に関し緊急の措置を必要とする場合その他やむを得ない場合に必要な業務

③標準職務例に掲げていない業務について

3.標準職務例に掲げていない業務について
答申の別紙2(「これまで学校・教師が担ってきた代表的な業務の在り方に関する考え方について」)を踏まえ,以下に掲げる学校の業務であるものの必ずしも教諭等が担う必要のない業務や,基本的には学校以外が担うべき業務については,教諭等の業務の縮減を推進する観点から,標準職務例には掲げていないこと。なお,これら業務のうち,学校徴収金の徴収・管理に関する業務については,基本的には学校以外が担うべき業務であり,地方公共団体が担うことが望ましいが,仮に,学校が担わざるを得ない場合であっても,教諭等の業務ではなく事務職員等の業務とする必要があると考えられるため,別途通知する事務職員の標準的な職務の明確化に係る学校管理規則参
考例等において,事務職員の標準的な職務として位置付けていること。

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【解説】
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〇ここからが最も重要な内容です。

〇以下に列記する仕事は、学校の業務として存在するが、必ずしも教員が担う必要はないもの、また基本的には学校以外が担うべきものであると文部科学省が明確に述べていることに大きな意味があります。

【学校の業務であるものの必ずしも教諭等が担う必要のない業務】
①調査・統計等への回答に係る対応に関すること
②児童生徒の休み時間における対応に関すること

③校内清掃に係る対応に関すること
④部活動に係る対応に関すること

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【解説】
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〇どれも重要なことですが、③の清掃指導、④の部活動指導教員の仕事ではないと明記されていることは注目です。

〇とりわけ部活動顧問の強要がこれまで最も大きな負担になってきたことを考えると、ここに文部科学省が部活動顧問は教員の仕事ではないことを明文化したことは、校長と対峙する上で大きな理論的後ろ盾となるでしょう。

〇ただし、注意しなくてはならないのが「必ずしも」教員が担う必要がないという言葉です。裏を返せば「必要に応じて」教員の仕事となる、「実態に応じて」教員の仕事にできると読み替えることができるので、こういう抜け道を与える書き方はやめてもらいたい。

〇たしかに本通知で繰り返し述べられているように、教師の職務内容を定めるのは服務監督権者である教育委員会です。だからといって過度に教育委員会に対して気を遣いすぎていては、たとえ文部科学省が「標準職務モデル」を示しても教育委員会に骨抜きにされて終わることが危惧されます。

〇否定的な意見もあるのは承知の上で言わせていただくと、文部科学省の通知にある程度の強制力がなければ教育委員会の動きは鈍いままで、現状は簡単には変わらないと思います。

〇そして実際に遅々として抜本的な改革が進まないのは、教育委員会に「焦り」が与えられていないからです。せめて「いつまでに」という期限を設けて、期限内に成果を出せなかった場合には「強い措置」を取らざるを得なくなるという姿勢を、文部科学省には見せてもらいたいと考えます。

【基本的には学校以外が担うべき業務】
⑤登下校への対応に関すること
⑥学校外における放課後や夜間などの見回り,児童生徒の補導への対応に関すること
⑦学校徴収金の徴収・管理に関すること
⑧地域ボランティア等との連絡調整に関すること(地域学校協働活動の一環として地域学校協働推進員等が担うべきものをいい,校務分掌等で教諭等の職務の内容として定められた地域学校協働活動推進員等との連絡調整の職務を除く。)

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【解説】⑤登下校への対応に関することについて
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〇これはすでに2017年(平成29年)から文部科学省が発信してきたことでもあります。

〇登下校の「見守り活動」は教員の仕事ではないと言うのは、少し冷淡な感じを受けるかもしれません。実際にはやらざるを得ないし、私個人としてはやるべき必要のある仕事だと考えています。

〇ただし、「勤務時間外」の仕事になっているという事実は問題視されて然るべきだと考えます。教員の出勤時間と生徒の登校時間の設定に無理があるのが現状です。

〇実例を上げると、出勤時間が8:15で、生徒の登校時間が8:25だとすると、生徒は8:00くらいから学校に来始めるので、教員は8:00には学校近辺に立って安全指導をしています。これを「週番」といいますが、当番に当たっている週は、実際の勤務時間よりも早く来なければなりません。そして、ここでもやはりこの仕事をやらない教員は後ろ指を指されるという「空気」が支配しているのです。

〇これは学校以外が担うべき業務というよりも、学校がきちん勤務時間で担えるように制度を整えていってもらいたい種類のものです。

〇ただし、一方で、「登下校への対応に関すること」を文部科学省が含めてきたのには、何でもかんでも学校の責任に転嫁しようとする風潮を絶つ必要性を感じてのことかもしれません。たとえば塾に行く途中に事故や事件にあったら、塾の見守り体制が悪いと怒鳴り込む保護者がいるかどうか。怪我をしたら塾のせいだとわめく保護者がいるかどうか。少し考えてみてください。学校には、残念ながらいるのです。

