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王友第十五號 編輯後記
◇・・・・・・・・・◇
◇本誌十周年記念號發刊に當つては、創
刊號以來御馴染深い各方面の、約百人の
方がたに、特に依賴狀を差上げて御寄稿
をお願ひしたところ、大部分の方から玉
稿や作品を頂いて、御覽の通り記念號に
相應しい豪華版となつた。編輯委員無上
の光榮とするところで、寄稿家各位並に
工場雜誌委員の方がたへ衷心から御禮を
申上げる次第である。
◇先づ巻頭に三神宮の寫眞を掲げ、國民
精神總動員の趣旨を强調したのは、尊皇
崇祖の日本精神を彌が上にも宣揚して、
現下時局に處する國民の心構へに寄與す
るところ大なるを期したのである。
◇又、十周年を記念する特輯記事として
は創刊當時より一貫して、本誌の爲めに
盡瘁せられた、佐上文藝部長の麗筆を煩
して、原稿紙八十枚に及ぶ「王友十年史」
を書いて貰つた。これは本誌十年の足跡
を具に語る、貴重なる文獻であると共に
雜誌「王友」を通じて觀たる、我社の變
遷消長を壓縮した社史とも稱すべきもの
である。
◇次に、出動社友諸氏からの通信を輯錄
した「戰線便り」は、本號の特種として
大いに喝采を博するものと自負してゐ
る。然し、軍機保護法に對し、極めて愼
重な態度を取つた爲、文中多數の伏字を
せざるを得なかつた點は、特に御諒解を
願ひたいのである。
◇猶ほ、本號掲載の一、二篇中、時局雰
圍氣を考慮して、誤解を受ける虞あるも
の及び、社内人事ゴシツプを記述せるも
の等に對し、編輯者の專斷で改作又は削
除したものがあるが、このことも筆者の
御寛恕を乞ふ次第である。
◇十年の歳月の流れと共に、兎に角「王
友」は玆まで來た。多少でも本誌に關心を
持つて頂く人びとから、絕大なる支持を
受け、同情ある鼓舞激勵を寄せられ、い
ろんな忠告や、助言を聽くのは實に嬉し
い。それと共に、惡意なき苦言を頂くこ
とも一層に難有く思ふ。大先輩野田氏の
言はれるやうに、現在の「王友」は創刊
當時の發行主旨とは餘りに背馳して、「庇
を貸して母家を取られた感がある」のも
事實である。然し、何事も時流と環境に
逆ふものは滅亡あるのみである。若し、
現在の「王友」が時流に抗するものだつ
たら、何人の手を煩す迄もなく、自然に
消滅し、或いは變形して行くであらう。
總てを時の解決に任せて、吾われは與
へられたる。この樂しき仕事に精魂を傾
注し、さうして、創造の喜びを滿喫した
いのである。(菊池)
{前略}
我が編輯陣の至寳一錢亭、記念號編纂
に心身甚だ勞した勢か、頃來枯影悄然た
るものがある。彼の形姿を望見したる某
先輩は「痩軀は枯ススキの如く、贏體は
蠶の如くスイて見える」と評して居る。
その言必ずしも眞相を穿つものではない
が、一錢の保身態度に對し、將に大喝を
喰はしたものと云ひ得られる。好漢よろ
しく、「王友」百年の爲めに、切に自愛加
餐されることを祈る。(佐上富造)
(「王友」第十五號
昭和十三年四月二十五日發行より)
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