令和7年度 東京工業大学 情報通信系 編入合格体験記
はじめに
初めまして。令和7年度(2025年度)の東京工業大学 工学院 情報通信系の編入学試験を受験し,無事合格したので,勉強方法や使用した教材などについて拙い文章でまとめていこうと思います。
自己紹介
名前:issaimaru
出身高専:某田舎の高専 電気制御システム工学科
学科順位(約40人中)
1年次:4位 2年時:4位 3年時:4位 4年次:2位
部活や資格:メカテック部(1~4年)、TOEIC 855点(3年3月)
受験大学
電気通信大学Ⅱ類 先端ロボティクスプログラム 学力入試 (滑り止め)
東京農工大学 工学部 知能情報システム工学科 電子情報工学コース 学力入試 (滑り止め)
東京工業大学 工学院 情報通信系 (本命・チャレンジ校)
勉強するにあたって意識したこと
なぜその参考書を使うのかを明確にする
自分は4年の4月から東工大編入のための対策を行ったのですが、最初の方はなにをすればいいかわからずに、非常に効率の悪い勉強していたと思っています。
例を挙げるとすると、とりあえず先輩の体験記を参考にして「編入数学徹底研究」を1周したあとに「大学編入のための数学問題集」も全ページ1周したのですが、「編入数学徹底研究」を1周した時点でどの分野が弱くて、どの分野が強いかの把握ができているのに、演習問題の量が多い「大学編入のための数学問題集」をなぜ使うのかを明確にできていないことが原因で、弱い分野も強い分野もやってしまい、費やした時間の割に成績が伸び悩む…といったことが多発しました。
なので基本的なことですが、なぜその参考書を使うのか?を常に考えて勉強するのを心掛けたところ、非常に短期間で成績を伸ばすことができるようになりました。
常にアンテナを張っておく
自分の高専自体、編入を志望する人が他高専と比較して少ないのですが、その中でも断トツで編入志望が少ない学科で、同級生の進捗と比較していると間違いなく落ちるし、編入の過去問には解答がないので誰かと解答共有する必要があるのに自分の高専から学力で東工大編入を目指してるのは自分だけでした。
なのでLINEのオープンチャットやXで先輩方に質問や解答共有をお願いしたり、4年の12月からはStudyplusで知り合った東工大受験生2人とDiscordグループを作って、一週間に一度通話で過去問の解答共有をするようにしたり、他学科の先生が開催してくださる東工大編入説明会に積極的に参加したりと、とにかく積極的に情報を仕入れることを意識しました。
その結果、最終的に5人分の過去問解答を約20年分集めて過去問を1つの教材として使うことができ、また受験生のレベルや進捗についてある程度把握することができて、適度にプレッシャーを感じながら受験勉強をすることができました。
勉強スケジュール
4年前期
応用情報技術者試験の受験が終わったその日にAmazonで編入数学徹底研究と大学編入のための数学問題集を購入して、とりあえず1周することにしました。
といってもこの時部活動で、春休みに設計した基板の組み立てやデバッグ作業と同時並行で勉強したので勉強時間は1日6時間ほどでした。
徹底研究で特に重積分や微分方程式でボッコボコにされて自分の基礎力の無さを実感しました。あと今思うと意味が分からんけどフーリエ級数などの章も学校で習ったので(絶対に東工大数学で出ないけど)真面目にやりました。
かなりしんどかったけどとりあえず6月上旬ごろには、徹底研究のうちの既習範囲は全て1周できていたので中間テストの勉強をすることにしました。
中間テストが終わり、このまま大学編入のための数学問題集を真面目に1周すると化学や物理をする時間が無くなる!と焦ったのでAmazonで大学生の初等力学、東工大の赤本20ヵ年、システム英単語、マクマリー有機化学概説を購入し、化学は一旦後回しにして英語と物理を同時並行で進めることにしました。夏休み突入前には大学編入のための数学問題集を既習範囲は1周し、システム英単語を第4章までを周回し、初等力学は半分くらいの仕上がりだったと思います。
7月中旬に電通大のOCに行った後に東工大のキャンパス巡りをしてきました。
電通大のOCに参加した感想としては、施設は高専よりもボロいように見えたけれど、先生や学生は優しい人が多くて、また、いい意味でgeekっぽい人が多かったので好印象でした。電通大は過小評価されすぎだけどいい大学だと思います。OCの最中に気になっていた「U.E.C.wings」の展示にお邪魔したところ、その年のパイロットの方が東工大に落ちた人で、自分はその時東工大に行ける学力があるか疑問で諦めようか悩んでたので、「やっぱり行くなら東工大の方がいいですかね…?」と聞いたら「絶対に東工大の方が良い!」とめちゃくちゃ説得されて、やっぱり諦めずに挑戦することを決意しました。
夏休み直前(7月後半頃)に学科で進路説明会があり、過去の先輩の勉強法などについて知ることができると期待していたのですが、去年の自分の学科の進学実績が、1番良かった人で農工大推薦、他は技科大、富山大、新潟大と非常に悪かったらしく、「君たちはもう手遅れ」みたいなことを言われまくり、内容も全然参考になりませんでした。
この頃から、他学科と比較して自分の学科は編入の情報やノウハウが蓄積されておらず、編入に力を入れてないのかな…と薄々感じ始めました。
このころはまだ毎日真面目に部活動に参加していたので相変わらず勉強時間は1日6時間くらいでした。
4年夏休み
夏休みに突入後すぐ、1ヶ月間東京で技術系のインターンに参加しました。しかも平日はかなり深夜まで働いていたため、8月は休日の間しか勉強できませんでした。インターンの期間はマンスリーマンションに住んでいたため勉強机のようなものはなく、休日は武蔵野市まで電車で行って武蔵野プレイスのような図書館を探して勉強していました。
夏休みの間に数学の未履修範囲を終わらせたいと思っていたので、高専の図書館で借りていた「はじめて学ぶベクトル空間」と「応用数学 (LIBRARY工学基礎&高専TEXT T4)」でひたすら基礎固めと、シス単を最後の章まで徹底的に覚える勉強をしていました。インターン終了時にはこれらの本が終わり、徹底研究の未履修範囲も全部1周することができました。
1ヶ月もインターンに行って編入に悪影響出ないだろうか…と当時は不安でしたが、今思えば4年生の夏休みの進捗なんて、5年の春休みで幾らでも挽回効くし、この時期からやりたいことを自制していたらそれこそメンタル面で後々悪影響出るので、編入勉強と両立できる範囲でやりたいこともやりましょう。Twitterで見て憧れていたすごく優秀な人とものづくりできたし、自分はまだまだ全然社会で通用しないということも分かったし、本当に色々な知識を学べたのでインターンに行って良かったと思います。
インターンから帰ってからは後回しにしていた初等力学を高速で終わらせて、初等力学と同じシリーズの「弱点克服 大学生の電磁気学」をやりつつ、マクマリー有機化学と同時並行で、図書館で借りた「有機化学演習:基本から大学院入試まで」を進めていきました。
9月の勉強時間は1日10時間程度していました。
