トリチウム以外の除去不能核種?
福島第一原発の処理水の問題について、韓国からも疑問の声が上がっています。
トリチウムだけでなく人体に致命的な放射性物質が含まれている。一度は浄化したものの、汚染水の約70%にはセシウム、ストロンチウム、ヨウ素などの放射性物質が依然として含まれている。日本政府は、再び浄化して放射性物質を基準値以下に下げると強調しているが、2次浄化の結果はまだ正確には公表されておらず、懸念の声があがっている。
(ハンギョレ新聞)
中国共産党外交部のコメントよりも、ずっと具体性があり、まさにこうした問題指摘は重要だと思います。
この論点については、日本でも指摘がなされています。
「東電が公表した資料によると、処理水を2次処理してもトリチウム以外に12の核種を除去できないことがわかっています。2次処理後も残る核種には、半減期が長いものも多く、ヨウ素129は約1570万年、セシウム135は約230万年、炭素14は約5700年です」とコメントし、世界の原発で平時に放出されている「トリチウム処理水」と全く別物であることを強調。
(日刊ゲンダイ)
ここで問題とされているのは、東京電力が2020年12月24日に発表した報告書のようです。そこで「12核種の除去ができない」との結果が出ているとのことなのです。
ところで、問題の報告書を確認すると(セシウム135はないものの)セシウム137、ヨウ素129のほか、一部報道でも指摘されているストロンチウムに関するデータが記載されており、それらが問題なく除去されている結果が出ています。
したがって、東電の報告書のなかに「12核種の除去ができない」と言われているというのが、どの部分になるのかについて明確にする必要があると思われます。
日刊ゲンダイでは、以下の通り、大手メディアの問題を指摘しています。
「大手メディアはほとんど問題にしていないが、「ALPS」で取り除けないのは、トリチウムだけではないという。トリチウム以外にもヨウ素129、セシウム135、セシウム137など、12の核種は除去できないという」
たしかに、メディアが言うことを鵜呑みにするのは危険ですし、常に「自分の頭で考える」ことは大切です。ただ、この報道において根拠とする報告書に問題がみられないとすると、少し落ち着いて考える必要がありそうです。
もちろん、東電の報告書自体がでっち上げ、データ改ざんをしていたなどがある場合には、次元が全く変わってきます。もしかしたら、ハンギョレ新聞の「2次浄化の結果はまだ正確には公表されておらず」という書き方に、でっち上げやデータ改ざんの可能性を示唆しているのかもしれません。しかし、今のところ報告書自体は(改ざんなどの)問題となっていないようです。
どんな問題についてもそうですが、いろいろな立場の人々、メディアがそれぞれの情報発信をしています。私たちはそれらをよく見て、自分の頭で考えていく必要があると思います。
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