〇twitterの中で、こんなやり取りを見ました。

〇次に示す「学校保健安全法」第二十七条は、学校が児童生徒に対する「安全指導」の義務を負うことを法的に規定したものです。

学校保健安全法
(学校安全計画の策定等)
第二十七条 学校においては、児童生徒等の安全の確保を図るため、当該学校の施設及び設備の安全点検、児童生徒等に対する通学を含めた学校生活その他の日常生活における安全に関する指導、職員の研修その他学校における安全に関する事項について計画を策定し、これを実施しなければならない。(地域の関係機関等との連携)
第三十条 学校においては、児童生徒等の安全の確保を図るため、児童生徒等の保護者との連携を図るとともに、当該学校が所在する地域の実情に応じて、当該地域を管轄する警察署その他の関係機関、地域の安全を確保するための活動を行う団体その他の関係団体、当該地域の住民その他の関係者との連携を図るよう努めるものとする。

〇この「安全指導の義務」を定めた条文を引き出してきて、「登下校中の事故は学校の責任ですよね」と主張する保護者がいたのです。

〇当然、どこの学校でも登下校の「安全指導」はします。しかし、指導の義務を負うことが登下校の事故の責任が学校にあることと同義であると拡大解釈してしまう(自分が持ち出してきた法律さえ正しく読めない)保護者がいるわけです。

〇こういうクレーマーが常態的に存在し、過重な責任を学校に課してしまうのであれば、学校の管理下から引き離してしまおうという方向性に動くのも致し方ないかもしれません。

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【解説】⑥学校外における放課後や夜間などの見回り,
    児童生徒の補導への対応に関すること
について
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〇このような当たり前のことを明確に線引きしたことは大きいと思います。

〇児童生徒の補導、たとえば万引きなどで学校に店側から電話がかかってきても、学校が対応する必要はないということです。当たり前です。学校外での犯罪行為などは当然、保護者に第一義的責任があり、もし保護者が引き取りにいけないのであれば警察(=学校以外)に引き取ってもらうべきです。

〇ある同僚の話ですが、担任していた生徒が万引きをして店員に捕まり、店主から連絡を受けました。同僚が保護者に電話して引き取りに行ってもらいたい旨伝えると、謝るどころか「仕事なので引き取りにいけません」と突っぱねられ、責任感のある同僚が引き取りに行き、店主に謝罪しました。後日その保護者に会う機会がありましたが、「先日はご迷惑をおかけして、申し訳ございませんでした」の一言もない。そんな保護者が増え続けています。

〇また、たまに地域の住民から「公園でボール遊びをしているので注意しろ」といった類のクレームが学校に対してありますが、公園は学校の管理下ではありません。そのようなクレームに対応する必要はないということです。「警察に通報してください」と言っても構わないということです。

④適切な校務分掌について

4.適切な校務分掌について
校長は,学校規模,教職員の配置数や経験年数,各学校・地域等の実情に応じて,具体的に校務の分掌を定める必要があると考えられること。
なお,標準職務例に具体的な職務として掲げていない職務であっても,学校規模,教職員の配置数や経験年数,各学校・地域等の実情に応じて教諭等が担うことが必要と校長が認める職務については,校務分掌に位置付けることが可能であること。その場合には,標準職務例に具体的に掲げている職務を整理及び精選した上で実施することが基本的に前提であると考えられること。

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【解説】
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〇せっかく教師の仕事ではないものを明記したにもかかわらず、ここでまた解釈の分かれるような書き方をするのが文部科学省の責任逃れの手口です。

「標準職務例」に掲げていない仕事でも、校長が教師が担う必要があると判断すれば、校務分掌に位置付ることができると述べています。

〇結局、それでは校長が必要と判断すれば、部活動を校務分掌に位置付けることが可能ということになってしまいます。

〇以下のような特設サイトを作り、文部科学省が「働き方改革」に乗り出そうとしていることは知っていますし、一定の評価はしたいと思います。

〇しかし、こういう「抜け道」を用意しておくから、改革しようとしても結局「骨抜き」にされていつまでも堂々巡りのいたちごっこが続くのです。自分たちの仕事を自分たちの手で潰してしまっているのがわからないのでしょうか。

〇これでは日本の教育を変えたい、日本の教育に貢献したいという高い志をもっていたはずの、優秀な若手官僚の離職希望者が増加する理由も推して知るべしです。

スマホ持ち込み容認などの愚策(どう考えても教員の負担増につながる)は断行的に進めようとするにも関わらず、喫緊の必要性を求める改革に対して中途半端な姿勢を取るのはやめてもらいたいものです。

〇とはいえ、ここに至るまでの記述の中で、明確に部活動は教師の仕事ではないと文部科学省が示しているのですから、校長はまず大前提として部活動を教師に担わせなくてもよいように外部委託化に最大限、尽力しなければなりません。その結果適切な人材が確保できなかった場合に初めて「必要に応じて」という言葉が意味をもちます。