またインターン中に毎週やっていたウィークリースクラムが、自分にとても合っていて(作業効率爆上げだった)、インターンに帰ったあとにそれを真似してnotionで毎週決めた曜日の夜に、1週間の予定を立てるようにしました。
余談ですが夏休み終了後すぐに学校で、工場見学という名の修学旅行がありました。
自分の学科は名古屋に行ったのですが、2日目に中学時代の仲良い友達2人がインスタで夜ごはんに誘ってくれたので行くことにしました。
2人は愛知県の私立大学に通っているのですが、高専生と真逆のザ・大学生って感じで、めっちゃ人生楽しそうだったので、これが大学生か…と大学に行くモチベが少し高まりました。
4年後期前半(~冬休み)
この時期は編入受験期で2番目に辛かった時期だと思います。8月はインターンでほとんど勉強できなかったためここで巻き返そうと思ったのですが、ロボコンの進捗がヤバいとのことで夏休みと4年後期の最初の時期に幽霊部員だった部活動に参加しないといけなくなり、思ったより進捗が出ませんでした。
ロボコン本番までまだ期間があるときは1週間のうち2、3日だけ参加して進捗を出し、他の日は1日中勉強することでなんとか両立していました。
この時期は数学だけ東工大の過去問に取り組み始め、強い分野と弱い分野を取捨選択して、弱い分野のみを徹底研究と大学編入のための数学問題集で対策するという勉強方法に切り替えたところ、段々過去問でいい点数を取れるようになっていきました。ネットで解答を手に入れることができた年度しか丸付けできないので解けない!というのが悩みでした。他には大学生の初等力学の二周目に入ったり、大学生の電磁気学を引き続きやったりしたみたいです。
ロボコン本番直前になると流石に両立することができなくなり、この期間の編入勉強の進捗はほぼなくなりました。授業中に内職するようになったのですが、ロボコンの進捗がヤバすぎて何回か授業を休んで進捗を出してた記憶があります。また、この時期はデスマーチって感じで部活動全体がギスギスした雰囲気で、色々トラブル等があったのも相まって、メンタルは最悪でした😇
メンタルボロボロになりながら自分が参加するわけでもない大会のためになんでここまでやらないといけないんだろうと正直思ったし、最終的に2チームの回路の大部分を作ることになったけど、4年連続で全国大会に出場できることに決まった時は普通に嬉しかったです。
11月後半にはロボコンの全国大会も終わり、やっと時間的余裕ができたけれど、メンタルはボロボロだったし10月上旬からほぼ進捗なかったので、この進捗具合は東工大落ちるな…と思ってしまいいまいち勉強に身が入りませんでした。クラスの雰囲気も編入するぞ!って感じではとてもなかったので流石に危機感を感じ始め、最終的に一緒に難関大合格を果たす中学時代からの友達のS月をDiscord鯖に誘って勉強することにしました。
このサーバーでは勉強して特に重要だと思った公式を共有したり、過去問で特に難問だと思ったところを写真貼って解きあったりということをしました。重要な公式の共有は、忘れた時にすぐ確認できるのはもちろん、自分が知らない重要公式を知ることができるし、難問の解き合いは、S月が解いてくれたことで分かった過去問も多くあるので個人的にやってよかったなと思いました。
また12月上旬には同じく電気科で東工大志望の子(以後「Sくん」とします)からstudyplusで「過去問の答案共有できる人をさがしているのですが、よかったら一緒にしませんか?」とDMが来たのでDiscord鯖を新しく作り、もう1人化学科の子(以後「Yくん」とします)を誘って3人で過去問の答案を1週間に1度Google Driveにアップして、通話しながら丸付けをし、分からない問題について教えあうことにしました。といってもYくんはまだTOEICに力を入れている段階だったので、しばらくの間はSくんと2人で過去問を解き合って、1月中旬ごろから3人で解き始めました。
Sくんは自分とほぼ同じ専攻分野で、進捗が似ていて化学の進捗がどっちもヤバかったので定期的に進捗を確認し合いました。
この時期は平均して1日7.3時間程度勉強していました。
4年冬休み
冬休みは殆ど大学有機化学をしていました。マクマリー有機化学がまだ全然終わらせられていなかったのでこの時期に本気出して東工大の範囲である12章まで終わらせて、有機化学演習も11章まで1周しました。
この時期は反応が全然覚えられず、有機化学演習が後半に行くにつれて未知の反応だらけになったので、めっちゃストレスが溜まって白髪が激増しました(笑)
個人的に東工大で出る反応は大体基本的なものなので、有機化学演習に載っているような難しい反応は覚えなくていいのではないかなと思います。
暗記が苦手だったので非効率的ではあるのですが、全ての反応を反応機構を理解して覚えるやり方に変更し、よく見る反応を紙のノートでまとめました。また、有機化学演習を周回して反応を覚えるのは非効率的だと思ったので、有機化学演習のうちの特に重要な反応を暗記帳にまとめて、毎日解くようにしたらだんだん覚えられるようになりました。
この時期は平均して1日8時間程度勉強していました。
4年後期後半(冬休み~)
相変わらず1週間に1度過去問を解いていました。
東工大の物理で毎週ボッコボコにされ、特に電磁気は出来なさすぎてSくんに電気科じゃないと勘違いされて「電気科じゃないならこの問題は解かなくていいんじゃないかな~」と言われるくらいできませんでした。
実は自分の学科の電磁気の授業があまりにもひどくて、ベクトル解析を使わないのはもちろんのこと線積分・面積分すら、4年生になっても意味を教えずに積分記号を暗記しろと言われるようなヤバい授業で、テストも過去問さえやれば満点とれるほど簡単だったのでまったくもって基礎ができていませんでした。
なのでこの時期は電磁気学演習と詳解電磁気学を図書館で借りてひたすらやっていました。
また、演習力学と、理工系学生のための基礎化学 量子化学編をこの時期に購入して1周しました。
理工系学生のための基礎化学 量子化学編は解答がないので、Sくんと解答共有して丸付けをしていました。また、編入試験物理部というTeamsのチャネルにて編入試験の物理の解答を制作してくださっている豊田高専の大森先生
という方がこの本の解答を制作してくださり、とても参考になりました。
4年生の授業である程度基礎は出来ていましたが、サイエンス社の基礎物理学演習Ⅰという本で熱力学の復習もしました。
この時期にある年度の化学以外の過去問を模試として解いてみたら、数学5割、物理9割、英語1割と、英語でけちょんけちょんにされました。
TOEICで855点と、英語にはある程度自信があったのでかなりショックで、春休みは英語に費やそうと決意しました。
自分の高専の化学科の先生が毎年、東工大の先生と自分の高専から東工大に合格した人を招いて、東工大編入説明会を開催してくださっていることを知り、S月が誘ってくれたので一緒に参加してみることにしました。東工大に合格した人が使用した教材や、東工大編入後の生活について質問して知ることができたし、S月がその化学科の先生に凸ってくれて、化学科の編入受験生が参加していて、定期的に編入対策用の講義が行われている「大学編入対策勉強会」というTeamsに入ることができるなど収穫がとても得られました。化学科ではこんなに編入をサポートしてくれる先生がいるんだと羨ましくなりました(笑)
