閉じた胸(胸郭)の形 〜断章 体のはなし〜
ぶ厚い人、薄い人、広い人、狭い人、長い人、短い人、いろいろな形がある。
疲労が降り積もった代表的な形は、胸の前が落ちている、狭くなっている、閉じている人だ。
胸が狭くなって、胸骨に向かって閉じたようになってくると、呼吸が制限されます。人によってその感じ方には差がありますが、
「息が吸いきれない気がする」
「しゃべり終わらないうちに胸がつまってくる」
「いつも胸の痛み、心の痛みを感じている」
などといった感覚になります。
なにか気に入らないことを言われたとき、怖いことを空想してしまうなど、胸にキュッと硬直が入ることを繰り返していると、段々胸が閉じていきます。
単純に肉体疲労による場合もあります。手先の労働が日々限界を超えていると、やはり胸が閉じていきます。
閉じたものを胸骨で受けていると、胸骨が硬くなります。
下がったものを肋骨で受けていると、肋骨が硬く張り出してきます。
下がったものをみぞおちで受けていると、みぞおちが硬くなります。みぞおちが硬くなると、心理的な緊張が続くため、いつも神経質な印象となります。
胸骨を指先でトントンと叩いてみると、力を受けているところは高い音が鳴ります。そこが急所となります。蒸しタオルをあてると解消していきます。
両腕を開いて、胸骨、肋骨の硬いところを引くことである程度解消していきます。
みぞおちが硬い人は蒸しタオルが一番有効です。
歌謡曲の多くは、「胸の痛み」を感じさせることで共感を呼びます。歌い手も胸を痛めるような歌い方となります。そのことで癒やされる面がもちろんあるので、よかったりわるかったりです。
「胸の痛み」の心地よさは文芸にはよくみられるもので、「結核文学」などはその最たるものと思います。そうした人間の創作活動の素晴らしさを知ることで、胸を開放する方向も知れると思います。痛みが残ることもあるのですが、楽になることもあるという意味です。