ニュースで取り上げられたこともあって、読んでみました。
参考までに読んだつもりでしたが、いつのまにか本の中に惹き込まれていました。稀有な体験の”証言ものノンフィクション”と思って読み始めましたが、これは人生訓にみちた”自伝もの”でした。私は山口氏の生き様に感服させられました。
(山口彊 - Wikipedia)
情に流されることなく語られる事実は重く、それも通過点とされる山口氏の生きる姿勢は整体で言うところの「全生」そのものと思いました。
引用を挟みながらご紹介します。
若い頃に短歌を学んだ山口氏は、自身の短歌観を「主観を盛り込もうとしては詠めない」「主観は写生する中で自然と表れるもの」としています。それは山口氏の人生観とも重なるものに思えます。また、本の中での克明な記述にも表れています。90才にしてこの筆力、プロの作家にも比肩すると思うのですが、如何でしょうか。
山口氏は出張先の広島で被爆し、翌日(8/7)の臨時汽車で長崎に帰ります(到着8/8)。その翌日会社に出向き、原爆の報告とアドバイスをしています。
「爆風でガラスが飛散するため窓を開けておいたほうがいいこと、ピカッと光ったら何か頑丈なもののかげに隠れること・・・」
しかし新型爆弾の想像を絶する威力は、なかなか信じてもらえなかったようです。
「人から言われて、私の心臓は動くわけではない」
自分が生きていることに、どれほどの確信を持っているだろうか?自問させられます。実感と言い換えてもいい、リアリティでもいい、そういうふうに生きること、その強さを考えさせられます。
引用だらけになってしまいましたが、これ以上多言を弄するよりも、ご一読をお勧めいたします。
【参考】
『ヒロシマ・ナガサキ 二重被爆』の旧版↓
『生かされている命 - 広島・長崎 「二重被爆者」、90歳からの証言』講談社2007
映画『二重被爆』アジアンドキュメンタリーでご覧になれます。
お孫さんが語り部を引き継がれました。【祖父は広島と長崎で被爆】「二重被爆者」の孫がみたG7広島サミット-YouTube
初出:2011年2月10日 別ブログにて
加筆修正して引っ越し転載。