あとは有機化学の復習をしていたら春休みになっていたと思います。
4年春休み
夏休み頃と4年後期前半にあまり勉強できなかったのでこの時期は本気で勉強して、3月は342時間勉強しました。春休みの記憶は勉強したことと、歯医者に行ったことしか記憶にないです…
この時期はほとんど化学と英語に全振りしました。
化学はまず、物理化学を極めようと思ったので「演習化学熱力学 (セミナーライブラリ化学 6)」という本でひたすら演習をしました。
また、有機化学がまだ固まっていないと感じたので、有機化学演習の12章も、フロンティア軌道論をもろぴーで理解しながら進めつつ、3周目に入りました。
3月中旬頃に「理工系学生のための基礎化学 無機化学編」の電子書籍を購入して、大学無機化学の勉強に入りました。無機化学は暗記だらけだと思っていたので嫌すぎてここまで後回しにしたけど、割と理論的に理解できるのでもっと早くやってよかったなーと思いました。わからない問題はYくんにDMで聞き、解答はSくんと共有して丸付けしました。
英語はまず、過去問でボコボコにされた原因を分析したところ熟語力が不足していることが原因の一つだと思ったので「英文で覚える英熟語ターゲットR」を購入してコツコツやっていくことにしました。春休み終了時には全部覚えられました。
次に、英文構造を正確に把握できておらず、英文和訳問題に時間がかかったり正確に訳せていないことが原因で失点していると分かったので、基礎英文解釈の技術100、英文解釈の技術100、肘井学の読解のための英文法が面白いほどわかる本 難関大編をやって徹底的に英文解釈を固めました。
さらに、長文に慣れておらず、長文の読解スピードが遅いことも課題だったので、基礎英語長文問題精講をやって長文に慣れていきました。
英語の完成度を定期的に把握するために、東工大の英語20ヵ年を1週間に1度のペースで解いていきました。最初は例のごとくボコボコにされたけど、段々解けるようになっていって感動しました。
1週間に1度の過去問解答共有はこの時期にも継続してやっていました。
5年前期
先輩の体験記を見た感じ授業切ってる人そんないないけれど、自分は春休みと同じ勉強習慣を保つために、2単位の授業だけ取って1単位の授業を切りまくりました。その結果1日に大体1コマしか授業がなかったです。周りが授業出てる中、図書館に籠って勉強しているのは背徳感がかなりあってメンタルがやられたのであまりおすすめしないです。
また、4月の時点で進路が決まっている人が大多数で、勉強している人はほとんどいなかったのでこの時期から加速的に病んでいきました。明石高専とかは別として、編入と仮面浪人は環境的にはほぼ同値だと思います。この時期が編入受験期で断トツで辛かった時期です。
春休み直後にまだカバーできていない範囲は「高校無機・波動」だったので、この範囲をやりつつ、苦手分野の学力向上に取り組みました。
数学は徹底演習で最後の総仕上げをしました。問題の難易度がちょうどよくて、テンポよく進めれたと思います。そのあとは過去問を解きつつ、苦手な分野だけ過去問特訓と大学編入のための数学問題集を使用して苦手を潰していきました。
物理は新たに「演習電磁気学 (セミナーライブラリ物理学 3)」と「演習しよう振動・波動」、「良問の森」をこの時期にやりました。これらの本は後ほど紹介しますがどれも良書で、これらの本から阪大や東工大の編入学試験の物理の問題が頻出していました。
これらの本をやった後、物理は安定して得点源にすることができたため、そのあとは今までにやった本をひたすら周回していました。
また、5年の4月までには物理の過去問約20年分の1周目が終わっていたので、仕上がったと思う分野から、分野別に難問の解きなおしを行いました。
化学は新たに「実践 化学の重要問題集」と「物理化学演習:大学院入試問題から学ぶ」、「演習無機化学 第2版」をやりました。あと、理工系学生のための基礎化学の化学熱力学編、有機化学編もこの時期にやりました。そのあとはひたすら今までにやってきた参考書を周回しながら、過去問も約20年分を2周しました。
英語は新たに「Vintage」と「門脇 渉の英語整序問題が面白いほど解ける本」で整序問題の対策を行い、「基礎 英作文問題精講」で英作文の対策を行いました。
5月上旬には東工大の赤本があらかた終わったので、「実戦模試演習 東京工業大学への英語(通称:青本)」に取り組み始めました。解説が凄いしっかりしてて、点数配分と自分の英語偏差値が分かるのでおすすめです。
そのあとは、Sくんの英語の先生が東工大編入試験の英語試験の解答を毎週作ってくださっていたり、Yくんの英語の先生が毎週過去問の英作文を添削してくださっていたので、毎週英語の過去問を解いたりしていました。個人的にこのおかげで英語能力を爆上げさせることができたと思っています。
最終的には、やらかしても英語で6割は安定してとることができるようになりました。
5月下旬頃に、Sくんに教えてもらって今年の東工大編入受験生が参加しているDiscord鯖に参加しました。
そこには最終的に一緒に東工大に合格することになる編入浪人のHさんがいて、Hさんはつよつよだったので特に物理分野で分からない問題を解き合ったりしました。また、新しくHさんの過去問の解答が手に入りました。
余談ですが東工大受験生の編入浪人の割合は他の大学と比較して高い気がします。今年の受験生だけで少なくとも2人編入浪人の方を見つけたし、過去の体験記にも編入浪人の方をちらほら見かけました。
7月中旬にはもうやることがなくなりモチベーションがガクンと下がりましたが、追い込みの時期だと自分に言い聞かせて本番までひたすら復習を繰り返しました。
使用した参考書
数学
東工大の数学は令和になってから難化傾向が続いています。特に線形代数は編入用の参考書に載っていない知識が出題されることがあり、深く勉強することが必要になると思います。
範囲としては微分積分学・線形代数で、他の大学に比べると範囲は狭く、対策しやすいです。
編入数学徹底研究 おすすめ度:★★★☆☆
定番の参考書。
漏れなく編入で使う数学の重要知識が載っているので、基礎固めと弱い分野を把握するためにとりあえず最初に1周するといいかも。
ただ問題量が少ないし、章末問題は癖のある問題が多めなのでこの本をやれば完璧ってわけではないと思います。
解説も少なめで、最初の方は苦労した記憶があります。
大学編入のための数学問題集 おすすめ度:★★★★☆
この参考書はあまり有名じゃないかも。「解答で勉強できる問題集」をコンセプトに作られていて、解答には高専生におなじみ大日本図書シリーズの数学教科書の該当ページが書いてあるため復習しやすいです。
問題量もちょうどいい量で、平成までの東工大数学で頻出していた条件付き極値問題が充実しています。
アウトプット用教材としてはとてもおすすめです。
4年前期から本番直前までずっと使ってました。
編入数学徹底演習 おすすめ度:★★★★☆
