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読書感想「旅のラゴス」


今回もアドビフレスコの練習で絵を描いてみました

筒井康隆の本は七瀬シリーズしか読んだ事が無かったのですが、七瀬シリーズより爽やかな印象でした。
ラゴスという男性の、一生をかけた旅の物語です。なぜ旅をするのか、目的はなかなか明かされないままに、道中に出会った不思議な人や生き物、事件が語られるのですが、割とあっさりとしています。
この淡々とした語り口は好き嫌い分かれそうですが、私は好きです。
一歩引いた語りによって、ラゴスよりも周囲の人たちに感情移入しやすかったです。
あと、ずっと目的が分からず旅の風景だけでも良いな。と思えるくらい、細部の描写が楽しかったです。

Amazonのレビューを見ると、期待を裏切られた、つまらなかった……というレビューが結構沢山ありました。確かに派手なSFを期待すると肩透かしと感じそうです。
この本はある程度年を取ってから読むと味わい深いタイプの本であるように思います。
大きな歴史の流れの中で自分という人間は何をするのか……とか、人生の残り時間を意識して俯瞰し始めた時が読み時です。特に後半。

そういう意味では、年の近い友人が最近亡くなって、色々考え始めて、遺書を書いてみたりしている自分は丁度いいタイミングで読めたのかもしれません。

ラストは「え?こんな風に終わるんだ!」と思いました。そういえば、「七瀬ふたたび」と「エディプスの恋人」でもそう思った覚えがあります。この二作の終わり方はやや不満だったのですが、「旅のラゴス」のラストはとても良かったです。
泣きました。
涙腺弱いんで、すぐ泣くんですが……


筒井康隆で次読むとしたらコレかなあ。

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いそら みしん
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