夢と現実の狭間、あなたが光りかがやく歌詞14選
人と会う機会が減り、音楽に酔いしれる夜が一段とふえた。歌詞と音に没頭して、ちょっとだけほほを濡らす。ちょっとは嘘。まあまあな枚数のティッシュが必要。
近ごろ、自分の力ではどうにも変わらない現実に対する不甲斐なさでわんわん泣いてばかりの毎晩です。そういうときは音楽に力を借ります。
イヤホンを耳から外したときに少しだけ前を向けるような、そんな歌詞を紹介させてください。
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time will tell/宇多田ヒカル
泣いたって何も変わらないって言われるけど
誰だってそんなつもりで泣くんじゃないよね
サビより歌い出しのこの部分でやられちゃう。
15歳の作詞家、宇多田ヒカルに幾度となく救われてきたし、これからも救われるんだということを何番煎じだろうが後世まで伝えていきたい。
POOL/おかもとえみ
曖昧な夜明けを待つのなら
自分で進めばいいじゃない
「朝が来る」「陽は昇る」みたいな歌詞はありふれていますが、朝を待つ前に自分で発起するつよさ。良い。
東京で考え中/Enjoy Music Club
東京で考え中
ウンウン、うなってます今日も
くだらないとまじめごっちゃで
「くだらない」と「まじめ」が混ざるからうなり続けちゃうんだよね。悩ましい大半のこと、そういう二面性を孕むのやめない?行ったり来たりで永遠悩むじゃん。
幸せ/緑黄色社会
少し前の私と話ができるなら
こんな事想像していたかと
口を滑らせてしまうと思う
全体的にはがっつり恋愛の曲なんですけど、この歌い出しの部分はなんにでも当てはまる気がする。
「口を滑らせてしまう」で終わらずに「と思う」で結んで客観的に述べている姿が、まるでひとごとみたいに幸せを噛みしめているようで、とてもすきな歌詞です。
しあわせって結局、気づくことなので。
エピゴウネ/日食なつこ
あの日夢を乗せて打ち上げた
ロケットの軌道を今日も把握してるか
離陸に歓喜の声をあげて
それっきり終わってはいないかな
芯食ってるなあ。打ち上げには成功した夢って、自分が忘れてるだけでそこら中に落っこちているんだろうね。
これだけで十分なのに/TOCCHI
元々誰に何を言われ始めた訳じゃなく
何も疑わずにやってる
本当に足りないものなんて実はそんなに無いんじゃない?
僕はこれだけで十分なのにこれだけじゃ駄目ですか
このnoteを書こうと思ったきっかけの曲です。
愛も、応援も、努力も、なにもかも「誰に何を言われ始めた訳じゃなく」やってること。それを忘れたらおしまいだと思っている。絶対に忘れたくない。
PIECE OF MY WISH/今井美樹
愛する人や 友達が勇気づけてくれるよ
そんな言葉抱きしめながら
だけど最後の答えは 一人で見つけるのね
めぐり続く 明日のために
悲観的観測ではなくて、人って最後はひとりだと思うんです。それは事実として。であるならば、ひとりでも答えに辿り着けるようにならなきゃいけないよなって。
夜に数えて/MOROHA
羊数えても寝れない夜には
自分の事 指折り数えてた
俯いてた俺が一匹
またしくじった俺がいて二匹
消えてしまいたい俺が三匹
それでも消せない俺が四匹
残る小指で指切って約束
もう負けない 絶対に負けない
はい、思い出補正。思い入れありすぎて多くを語れん。
アフロ(MC)とUK(Gt)から成るMOROHAというユニットです。激情のラップと獰猛なギターリフは聴き手の感情を大洪水にしてしまいます。びっちょびちょにさせられるから頻繁には聴けない。
STAR TRAIN/Perfume
いつだって今が
Wow 常にスタートライン
「始めるのに遅すぎることなんかない」という言葉はいつの時代も正義。
Perfumeって下積み時代がけっこう長くて、結成15周年&デビュー10周年の節目に中田ヤスタカが書き下ろした曲です。いつもはすぐ歌詞を覚えにかかる三人が、はじめて歌詞をもらったときに泣いてしまった話がすき。
輝きだして走ってく/サンボマスター
忘れないで この世には 痛みと悲しみを
歯をくいしばって 抱きしめるキミにだけ