この参考書はインプットとアウトプットを同時にできる参考書で、最初に「要項」を見て解き方を理解し、要項の下にある類題を解くことによって効率よく学習することができるように作られています。
編入数学徹底研究に載っていない重要な問題や公式も載っているので、網羅性はこっちの方が高いと思います。
ただ、要項は基礎が固まっている人が理解できる程度の記述に留めてあるし、解説も乏しいので基礎固めがしっかりと終わってから手を出さないと挫折すると思います。
また、特に重積分は問題量が多すぎるので別の参考書でやったほうがいいかもです。自分は大学編入の為の数学問題集で演習しました。
編入数学過去問特訓 おすすめ度:★★☆☆☆
名前の通り、編入数学の過去問と解答解説が載っている本です。
大学によって癖のある問題が多いので、特にC問題まで全部やろうとするのは東工大数学の対策としてはオーバーワークだと思います。
自分はA問題とB問題は全部やって、C問題は受験する大学の問題のみ解きました。
はじめて学ぶベクトル空間 おすすめ度:★★★★☆
ベクトル空間は当時まだ学校でやっていなかったので、4年の夏休みに基礎固め用の教材として使いました。
高専生におなじみ大日本図書シリーズの教科書と同じ出版社から出ているということもあり、これらの教科書とほぼ同じ構成で独学しやすかったです。
どっちかというと電通大入試で非常に役に立ちました。
線形代数学:初歩からジョルダン標準形へ おすすめ度:★★★☆☆
東工大数学の過去問でたまーにガチの大学線形代数が出ることがあるので、オーバーワークか悩みながら5年生の6月上旬ごろにやりました。
近年ガチの線形代数が出題される傾向にあるので時間に余裕があるならやったほうがいいと思います。
物理
東工大では力学・電磁気・高校波動・大学波動・熱力学が出題されます。
問1は力学、問2は電磁気、問3は高校波動or大学波動or熱力学が出題されます。
全体的に問題のレベルは高く、深いところまで理解していないと解けない問題が多いです。
力学は他の難関大学よりは簡単で、典型的な問題集を完璧にすれば攻略することができると思います。
電磁気学は他の難関大学よりやや難しめで、大阪大学の基礎工と問題傾向が似ていると感じます。ただ近年は易化傾向です。
基礎をどれだけ理解しているかで最も差が付きやすい分野だと思います。
熱力学は他の難関大学と同じくらいのレベル感だと思います。物理の中では最も得点源にしやすい分野なので、しっかり対策しましょう。
波動は他の難関大学より難しいと思います。大学波動はまだ対策しやすいけれど、高校波動はたまに言葉で説明しないといけない問題が出題され、深い理解だけでなく、広い知識が必要となります。
大問3については近年は波動が出題される傾向にありましたが、今年は熱力学が出題されました。
弱点克服 大学生の初等力学 おすすめ度:★★★★★
東工大編入受験生だけでなく、編入受験生全員におすすめできる本だと思います。
解説が非常に詳しく載っていて、問題も大半が実際の編入試験や院試の問題なので、編入試験で頻出する問題ばかりです。
この本を周回すれば少なくとも旧帝より下の大学の力学は攻略できると思います。
演習力学(新訂版) おすすめ度:★★★★☆
初等力学では詳しく扱っていない、ベクトル解析を使った力学や極座標系の運動方程式などについて詳しく載っています。
旧帝大レベルになると、ベクトル解析を使った力学を知らないと詰む問題が出題されるので絶対やっておいたほうがいいと思います。
ただ、悪問が多いので飛ばしながらやりましょう。
6章の解析力学は正直やらなくていいですが量子力学で使うのと、複数の解き方を知っていたら検算などに役に立つと思ったのでやることにしました。
演習 力学キャンパス・ゼミ 改訂5 おすすめ度:★★☆☆☆
宗教上の理由でマセマシリーズは嫌いなのであまりやりたくなかったのですが、編入力学で頻出するコマの問題が上の2つの参考書には載っていなかったのでS月に借りてやることにしました。
ちゃんと嫌いな理由を言うと、マセマシリーズの演習本は穴埋め形式で方針がほとんど書かれているため、問題を解く思考力が身に付かないし、問題を解く面白さがなくなるからです。また編入試験にはオーバーワークと言わざるを得ない問題まで載っています。
コマの問題以外は上の2つの参考書やれば十分だと思います。
演習 電磁気学 おすすめ度:★★★★★
この本は旧帝大以上の大学を志望する受験生にはとてもおすすめな本です。
演習力学と同様に、ベクトル解析を使った電磁気学が載っていて、問題も阪大や東工大の過去問に載っているような良問が多くあります。
誘導電場?変異電流密度?なにそれおいしいの というくらい基礎がない状態から電磁気を得点源にできたのは間違いなくこの本のおかげです。
仮想変位の仕事や誘導電場、ローレンツ力と誘導起電力の関係については特に、この本を読んで問題を見る目が変わりました。
電磁気を独学する人はとりあえずこの本をやってみるといいと思います。
この本に限らずサイエンス社の演習シリーズには本当にお世話になりました。
詳解電磁気学 おすすめ度:★★★★☆
辞書みたいに多くの電磁気学の問題が載っています。
この本をまともにやろうとすると1年じゃ終わらないというくらい多くの問題が載っているので、つまみ食いする感じでやることを強くおすすめします。
他の参考書には載っていない、円柱導体の鎖交磁束とインダクタンス(導体内部の鎖交磁束も考えないといけない方)が載っていたり、編入試験に頻出である、様々な条件の導体球の問題について演習量をこなすことができます。
電磁気学演習 おすすめ度:★★☆☆☆
編入試験対策をするために電磁気学を勉強するならマジでやらなくていいと思います。この本に書かれている問題の7割以上が編入試験に出題される問題と大きくずれているし、問題の癖が凄く強いです。
未だにこの本が先輩の体験記で高評価をもらっている理由を知りたいです。電磁気学を独学する人がこれを真面目にやったら多分電磁気学を嫌いになると思います。
ただ、アンペールの法則の応用と変異電流密度あたりだけ良問があったのでつまみ食いするならやってもいいと思います。
弱点克服 大学生の電磁気学 おすすめ度:★★★☆☆
初等力学と同じく、問題の大半が実際の編入試験や院試から出題されているため演習にはぴったりだと思います。
問題見てないけど今年の東大の電磁気もこの本の内容から出題されたらしいです。
ただ、誤植が多いのと、ベクトル解析を使わない解き方が多いので最初にこの本を使うのは辞めた方が良いと思います。
基礎 物理学演習Ⅰ おすすめ度:★★★★☆
熱力学の対策の為だけに使いました。
熱力学の演習書としてはこれだけで冷却器以外はカバーできるし難易度も丁度いいくらいなので、とてもおすすめです。
冷却器は化学熱力学の対策でやりました。
演習 熱力学キャンパス・ゼミ 改訂2 おすすめ度:★★★★☆
東工大物理でたまに出題される、気体の分子運動論とファン・デル・ワールスの状態方程式の範囲を固めるためにやりました。
結果的に今年の物理ではこの範囲は出ませんでしたが、化学で出たのでやってよかったです。
良問の森 物理[力学・熱・波動Ⅰ] おすすめ度:★★★★☆
