見出し画像

vol.3 「いのち」への責任【2】ーー心ある医療者はなぜ患者を縛れたのか

患者の身体を縛る医療者は、そのときどんな気持ちになるのだろうか。前回、その経験がある看護師の次の言葉を紹介した。

最初はしょうがないなって思った。こういうふうに危険を防止するんだって。先輩に教えてもらうままにやった。でも抑制されている患者さんたちを大勢見ると、抜け出そうとしている……。そりゃ、縛られるのは嫌だよね。そういう姿を見ると、「縛っていいのかな」っていう気分になった。でも、(抑制を)外してしまったら、命にかかわる場合もある。だから、しょうがないっていうのもあって。そういう気持ちで縛っていたかな。「必要なことだ」と思って。

ここから先は

2,589字
この記事のみ ¥ 100

お読みくださりありがとうございます。いただいたサポートは、フィールドワークの旅費、書籍購入など、今後の研究と執筆活動のために大切に使わせていただきます。