夜空

思い出には匂いがある

ちょっと暖かくなってきただけで、何だかテンションが少し上がる。でもスノーボードのシーズンが終わると思うと少し寂しくもある。


初めてスキーをしたのが中学1年生の年末年始だった。親戚のおじさんに連れられ、おじさんの会社の仲間達に混じり、夜行バスに揺られて信州まで行った。


今思えば、何で家族の中で僕一人だけスキーに行く経緯になったのか全く思い出せない。過去を振り返らない性格のせいか、当時の事はうっすらとしか思い出せず、おじさん以外のメンバーなんて誰一人として記憶に無い。


当時のバスは喫煙がOKだったので、めちゃくちゃ煙たい車内だった事はうっすらと覚えていて、夜中に休憩の為に停車した高速道路のSAでは、トイレに行かなくても毎回外に出ていた。

深夜に外を出歩くのは中1の僕にとってはあまり経験の無いことなので、どこかウキウキしていた。


外に出ると僕は、大きく何回も息を吸っていた。

排気ガスとガソリンの匂いが混じった、冬の夜の冷たく澄んだ空気。

そのSAの匂いが好きだった。


それから19歳までスキーを続け、20歳でスノボに転向し、現在もスノボを続けている。(転向と言っても競技してるわけではなく趣味として・・・)


高校2年生の時の修学旅行が白馬へのスキーだった。おじさんのおかげで僕は全クラス約550人の中から10名ほどしかいない上級者班に入ることができ、少しばかりクラスメイトにカッコをつけれた。(おかげでスキーしている間は仲のいいクラスメイトと別行動だったが・・・)


おじさんのおかげと書いたが、スキーに行かせてくれた両親のおかげでもある。決して裕福とは言えなかった当時、スキーウェアを買ってくれ、旅費やレンタルスキー代、リフト券代を出してくれた両親に感謝しかない。(今度実家に帰ったら、なぜ僕をスキーに行かせたのか聞いてみよ。)



春になるにつれて、あの匂いが無くなると思うと何だか切なくなる。

今でも、あの匂いが好きだ。


僕にとって冬のあの匂いは、一つの大事な思い出の匂いなのである。






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