高校波動と気体の分子運動論の演習用にやりました。
大学受験の力学や熱、波動の過去問題と解説が載っています。
この本だけで、論述問題は無理ですが、そのほかの高校波動の問題はできるようになると思います。
演習しよう振動・波動 おすすめ度:★★★★★
大学波動の演習用に購入してやりました。
大学波動は参考書選びにかなり手間取ったのですが、東工大編入の為の対策ならこの本がぴったりだと思います。
令和6年度の波動の類題もこの本に載っていて、なんなら今まで東工大編入で出題された大学波動の問題は大体この本の類題です。
化学
非化学系の学科にとって最も課題となるのがこの科目だと思います。
東工大の化学は、化学科の成績優秀な子に聞いても分からないと返されるくらいには難易度が高いです。
また、過去問を解けるようになると分かるのですが、あの問題量で90分というのはかなり厳しい時間設定で、即答できるようになる必要があります。
ただ、ポジティブに考えると勉強した人とそうでない人で最も差をつけることができる科目と言えます。
また、数学や物理と異なり1度完成させれば、点数が安定しやすい科目です。
ちゃんと勉強すれば例年の難易度であれば非化学系でも7割は安定して狙えるんじゃないかと思います。
大問1と2は無機化学、大問3と4は物理化学、大問5と6は有機化学が出題され、どの分野も出題範囲は高校範囲~大学範囲と幅広いです。
自分が化学に本腰を入れて取り組んだのは4年の12月のことだったのですが、死ぬ気で勉強して範囲を全てカバーできたのは7月上旬とかなりギリギリだったと思います。なるべく早めから対策するようにしましょう。
マクマリー有機化学 おすすめ度:★★★★☆
自分はAmazonで第6版を64円で購入しました。非化学系学科であればインプット教材として必須だと思います。
後で紹介する有機化学演習という演習本とセットで使いました。
有機化学演習 おすすめ度:★★★☆☆
マクマリー有機化学とセットで使いました。
最初の方の章は東工大に出題される基礎的な内容なのですが、7章くらいになると段々基礎的ではない反応が増えていきます。また解説はほぼなくて、答えだけです。
勉強していくにつれてこの本を周回して反応を覚えるのは非効率的だと分かったので、重要な反応のみを暗記帳に書いて覚える勉強方法にシフトしました。
なのでこの本は主に、反応以外の基礎的な内容(Newman投影式、Fischer投影式、立体異性体などなど)のアウトプット教材として使いました。
個人的には次に紹介する教材の方が東工大の傾向と似ていて良書だと思います。
大学院をめざす人のための有機化学演習 おすすめ度:★★★★☆
東工大に頻出する問題の一つに、酸性度・塩基性度・沸点の比較があります。軌道のs性や誘起効果、共鳴効果など色々なことを考えて決める必要があり慣れが必要なのですが、この本はこれらの比較問題が充実してて、解説も詳しめに載っているため分かりやすいです。
反応も一部を除いて基本的なものが網羅されているので、個人的に上で紹介した有機化学演習よりもこっちで勉強する方が良いんじゃないかな~と思っています。
理工系学生のための基礎化学 有機化学編 おすすめ度:★★★☆☆
農工大受験のあとに東工大の生協に行き、この本を購入しました。
解答はSくんの友達の東工大生から貰いました。
半日あれば終わるくらい薄っぺらくて、内容もほとんど知っていたのでやらなくてもよかったかな~と思っています。
ただ、東工大の編入試験で見たような問題が結構ありました。
ジアステレオマーに幾何異性体も含まれる、ということだけこの本で知りました。
・もろぴー有機化学・研究ちゃんねる おすすめ度:★★★★★
この方は前まで大学の助教をされていた方で、大学有機化学の反応機構などについて非常に分かりやすい講義を出されています。
覚えられない反応があったらもろぴー先生の動画を見て完全理解していました。
・sin有機化学 おすすめ度:★★★★☆
もろぴー先生と同じく大学有機化学の講義動画を出されている方です。
反応機構の厳密さ(?)を重視しているのか、もろぴーよりは分かりにくいですが、もろぴーで扱っていない反応を解説されていたりします。
特に酸性度・塩基性度の比較動画や院試問題の解説でお世話になったと思います。
見るだけで分かる有機化学 おすすめ度:★★★☆☆
shorts動画で、「1分で分かる大学有機化学」シリーズを出してくださっています。
重要な範囲で割と忘れがちな部分について解説してくださっているので、ご飯中や休憩中などのスキマ時間に見ていました。
求核置換反応についての動画や、ノルボルナンが平面構造をとれない理由についての動画が特に参考になった記憶があります。
演習 化学熱力学 おすすめ度:★★★★☆
サイエンス社の演習シリーズです。この本も良書で、これだけで東工大の物理化学のうちの、量子化学と反応速度論以外はカバーできると思います。
かなり深い部分まで載っていて、熱力学的関数を覚えずにルジャンドル変換で導く方法や、東工大物理H31の大問3の捨て問の類題が載ってたりします。
本当は星5つあげたいのですが誤植の量がえげつないので星一つ減らしました。
理工系学生のための基礎化学 量子化学編 おすすめ度:★★★★★
東工大編入のためには絶対に持っておきたい本です。
この本を購入して過去問の量子化学の問題と照らし合わせてみましょう。
ほとんどこの本から出題されていることが分かると思います。
自分は3周くらいしました。
物理化学演習:大学院入試問題から学ぶ おすすめ度:★★★★☆
量子化学と反応速度論について大量の演習をこなすことができます。
理工系学生のための基礎化学だと演習量が足りないと感じたのと、反応速度論を勉強するためにこの本に手を出しました。
量子化学は、古典論からシュレディンガー方程式をすぐに導くことができるようになるまで演習しましょう。
自分は2周しました。
IRの基本シリーズ おすすめ度:★★★★★
化学熱力学と物理の熱力学で頻出問題の一つに、分子の運動の自由度があります。
このシリーズは2つしかないのですが、本当にわかりやすくて、この動画を見たら完全理解できるようになったのでおすすめです。
実戦化学重要問題集 2022 おすすめ度:★★★★★
高校範囲の無機化学と、高校範囲の物理化学、そして高校有機化学の構造決定あたりの範囲をこの本で勉強しました。
特に高校無機は最初、後ほど紹介する福間の無機化学から入ったのですが、この本が自分には本当に合わなくて、無機化学アレルギーになりかけました。
なのでこの本に救われました。今年の化学の大問1はほとんどこの問題集の問題から出ました。
福間の無機化学の講義 おすすめ度:★★☆☆☆
インプット教材として使うならありですが、この本だけで無機化学を完成させようとすると載ってる知識量が多すぎて挫折するのでやめたほうがいいです。
自分は挫折した後に、基本的に上で紹介した問題集を使って無機化学を暗記して、問題を解くうえで必要となる知識(例えば酸性条件下の硫化水素で沈殿するのはどれかとか)を理解したり暗記する一助としてこの本を使用したら、うまくいきました。
超抜ける!高校化学 おすすめ度:★★★★☆
