18.哺乳類の棘突起の観察 その1
骨格標本の観察ポイントとして、棘突起を取り上げます。
チーター
出典元:Skeletons! – Museum of Zoology Blog
チーターの運動性は哺乳類の中でも特化度合いが高いので、その骨格も分かりやすいものとなっております。
胸椎の棘突起が後方へ倒れ、腰椎の棘突起が前方に倒れております。これは胸椎と腰椎で反対方向に動くことを意味しております。(厳密にいうと、境目は下部胸椎)
チーターは猛烈な瞬発力で地面を蹴り、その背骨は激しく「丸まる反らす」を繰り返します。背骨を丸めるときと反らすときで椎体が反対方向に動いているとみております。
ウマ
Horse Skeleton Photograph by Elisabeth Weiland - Fine Art America
ウマの棘突起はチーターに比べて平たくなっております。背骨の丸める反らす運動がないことが見て取れます。ウマの走りは、頭を前方に伸ばすことにより項靭帯を引き、後方の椎骨が棘上靭帯経由で引かれるところに特徴があります。
項靭帯と走り方については
イヌ
イヌも項靭帯を使う動物です。しかし背骨の丸める反らす運動も共存しております。
棘突起の太さがチーターとウマの間になります。同じように棘突起の方向も両者の間になります。このことからも、その走り方がチーターとウマの間にあることが推測できます。つまり背骨の丸める反らす運動はチーターほど激しくないが、ウマよりはずっとあるということです。
項靭帯の活用については、この画像から読み解くことはできません。
ネズミ
出典元:Rat Skeletal Structuresの図形 | Quizlet
哺乳類の祖先型に近いだろうということでネズミも取り上げてみます。
チーターに似ています。棘突起が細く、胸椎と腰椎で棘突起の方向が変わるので、背骨の丸める反らす運動の激しさを彷彿させます。また先ほどは書きませんでしたが、チーターと同様に上部胸椎にもわずかな境目があります。ネコ科もネズミ目も上部胸椎を反らすことが出来るという共通点があります。この動きは目視では分かりにくいです。なぜなら肩甲骨内縁の動きが大きくて見えにくいからです。
もうひとつ下部腰椎の棘突起が幅広く背も高いのが特徴です。おそらくこれは腰椎の丸める運動の中心がこのあたりにあるということです。一番背の高いところが丸める中心だと思います。
続きは次回にいたします。
⇓合わせてお読みいただけると幸いです。
見出し画像出典元:PPT - The Vertebral Column PowerPoint Presentation, free download - ID:4093859