起こせる 奇跡があるってことを
ちょっとクサいぐらいなほうが響くときもあるよね。
「走りだして輝いてく」じゃなくて、「輝きだして走ってく」という曲名がなんともサンボらしさ。最初からトップスピード感。
ファイト!/中島みゆき
暗い水の流れに打たれながら 魚たちのぼってゆく
光ってるのは傷ついてはがれかけた鱗が揺れるから
全文引用したいぐらい素晴らしい曲なので言うことないですが、ここの表現が美しくて美しくて。傷ついた姿が輝くことだってあるよ。
Funny Bunny/the pillows
キミの夢が叶うのは誰かのおかげじゃないぜ
風の強い日を選んで走ってきた
結果論なんだろうけど。わざわざ「風の強い日」は選ばないじゃないですか。でも平坦な道より茨の道でもいいかと思える、ストレートに背中を押される歌詞。
フラッグを立てろ/YUKI
散りゆく花を咲かせるのは自分さ
咲かせるのは自由さ 戦うのは自分よ
「散りゆく」という前提がよくないですか、これ。そんでもって「咲かせる」のも自由なんですよね。最後はどこまでも、自分軸。
ど真ん中の核心を突きながら自分を奮い立たせるYUKIちゃんのスタイルがずっとすき。
Balloon/chelmico
悲しみの色が青だなんて嘘だ
なんにも無いんだよ ここには
なんにも無いです、結局。
つらい苦しいって思うのも、物事に対して自分で悲しい色をした絵の具を塗ってるだけのこと。青とか黒だとか、そういう苦難や不幸みたいな熟語が結びつきそうな色で、勝手に物事を解釈してしまっているのでしょう。
意味なんてものはなにもない。
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僕の敬愛するオードリー若林正恭の著書にこんな一節がある(『完全版 社会人大学人見知り学部 卒業見込』 大丈夫だよ 88頁)。
自力では抜け出せない程のネガティブな感情に嵌った時、一番初めに起動しなきゃいけないのはやっぱり心だ。
行動を起こしながら感情がついて来ることもあるだろうが、それでも一番初めのアクションは心からだ。
大丈夫と言うことから大丈夫は始まるのだ。
これをはじめて読んだとき、そうとも限らないのではないかと思った。
だって心底落ち込んでいたらまずこころの起動スイッチが押せない。少なくとも僕はそう。
やる気スイッチみたいにオン/オフの二者択一だったらよいものの、僕のこころの調子はグラデーションの模様をしている。
調子の悪さを自覚するのが遅いため(まだ大丈夫と念ずる質)、気づいたときにはどん底で、涙が止まらなくなる。ひとしきり泣くのを待ち、あとはもう時間の経過に調子の向上をゆだねる。
ただ最近、これはあまり芳しくないと思い始めた。
時間の経過にゆだねてしまうのは、その間に友人とたのしい時間を過ごしたり他の問題に目を向けたりして、悩ましき問題になるべく没頭しないでいるうちにこころが回復するのを待っているからである。
しかしこれでは肝心の問題から目をそらしている。
それが最近、のどにひっかかった魚の小骨のように気持ち悪く思えてきた。
内省する時間が増えて自分の弱さに気づいてしまったことは、短いスパンで見れば苦しいかもしれないが長い目で見れば望ましいことだろう。
ひたむきに悩むこの頭と一生付き合っていかなければいけないのだから、自分がこれで大丈夫と言うことが大切だ。
時間の経過に身を任すのは、考えることを放棄してしまっている。それでは成長も目標達成もない。
だから若林がいうように、心の起動は自分で始めなきゃだめだ。自分へのムチ入れを怠らず、同時に僕は、自分の脆弱性ですら愛していきたい。
弱くて仕方のない自分と向き合い、夢と現実の狭間で輝くのだ。こころに命を吹き込むには音楽で自分を満たす。泣いていい。泣かなくてもいい。
ただイヤホンを外したとき、数時間前の自分よりは大丈夫と言えるようになっていたい。それが自分との約束。
音楽があってよかった。響き渡る言葉があってよかった。そう思える夜を重ねていけば僕はもう、大丈夫だ。
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