高校無機化学の範囲で、覚えやすい語呂合わせについての動画を挙げてくださている方。
無機化学の色がどうしても覚えられなくて、プライドを捨ててこの方の動画を見たら覚えられるようになりました。
理工系学生のための基礎化学 無機化学編 おすすめ度:★★★★★
過去問を参照するとこの本からも多くの問題が出題されているため東工大の編入試験を受験するならば必須の本だと思います。
ただ、特に錯体の範囲はこの本だけだと演習問題量の不足を感じます。
なので自分は次に紹介する演習無機化学で演習量を稼ぎました。
演習無機化学 第2版 おすすめ度:★★★☆☆
錯体の演習としては深くまで載っていて、丁度いいと思います。ただ、他の範囲は材料学っぽい範囲で、東工大の範囲とはちょっとずれているのでやらなくていいと思います。
Sくんが分光化学系列の覚え方で悩んでて、自分も覚えれなくて調べてみたらXで面白い語呂合わせを見つけました。この語呂合わせで覚えました。
英語
東工大の英語は大問2つで構成されていて、それぞれ長文が出題されます。
例年大問1の長文がA4 6ページ程度、大問2の長文がA4 4ページ程度となっていて、かなり長い文章を90分という短い時間で解く必要があります。
先述したように3年生の春休みにTOEIC855点を取得して、英語にある程度自信をもっていた自分も、4年の冬に過去問を解いたら1割しか取れませんでした。
TOEICの対策は東工大の英語の対策に役立たないので、早めにTOEICを片付けて東工大の英語の対策をするようにしましょう。
システム英単語 おすすめ度:★★★★★
単語帳は大学受験用のものなら何でもいいと思うけど、やっぱり大学受験で圧倒的なシェアを誇っていて、単語の収録語数も申し分ないシステム英単語がおすすめです。
300周はして完璧に覚えました。
英熟語ターゲット R おすすめ度:★★★★☆
東工大の赤本をやると熟語力が欠如していることが原因で失点していることに気づいたので春休みの間にやりました。
速読用に英文ついていた方が良いのかなと思ってあえてこっちを買いましたが、一度もつかわなかったので英熟語ターゲット1000をやってもいいと思います。
英文解釈の技術100 おすすめ度:★★★★★
英文解釈の基礎固め用に使いました。ポレポレもやったのですが、こっちの方が解説とか丁寧だし、演習量も多いのでおすすめです。
基礎 英文解釈の技術100もやりました。
肘井 学の読解のための英文法が面白いほどわかる本 難関大編 おすすめ度:★★★★★
難しめの英文構造の把握が苦手だったのでやってみることにしました。
難易度の高い和訳問題が丁寧に解説されていて、非常におすすめです。
Vintage 4th Edition おすすめ度:★★☆☆☆
英文整序が苦手だったのでこの本の英文整序問題のみをやりました。
難問が多くて実力付ける意味では役に立ったけど英文整序のためだけに買うのはコスパ最悪だし、東工大の編入試験に出るような、長めの文の整序問題が少なかったのでこの本だけじゃ対策が不十分に感じました。
門脇 渉の英語整序問題が面白いほど解ける本 おすすめ度:★★★★☆
整序問題の対策がまだ足りないということで、Sくんと農工大受験後に丸善 丸の内本店に行って購入しました。
英文整序問題はこの本だけで固まると思います。解説も充実していて、理解しやすいです。
基礎英語長文問題精講 おすすめ度:★★★★★
英語長文に慣れるために買いました。本に「基礎」とあるけどまったくそんなことはなくて、文章レベルも東工大の英語と同じくらいか、ちょっとだけ易しめ、くらいの難易度なので気を付けてください。
自分は基礎が出来てるから…と無印の英語長文問題精講を買うと、東工大の出題傾向と逸れていて、役に立たないかもしれないです。
この参考書の文章は有名な作品から引っ張ってきているものが多くて、読んでて楽しかったです。
基礎英作文問題精講 おすすめ度:★★★★★
英作文はほとんどこの本のみで対策をしました。
英作文の書き方について徹底的に解説されており、演習問題も50個あって充実しています。
筆者もあの竹岡広信なので安心です。
1日1個英作文を書くことを心掛け、Grammarlyに添削してもらいました。
東工大の英語20ヵ年 おすすめ度:★★★★☆
東工大の編入試験の英語は、高校生が受験する東工大の一般入試と出題傾向がかなり似ているため、赤本をやることは編入試験の実践的な練習に最適です。
2011年より前の年度は、長文が大問1でもA4 3枚程度しかなくかなり難易度が下がるのでやらなくていいと思います。
和文英訳だけ編入では出ないので飛ばして、あとの問題はやりました。
実践模試演習 東京工業大学への英語 2021 おすすめ度:★★★★★
赤本終わった後は次に青本と呼ばれている、この本をやりました。
この本は駿台の東工大本番レベル模試の英語試験の問題が9回分収録されていて、赤本と比較すると非常に解説が丁寧で、また配点に加えて採点基準まで詳しく載っているため正確に自分の今の英語力を知ることができます。
またこの本は赤本や編入試験の英語よりも少しレベルが高いため、この本をやった後に編入試験の英語をやると簡単に感じてスラスラ解けるようになります。この本のおかげで英語の点数が上がったと思っています。
英語はここで紹介した本以外にも、4年前期から色々やったのですがいまいち役に立ったか分からないので、基本的に4年後期後半からやった参考書のみの紹介に留めておきます。
過去問
過去問のおかげで学力が上がったということが結構ありました。特に物理。
一応やった過去問を箇条書きで挙げておきます。
東工大(全教科)
電通大(全教科)
農工大(物理・数学・専門)
東大(物理のみ)
阪大(物理のみ)
名古屋大学(物理のみ)
京都工芸繊維大学(物理のみ)
面接
面接対策について書かれていない体験記が多いためあえてここで書くことにします。
自分は昔から人と喋るのがどっちかというと苦手な方で、特に面接みたいな緊張する場所だと頭が回らずに変なことを言ったり、言葉が出なくなったりしてしまうため面接が苦手でした。
なので面接点がもし仮に存在すると、相対的に不利になってしまうので、他の人よりも力を入れて面接対策に取り組みました。
まず、想定される質問の解答例を作成するために、農工大の編入試験に合格したアナデジアン先輩の体験記から、以下のファイルを入手しました。
このファイルを開くと分かるように、よくある質問がまとめてあります。
自分は箇条書きで理想的な回答を作り、hanaselのような面接対策アプリで演習しました。箇条書きというのがミソで、文章を作ってそれを覚えようとすると必ず本番で緊張で忘れちゃうので、要点だけを覚えてあとは自分の言葉で喋りましょう。
あとは研究室の先生や就職が既に決まっている友達に頼んで、面接練習をしてもらいました。
試験前日
前日の昼前には東京につきました。
ちなみに宿は東横INN品川旗の台駅南口というところに泊まりました。
東京に着いてから16時からしかチェックインできないことに気づき、仕方ないので快活クラブに入ってちょっと勉強して、荷物置いたまま大岡山に向かい16時に待ち合わせしていたSくんとYくんに合流して、試験会場の下見をしました。