〇ハナから教師に部活動顧問をお願いする労務管理義務を果たさない校長に対しては、「あなたは文部科学省が必ずしも教師の仕事ではないと示している部活動顧問を教師の仕事から引き離すために、どれほどの努力をしたのか?その経緯を詳細に説明する責任があなたにはあり、その責任を果たした上でしか私にお願いをすることはできない」と詰めるべきです。

〇ただし、すでに見たように、超勤4項目に該当しない部活動を勤務時間内に強要することは法的に不可能であることには変わりないので、きっぱりと断る、もしくは勤務時間外の指導はしない意思を明確に示し、その上で保護者に対しても任命責任者としての説明責任を果たすように詰めるべきです。最悪の場合は、勤務時間終了とともに退勤するという強硬手段を用いるほかないでしょう。

⑤外部人材等との分担・協働を図った職務の実施について

5.外部人材等との分担・協働を図った職務の実施について
職務の実施に当たっては,校長は,校務分掌に基づき教諭等の間で適切に役割分担を図るとともに,事務職員や専門スタッフ,外部人材等との分担・協働を図る必要があると考えられること。

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【解説】
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〇校長は外部人材等との分担・協働を図る必要があるということは、文部科学省が示した【学校の業務であるものの必ずしも教諭等が担う必要のない業務】【基本的には学校以外が担うべき業務】を教師にお願いするためには、まずその大前提として、外部人材の確保に力を尽くさなければならないと解釈すべきです。

⑥保護者や地域住民等との共有について

6.保護者や地域住民等との共有について
学校管理規則等に教諭等の標準的な職務を位置付けた場合には,その目的や目標を保護者や地域住民等と共有し,地域の理解と支援を得るよう十分努める必要があると考えられること。

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【解説】
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〇教育委員会や校長は、保護者や地域に対しての説明責任を有しています。当然のことなのですが、実態としてはその当然の責務を果たさない「丸投げ校長」が大半であるため、教育委員会や校長の職務責任として位置づけようとしている姿勢は評価できます。

➆事務職員の標準的な職務について

7.事務職員の標準的な職務について
学校管理規則等に教諭等の標準的な職務を位置付ける際には,事務職員との分担・協働についても適切に図られるよう,事務職員の標準的な職務についても併せて位置付けることが望ましいこと。その際,別途通知する事務職員の標準的な職務の明確化に係る学校管理規則参考例等を参考にされたいこと。

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【解説】
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〇事務職員についても、教師同様に職務の範囲を明確にしなければ、学校徴収金の徴収・管理など、本来は地方公共団体など「学校以外が担うべき業務」がなし崩し的に事務職員に割り振られ、年々業務負担が増しているのが実態です。

以下の「事務職員の標準的な職務の明確化に係る学校管理規則参考例等の送付について」という通知が併せて発出されていることも付記しておきたいと思います。


まとめ:これは「管理規則」の改善を求める通知!

〇重要な点は、これは「ガイドライン」ではないということです。地方教育行政の組織及び運営に関する法律(昭和三十一年法律第百六十二号)第三十三条の規定に基づき定められる「管理規則」の改善を求める通知です。

◯そして、部活動改革論者として私が特に注目したいのは、文部科学省の見解として正式に「部活動は必ずしも教員が担うべき標準的な職務ではない」ということを示したことです。そしてこの見解を踏まえて管理規則の見直しを図りなさいと言ったことです。

◯たとえば、東京都教育委員会の「管理規則」では、

(部活動)
第十二条の十二 学校は、教育活動の一環として部活動を設置及び運営するものとする。
2 校長は、所属職員(事務職員等を除く。)に部活動の指導業務を校務として分掌させることができる。

と定めています。

◯以下の資料は、平成20年11月17日に開催された「学校・教職員の在り方及び教職調整額の見直し等に関する作業部会(第2回)」に東京都教育委員会が提出した資料ですが、ここで東京都教育委員会は、平成18年「都立学校の管理運営規則」の一部改正し、上記の通り「部活動」に関する条文(第十二条)を設けたことを説明しています。

◯そして、この第十二条によって「部活動の設置を義務化」し、「部活動指導を校務として明確化」したことで業績評価と連動させたことをポイントとして挙げています。教育課程外の時間外業務が業績評価を左右するという恐ろしいことをやってのけたことを堂々と説明しているわけです。

◯東京都教育委員会に限らず、多くの自治体で「部活動」が管理規則に入っているのが実情です。

◯しかし、今回の文部科学省の通知では、「部活動は必ずしも教員が担うべき標準的な職務ではない」ということを示し、その上で管理規則の見直しを図りなさいと言っているわけですから、これは部活動を管理規則から外しなさいと暗に示しているということなのです。

〇「管理規則違反」はすなわち「法律違反」であり、ここで定められたことを守らない校長が裁判で訴られた場合には、敗訴するものと考えられます。

〇つまり、「管理規則」を見直すように求める本通知には、それほどの重みがあるのです。

〇これを受けて、各自治体の教育委員会がどのように「管理規則」の改善に乗り出すか注目していきましょう。



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