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制御できる感染者数

テレビをつければ、連日のように新型コロナウイルスの話題ばかりが流れてきます。一日単位で更新される新規感染者数の数字は、PCR検査によって、導き出されています。まず、このPCR検査によって、その陽性者数を感染者数と呼ぶこと自体に問題があることは指摘されなければなりません。

PCR法は何を検出しているのかというと、ウイルス遺伝子(新型コロナウイルスRNA)の断片になります。ウイルス遺伝子の断片が見つかったということは、「ウイルスが今いる」、あるいは、「少し前にいた痕跡がある」ということになります。
つまり、ウイルスの断片が残っていれば陽性になるということです。そのうえで、ウイルスの状態がどうなのかまでは、わかりません。ここがポイントです。PCR検査で確定できないことはいくつもあるのです。
※マネー現代「新型コロナ「検査の陽性者」=「感染者」ではない…!PCR検査の本当の意味」2020年9月3日より引用

PCR検査以外に有効な方法がないにしても、感染者数という言葉ばかりが独り歩きをして、実態が分かってもいないくせに、さも分かっているような報道がなされている点、否めません。

また、PCR検査自体の信頼性についても、偽陰性や偽陽性などの問題が取りざたされていたことがありました。ただし、ここではそれについては触れません。一応、そうした問題に対する反論は、以下のようなページがあるので、そちらを参照していただければと思います。注目したいのは、PCR検査を行う際のCt値です。

こちらでもいろいろ書かれていますが、PCR検査を行うにあたっては、Ct値の設定によって、陽性と判定される感染者数が変わってしまうことは否定できない事実でしょう。そしてそれは、一般的にCt値が高ければ高いほど、陽性判定の数が増えるということになります。ただし、Ct値はいくつが適正かという問題は、「何を陽性とするか」によって、異なってくるため、一概にCt値をいくつにすべきというのは難しいようです。

ところで、これを途中で変えてしまうと話が変わってきます。一部報道によると、厚労省がPCR検査を実施する際のCt値を変えていたというのです。

厚労省はかねてからPCR検査の拡充に消極的な姿勢を見せてきたが、一転、新たな検査方法を容認した。しかし、同時に新型コロナウイルス「陽性」の基準となる「Ct値」を下げていた。つまり、今後は陽性者が“自然”と減っていくことになるのだ。
(中略)
Ct値を下げれば見かけの陽性者数は減ります。もしかすると、東京五輪に向けて陽性者を減らし、なんとか開催にこぎつけたいという思惑まであるのかもしれません。ワクチン接種時期も関係があるといわれています。見かけの陽性者数を減らし効果のアピールをしたいのでしょう。経済を復活させるために、“Go Toキャンペーンを早く復活させたい”という狙いもあるかもしれません
※Newsポストセブン「厚労省が通達「コロナ検査の陽性基準を落とす」狙いは五輪か、GoToか」2021年3月4日より引用

PCR検査を実施する際のCt値を途中で下げてしまうことで、陽性と判断される人は減ることになります。逆に見かけ上の感染者数を増やしたければ、Ct値を上げればよいということです。そういう意味で、新型コロナウイルスの見かけ上の感染者数は、ある程度、制御可能ということになります。

発表前に報道陣に囲まれた小池百合子都知事は「今日もかなり多いと報告を受けている。60人台に乗せると聞いています」と発言。この〝乗せる〟という表現に困惑が広がっている。
(中略)
「乗った」ならともかく「乗せる」だと能動的に60人台に「した」みたいに聞こえるというのだ。言い間違いだとしても不用心である。
案の定、ネット上には「計算通りってこと?」「これが本当のアンダーコントロール」など、びっくりする声が数多く記された。
※東スポWeb「臆測呼ぶ小池都知事の「60人台に〝乗せる〟」発言 宇都宮陣営は「数が操作されているのか」

この報道が「感染者数をコントロールしている証拠」ということではありません。ただ、そういう疑念を持たれても仕方ないくらい、PCR検査による陽性者数の算出にはからくりがあるということです。

Ct値を国ごとに比較することで、どれだけの意味があるかは分かりません。しかし、事実として、日本のCt値は国際的にみて高い方でした。

こうしたことも念頭に入れたうえで、数字を読み解いていかないといけないということです。

テレビで連日報道されている「新規感染者数」のなかで、「今日のCt値は全国的に40で行われていました」などとは教えてくれません。(そもそも、PCR陽性者を感染者数として報道されるという問題もありますが)陽性判定の基準が変えられていても、私たちは「感染者数」として出された数字をそのまま見るしかない状態なのです。

そう、そのまま見るしかないのです。なので、そういうからくりがあるということを知ってたうえで、あまりそれに振り回されずに、見ておくことが重要です。

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