ここで受験者数が67人ということを知り、事前に情報を仕入れていた通り、去年よりも倍率がかなり下がったので安心しました。
そのあとは事前に作っておいた各科目の最終確認の紙を見ながら復習を行い、10時頃に就寝….するつもりでした。
というのも東工大のあの鬼畜な問題に立ち向かうためには十分な睡眠が不可欠なため、この日は細心の注意を払いました。
風呂に入った直後だと交感神経が刺激され眠れなくなるので8時頃に入浴を済ませ、わざわざビジネスホテルでお湯を沸かして肩までしっかり浸かり、寝る前にはヤクルト1000をコンビニで買って飲みました。
で、ベッドに入って目をつむるのですが、なぜかこの時本当に寝れませんでした。
結局朝の5:00まで1回も目を開けないまま寝れないままの状態で1夜を過ごし、試験当日は睡眠時間0時間0分という最悪のコンディションで迎えました。
正直絶対落ちたわ…とこの時点で絶望しましたが、メンタルやられたらそれこそパフォーマンスに影響するので、目をつむってたから寝てたのと同じやろ!と開き直って試験会場に向かいました。
試験1日目
試験開始40分前くらいに入場しましたが半分くらいの人が既に着席して勉強していました。
自分の前の人がいつまで経っても来なくて、受験辞退したのかなと思っていたら受験開始1分前くらいにダッシュで来てビビりました。
これユッケさんの体験記で見たやつじゃんと思いながら数学の試験が始まりました。
数学
試験開始の合図があり、問題を見るとぱっと見た感じでR6より難化してそうだったので絶望しつつ必死に解いていきました。
大問1
この問題は割と簡単で、見た瞬間方針が分かったのでとりあえずグラフを書いてみることにしました。
そしたら半径4の円であるD1の領域の内部に、楕円形のD2の領域が入り込んだ形のグラフが得られました。
これはすごく単純で、D1、D2でそれぞれ与えられた関数の積分をしてそれらの値を $${I_1}$$、$${I_2}$$、とすると$${I_1-I_2}$$を計算しろ という問題と言い換えることができます。
重積分もD2は少し計算重かったけれど例年と比べたら軽いほうで、この問題は完答できたと思います。
大問2
この問題も見た瞬間方針が立ちましたが確信が持てなかったのでとりあえず飛ばして大問3に行くも、大問2の方が簡単だったのでこの問題を次に解くことに決めました。
この方針があってるか未だにわからないので間違ってたら言ってほしいのですが、分母が$${x^2+y^2}$$という形になっているのがヒントで、極座標系に変換して$${r \to 0}$$としたときに収束し、かつ$${\theta}$$によらずに値が一意に定まる条件を求めよ という問題だと思います。
この方針があってると仮定すると、記述もしっかり書いたし、割と適切っぽい必要十分条件が答えとして得られたので完答できたと思います。
大問3
小問1がどうしても計算が楽になるような解き方が見つからず、小問2から解くことにしました。
この小問も割と意味不明でしたがBが実対称行列になってることに気づき、ということは直行行列で対角化可能である、というところから方針を立てて合ってるか分からないけど何とか解くことができました。
小問1は大問4に取り組んだ後に解いたのですが、残り時間が少なかったため「解法見つけてる場合じゃねぇ!」とケーリー・ハミルトンの定理を何回も使うゴリ押し的な解法で解き、$${A^{10}}$$を求めたタイミングで試験終わりの合図がなりました。なので小問1は途中までしか解いてないです。
大問4
正直この大問を見た瞬間ほとんどの人が解けない捨て問だと分かったので、この大問以外に全振りしました。
そのため小問1の固有値だけ求めて、あとは白紙です。
いつもの過去問演習より手応えないとはいえ、去年の体験記でも数学10点の人が多かったのにさらに体感難化してたことと、試験後のSくんとYくんが絶望していたのを考えると、数学で差をつけられてはいないだろうと思いました。
予想は部分点くれて計算ミス等してないなら5割~7割くらい?
物理
試験開始前に、解答用紙に答えを書く欄しかないことに気づき、部分点が与えられないと察して結構ショックでした。
去年と逆で、大問1が難化していて、大問3が易化しました。
大問1が初っ端からぱっと見で分からず、かなり動揺しながら大問2→大問3→大問1の順で解くことに決めました。
大問1
1番最後に解きましたが、この大問には40分くらい時間を使いました。
どんな方針で解いたか忘れたけど(7)まで解いたと思います。
試験終了直前になって、絶対解き方違うわと思った記憶があるのでこの大問はほとんど点数がないと思います。
さらに、東工大受験が終わった翌日の朝に軽く見直してみたら、唯一正解してそうな運動方程式で、ばねの自然長$${l}$$を引き忘れるというとんでもないミスが発覚し、絶対落ちたと思ってその日の夜に親の前で号泣しました。
大問2
計算量が重いものの基礎的な内容で、(6)まではスラスラ解き進められました。しかし(7)で、問題用紙には係数が$${\frac{2}{3}}$$となっているのに対して計算した答えがどうしても$${\frac{4}{3}}$$になり、どこかで計算ミスしていることが発覚しました。係数が違っただけなので(7)と(8)は解き進めれたものの、力学に時間を取られて最後までどこで計算ミスしているかを見つけることができませんでした。
大問3
(5)までがカルノーサイクルの基本的な問題で、(6)からが冷却器の問題でした。
冷却器は差が付く問題だったけど、事前に作っておいた最終確認の紙に復習するよう書いてあったので直前に復習しており、この問題も多分完答できました。
手ごたえは4割~5割しか取れてなさそう。やらかしました。
化学
物理の試験の手応えがよくなかったし、数学も難化してたので化学で挽回しようと思いながら化学の問題用紙をめくりました。
大問1は標準的な難易度だったと思います。高校無機で、アルミニウムについての出題でした。
大問2も高校無機分野で、pHの計算と正塩、酸性塩、塩基性塩についての出題でした。正塩、酸性塩、塩基性塩が分からず、かなりの問題を落としました。
大問1、2を解いた時点であれだけ勉強した大学無機分野が出ずに、暗記問題が多く出題されていつもより解けず、焦りだしました。
大問3が理想気体の状態方程式とファンデルワールスの状態方程式で、難易度としては標準的な問題だったと思います。
臨界点の体積を求める問題で、二階微分をして方程式を解く必要があるのですが、どこかで計算ミスをしたらしく解けませんでした。なのでそれ以降の問題は白紙です。
大問4は化学平衡の計算問題で、これが個人的に1番簡単でした。
時間なくて焦って一番最後の問題を飛ばしたのですが、それ以外は出来ました。
計算ミスをしても計算しなおさず、大問4の最後の問題を飛ばした理由は有機化学の時間を確保するためでした。
有機化学は化学の中でも一番点数が安定していたので、ここで挽回しようと次のページをめくり、絶望しました。
大問5は高校有機化学の構造決定からの出題でした。
