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スマホ連携するハードウェアのUI/UX評価

どう評価するか?

最近、ハードウェア製品であってもスマホ連携する機能が当たり前になってきました。例えば家庭用医療機器の場合、腕時計型のウェアラブル機器で測定できる脈拍や心電図がそのまま機器で確認できるのはもちろん、体組成計や血圧計などからも測定データを専用アプリに取り込み、継時的な変化が分かるようになっています。生活習慣病などの慢性疾患では、測定値の一定期間のトレンドを患者も把握して自己管理することが重要なので、医師の立場や疾病予防(未病)の観点からも望ましいと言えるでしょう。

このようなハードウェアとアプリ(モバイルアプリまたはデスクトップアプリ)が連携する医療機器のユーザビリティやユーザーエクスペリエンスは、どのように評価すべきでしょうか。おそらく、以下3つの観点が考えられるでしょう。

  1. ハードウェアの人間工学設計評価

  2. アプリのユーザビリティ評価

  3. 両者を組み合わせて実現されるサービスのユーザーエクスペリエンス評価

上記の1も2も、ハードウェアやアプリがユーザーにとって正しく使えるように設計されていることを確認するために、ユーザビリティテストを行います。

リサーチ側には幅広い対応が求められるようになる

このとき、評価を行う側で若干問題になりうるのは、ハードウェアとアプリのユーザビリティテストは、基本的な考えかたが同じでも、調査設計や分析の実務面でやや違いが出てくるため、普段片方をやっているリサーチャーはもう片方が不得手になりがちなことです。具体的には、アプリの評価をし慣れていると、ハードウェアの評価では評価観点や評価シナリオの設計を迷う人がいます。逆に、ハードウェアの評価に慣れていると、アプリ特有の、日々アップデートされる最新のUI要素・UI効果について疎いことがよくあります。

そして3は、ユーザー視点からシステム全体をサービスとして評価することになるので、1や2とはまた異なるスキルセットが必要になります。

このように、ハードウェアがアプリ連携してサービス化していくと、リサーチャーとしてはより幅広い対応を求められることになります。リサーチャーのスキルを広げることで対応するか、あるいはハードウェアとアプリそれぞれを得意とするリサーチャーがチームで対応することが考えられます。

従来の医療機器メーカーにとって、アプリへの事業展開は新しい試みとなるでしょうが、ぜひ1と2を別々に縦割りのスキームで対応するのでなく、3の観点も含め総体的なアプローチで、新しい価値提供に挑戦してほしいものです。

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