つみろん(積み論文消化ラボ)No.号外
薬剤抵抗性てんかんに対するブリバラセタム追加療法
Brivaracetam add-on therapy for drug-resistant epilepsy
PMID:35285519
研究背景:
てんかん患者の約30%は従来の抗てんかん薬治療に十分に反応せず、複数の薬剤を組み合わせた治療を必要とする。ブリバラセタムは新しい抗てんかん薬であり、その有効性と忍容性を評価する必要がある。
研究デザイン:
システマティックレビューとメタアナリシス
PICO:
P (Patient):
- 薬剤抵抗性てんかん患者
- 16歳以上の成人
I (Intervention):
- ブリバラセタム追加療法
C (Comparison):
- プラセボ
O (Outcome):
- 発作頻度50%以上減少率
- 発作消失率
- 治療中止率
- 有害事象による治療中止率
- 有害事象発現率
研究結果:
一次アウトカム:
発作頻度50%以上減少率: RR 1.81 (95% CI 1.53-2.14)
NNT = 6.5
その他のアウトカム:
- 発作消失率: RR 5.89 (95% CI 2.30-15.13)
- 治療中止率: RR 1.27 (95% CI 0.94-1.74)
- 有害事象による治療中止率: RR 1.54 (95% CI 1.02-2.33)
- 有害事象発現率: RR 1.08 (95% CI 1.00-1.17)
重篤な有害事象:
重篤な有害事象に関する具体的な報告はなかった。
研究の限界:
- 小児患者や全般発作のてんかん患者に関するデータが限られている
- 長期的な有効性と安全性に関するデータが不足している
- すべての研究が製薬会社の資金提供を受けており、資金提供バイアスの可能性がある
要約:
この研究は、薬剤抵抗性てんかんの成人患者に対するブリバラセタム追加療法の有効性と安全性を評価するために、6つのランダム化比較試験(2411人の参加者)を分析した。結果、ブリバラセタムはプラセボと比較して発作頻度を50%以上減少させる可能性が高く(NNT=6.5)、発作消失率も高かった。しかし、有害事象による治療中止率もやや高かった。全体的に、ブリバラセタムは薬剤抵抗性の局在関連てんかんを持つ成人に対して、比較的忍容性が高く効果的な追加療法であることが示唆された。ただし、小児や全般発作のてんかん患者に対する効果は不明確であり、長期的な安全性と有効性に関するさらなる研究が必要である。