一番最初の問題はすぐ解けたものの、不斉炭素原子を2つもつが分子内に対称面があり旋光性を示さない化合物であるAの構造が分からず、Aが分からないとその下の問題が解けないようになっていたのでこの問題はほぼ白紙です。
大問6は高校有機化学と大学有機化学からの出題でした。
基本的な問題は解けたものの、ニトロベンゼンをスズと濃塩酸で還元した化学反応式が分からず、またアニリンに無水酢酸を作用させてアセトアニリドが発生する反応を知らず、アニリンのNじゃなくベンゼン環のCが求核攻撃するとなぜか思ってしまい間違えました。
さらに、アニリンはNH2-なのにNH3-にするというとんでもないミスをやらかしていることも発覚しました。
試験終了後、大やらかししたと思いました。
今思うと解けたなーと思う問題を飛ばして、解けない問題に時間を費やしてしまいました。
手ごたえは3割~4割しか取れてないです。
1日目を終えて、過去問演習では安定して7割以上取れていて自信があった物理と化学でボッコボコにされたので正直落ちたと思いましたが、SくんとY君も同じくらいの手応えなのと、まだ英語でギリ耐えれるくらいのやらかし具合だと思ったので明日の英語と面接で実力出しきることだけ考えるようにしました。
睡眠不足により眠気が凄かったので、SくんとYくんで明日の面接の下見に行き、東工大の近くの牛丼屋で一緒に夜ご飯を食べたあとに、帰宅してすぐ就寝しました。
試験2日目
自分の前の子がこの日も問題用紙が配布されたあとに試験会場に入ってきたのでびっくりしました。
また、試験1日目が大分難しかったからか諦めて帰る人がたくさんいて、英語の試験を受けた受験生は43人だったみたいです。
英語
表紙に問題冊子が12ページと書かれていたので、例年よりは簡単めで、去年よりは難しめなのかなと思いながら試験開始の合図を待ちました。
試験開始の合図がなり、大問2→大問1の順番で解いていきました。
今年は英語がとても簡単な年だったと思います。和訳問題や英文整序問題も簡単な問題が多く、記号問題も問われている文章の前後を読めば解ける問題が多かったです。
大問1の内容一致問題以外は全部自信あって、試験後にTAKI PLAZAでYくんと答え合わせしたら大問2は全部答えが一致しました。
手応えとしてはケアレスミスも考慮して7~8割は取れているんじゃないかなと思います。
面接
電気電子系と同じ控室に集合して、各系ごとに前の人の面接が終わったら先生が次の人を呼んで、荷物を持って面接室に行く感じです。
電気電子系と比較して情報通信系はかなり面接時間が長く、1人15分程度でした。
情報通信系は3人だったのですが、自分は2番目でした。相変わらず前の子がギリギリで来たので、その間ずっと自分が先に面接することになるんじゃないかと緊張してました。面接の内容は、
まず、東工大に対しての志望理由を教えて
あなたの学科や部活動(ロボコン)に関連しそうなシステム制御系もあるけれど、なんで情報通信系を志望したの?
高専ロボコンではなにをやっていたの?
(国技館に出場したと言ったことに対して)どのようなロボットを作ったの?
(電気班長を担当したと言ったことに対して)あなたの部活動では何班長と何班長があるの?
卒業研究では何をやっているか教えて
卒業研究では実物を弄るだけ?それともPC上のシュミレータも使って研究するの?
卒業研究では他には何かやっていることがある?
東工大にもし入ったとしたら、何をやりたい?
ロボコンやってたってことは、うちの大学のロ技研とかに興味持ってたりする?
具体的に研究室を挙げてくれたけど、その研究室で何をやりたい?
バーチャルリアリティとか、ヒューマンインターフェースには興味ないの?
筆記試験の出来はどうだった?
物理と数学だったらどっちの方が得意?
大学院には進学する予定なの?
東工大に入ったら寮で生活する?それともどっか宿をさがすの?
全く想定していなかった質問が結構あり、数秒間沈黙して考えたりしながらもなんとか答えました。
最初はかなり穏やかな雰囲気で、特に高専ロボコンについてはかなりウケがよかったです。
ただ研究室で何をやりたいかという質問あたりで少し空気が変わり、多分先生を納得させるような解答を言うことが出来ていないような感じだったので手応えとしてはあまりよくなかったです。
試験後はYくんとTAKI PLAZAでしばらく喋ったあとにSくんと合流して、3人で色々雑談した後にラーメンを食べに行きました。
試験の手応えとしては最初は五分五分だと思っていたのですが、時間がたつにつれて病んでいき、合格発表前には9割落ちただろうと思うようになりました。
合格発表
1年半も勉強して、しかも受かるかどうか五分五分の試験の結果をpdf開いてすぐ確認するのはなんとなく嫌だったのでGoogle Colabでpdfをテキストに変換し、合格判定してくれるコードを事前に書いておきました。
合格発表の日の12時前になり、編入合格者の受験番号が書かれたpdfが公式サイトに掲載されたので早速ダウンロードして情報通信系の合格者の数が分かるスクリプトを動かしてみました。
「情報通信系の合格者の数:1」
この文字が表示された瞬間かなり絶望しました。なぜなら試験の手応え的に3人中1人になるような出来ではとてもなかったからです。
半分こりゃ落ちたなと思いながら、受験番号を入力して合格判定をするスクリプトを動かしてみました。
結果は.... お め で と う 合格です!
この文字が表示された瞬間叫びながらpdfを確認してみました。確かに自分の受験番号がそこにありました。
すぐに友達にDiscordで電話して、またお世話になった先生に感謝のメッセージを送りました。
成績開示
概ね予想通り。
数学 手応えとほぼ同じ
物理 手応えより10点ほど高い
化学 手応えより10点ほど高い
英語 手応えより10点ほど低い
採点に関しては、数学と英語がやや厳しめで、物理と化学は甘めだと思いました。
今年も5割切ってる人が結構いるので、東工大の近年のボーダーは5割前後だと思っていいと思います。
ただ、このボーダーはその年の問題の難易度で大きく変動すると思うので、最低でも6割を目標に頑張ってください。
いかがだったでしょうか。
読みやすさを重視するために書く内容をかなり絞って書いたつもりだったのですが、いろいろ書いてて気づいたらこんなに長くなっていました。
編入受験期は正直、周りが遊んでる中勉強しなくてはいけないということと、こんだけ苦しんで結局推薦で行けた大学にしか受からなかったらどうしよう、というプレッシャーでかなりきつく、もう二度と経験したくないのですが、編入仲間と協力して勉強したり、毎日本気で勉強に取り組んだという経験から、自分を成長させてくれた面もあったと思っています。
また、受験期に集めた過去問等の解答については、SくんとYくんで相談して決めますがnoteで売ろうと考えています。決まったらXかこの体験記内に詳しく書くと思います。
→絶賛販売中です(2024年11月10日 追記)
計算したら1年半での総勉強時間は約3600時間でした。東工大受験生としては平均的か、少し多めだと思います。
Xのアカウントは @TakenMaker なので、DMしてくだされば返信遅いかもしれないけれど必ず返します。
最後に、この体験記が誰かの合格の一助になることを願っています。