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王友俳壇 (王友第十號)
本 社 菊 池 一 錢 亭
松 の 根 に 酒 注 ぎ け り 今 朝 の 霜
春 麗 ら 釣 り 落 し た る 魚 の 音
舟 べ り に た ゆ た ふ 波 や 春 麗 ら
伊 豆 の 湯 の 厠 の 窓 の 小 梅 か な
(「王友」第十號
昭和十年六月二十日發行 より)
句 境 管 見 (十號王友俳壇瞥見)
十 條 小 沼 九 人 像
{前略}
一錢亭氏の、
春麗ら釣り落したる魚の音
次の「船べり」の句と共に、よくのんびりとした春の日の情景は、現されて居りますが、然し二句共「春」の字は不要と想ひます。「麗や」又は「麗に」で充分だと想ひます。「今朝の霜」の「松の根に酒注ぎけり」は、私共小供の時分何の事はなく、松に酒をやると勢ひよくなると云ふ觀念があつて、永く神棚にあつた御酒とか、古くなつた酒などはよく庭の松の根にやつたものであります。この酒はどう云ふ酒であらうか。それが何の爲めに注いだのかと云ふ事を、詮捜する必要はない、しかも印象的に霜の下りた土を踏んで、庭の松の根に酒を注いで居る、作者の姿が見えて賴母しいのであります。「梅」の句は上五を「伊豆の湯の」と、說明に費ひやした事により、この句にゆとりを失はしめた結果となりました。
{後略}
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紙の博物館 図書室 所蔵
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