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1.哺乳類誕生 順番伸展から同時伸展へ

動画で順番伸展と同時伸展の観察

カエルのジャンプです。

股関節 ⇒ 膝関節 ⇒ 足首

という順番で伸展しております。

これが哺乳類になると同時伸展になります。

カンガルーネズミです。

股関節 ・ 膝関節 ・ 足首

全てが同時に伸展しております。

「違いがよく分からない」
という方が多いかもしれません。
観点として、
「足首の反応が最初にあるかどうか」
で比較すると少し見えてくると思います。

もう少しサイズの大きいカンガルーを上げてみます。

足首の反応と同時に膝・股関節も反応しているのが見えますでしょうか。
また同時伸展と同様に、屈曲時も同時屈曲となります。

この順番伸展という概念も、同時伸展という概念も、わたしが独自見解として主張しているものです。もう10年くらい前から主張しているのですが、とくに賛同を得られたことはありません。

哺乳類の歴史

おそらく小さな哺乳類が最初にジャンプし始めたのではないかと思うのですが、体格にまさる小型恐竜なり、ヘビなりが、夜行性だったわれわれの祖先を捕食していたため、そこから逃れるために編み出した運動構造が、後肢の同時伸展だったと推測します。

上に上げたカンガルーネズミの動画はちょうどその時代を彷彿させるものです。もちろん私の推測に過ぎません。過ぎませんが、小さな者が生き残るための淘汰圧があらたな運動構造を生み出し、そこからあまたの哺乳類が分岐していった歴史を想定すると、この運動構造がいかに画期的だったか、という興奮を覚えます。

順番伸展の歴史

順番伸展は筋収縮伝播の連続によって、ひとつの働きを生み出します。これはそもそも脊椎動物の始まりにおいて、背骨に波を作り出したことに始まります。背骨が前から後ろに向かって順番に波を伝播させることによって、海の中を指向性をもって移動することが可能になりました。

この背骨における「順番伸展」という運動構造認識が、陸上生活において四肢にも転用され、陸上脊椎動物すべてがこの運動構造認識のまま多様化していきます。最強とされるティラノサウルスも、体長最大級のブロントサウルスも、ごつい体で草食獣のトリケラトプスも、すべてこの順番伸展だったと考えております。

恐竜時代に隆盛をきわめたこの順番伸展という運動構造でしたが、6,600万年前の大絶滅の後、哺乳類にその生態系を奪われていきます。その押し引きは一方的なものではなかったと思われますが、哺乳類は分岐を重ね、多様性を増していきます。一般爬虫類と両生類は大きな変化を遂げませんでしたが、恐竜の末裔、鳥類は多様化していきます。

基本形が鳥の形姿のまま、走る、飛ぶ、泳ぐ、という幅広い能力を発揮し、多様化していった鳥類は、いまだ順番伸展の運動構造のままでおります。鳥の翼の順番伸展は、カエルの後肢の順番伸展と同種のものであり、ふりかえれば背骨の波の運動構造に端を発するものです。ただし、鳥の背骨は癒合し、ほとんど動かなくなりました。ここがまた面白いところです。しかし首だけは今でも柔軟に、順番伸展しております。順番伸展という点では、ツルの首などが一番分かりやすいかもしれません。

多関節同時伸展の威力

順番伸展は、運動作用を増大させながら末端へ向かうことができます。たとえていうならムチのような作用であり、鳥の翼が分かりやすい例です。しかし末端に力が伝わるまでに一定の時間を要します。

同時伸展は、多関節それぞれに位置する筋肉を同時に発動させるため、唐突に爆発的な力を発揮し、跳躍にタイムラグが生じることもありません。また前述の動画でいえば、カエルの足はその場にしばらく残ってしまいますが、カンガルーネズミの足は一瞬でその場から消えます。これは分かりやすい優位点です。

これもこれまで誰も指摘してないのですが、跳躍するのは哺乳類だけです。より正確にいうなら、垂直に跳躍するのは哺乳類だけです。また跳躍の高さは驚異的なものであり、多少跳躍するダチョウなどの鳥類も比較対象にすらなりません。

さて順番伸展と同時伸展。運動構造としてどちらが優秀なのか?生存能力としてどちらが優位なのか?その答えは簡単には出せないのですが、狭いニッチを生きていた哺乳類が6,600万年以降多様性を拡げてこれたのは、この同時伸展という運動構造が少し有利だったおかげかもしれません。

「いやいや、横隔膜を獲得して呼吸能力が上がったからだろう」
「代謝能力が上がって恒温性を身につけたからだろう」
といったご意見もあると思います。わたしもそこは同意します。ただいくつかの優位性の中に、「多関節同時伸展」を入れるべきと思っております。これはかなり大きな要素だと思うのです。そしてこれまで誰も指摘しておりません。

今後の展開

生物学をきちんと学んだわけではないのですが、整体の研究をかねて動物の研究を重ねている内に、独自見解が山のように生まれてしまいました。年内に一定量をアウトプットしていきたいと思っております。

動画リンク切れの際は…

カエルのジャンプ
 検索用語例「frog jump slow」
 How Frogs Got Their Vertical Leap | ScienceTake - YouTube
 The Art of Frog Jumping...in Slow-Motion - YouTube

カンガルーネズミのジャンプ
 検索用語例「kangaroo rat jump slow」
 Kangaroo rat avoids rattlesnake strike - YouTube
 Kangaroo Rat (Desert is The Ideal Condition to Live) - YouTube

カンガルーのジャンプ
 検索用語例「kangaroo jump slow」
 Kangaroo (Kenguroo) slow motion hopping - YouTube


余談ですが、上野の科学博物館で「大哺乳類展3」が開催されております。これまで科博ではいくつかの哺乳類展をやっておりましたが、今回はピカイチです。ぜひ足をお運び下さい。今月いっぱいです。(〜2024.6.16)
福岡でもあるようですね。案内はこちら

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