ネカフェのように個室化するビジネスクラスシートについて思うこと
最近の国際線ビジネスクラスのシートは続々と個室化が進んでいます。一方でファーストクラスはどんどん廃止されています。ビジネスクラスはかつてのファーストクラスに近い存在になっているとも言えます。
今回は個室化が進む国際線ビジネスクラスシートについて思うところを、実体験と想像を交えながら考えてみたいと思います。特定の航空会社のシートを批判したいのではなく、個室化は本当に我々乗客にとって快適なのかという問いかけです。
下の写真は、ANAのTHE Roomと呼ばれるシートです。写真はANAさんのサイトから持ってきました。機材はB777です。
通路側には開閉できるドアがあります。窓の位置から推測すると、ドアを含めた仕切りのための「壁」の上端は110センチ程度と思われます。これはおそらく航空法か何かで天井まで覆うような設定は認められないのだと思います。仮に少し高めの120センチだとして、シートに座れば隣席の視線は全く感じられないはずです。通路を歩けば完全に見えると経験的にも思います。
ドアを閉めると「私だけの空間」になります。
私がすごく気になるのは下の俯瞰写真です。なんかすごく息苦しく思えませんか?ただでさえ狭い飛行機の中で、どうしてこんなブロイラーのゲージみたいな中に閉じこもらなければならないのでしょう。THE Roomは未経験なので正確なことは言えませんが、写真から受ける印象はネカフェの超狭い個室みたいに思えてならないのです。
レイアウトをSeatGuruで検索すると、最近あまり正確とは言えませんけどこんな感じです。
1-2-1で、一列おきにシートの向きが進行方向に対して180度変わります。このレイアウトはアメリカン航空などで私も経験していますが、後ろ向きに座る事自体に違和感はほとんど感じません。
では、比較対象としてカタール航空の最新ではない少し古いシートです。これは実際に搭乗した時の写真です。機材は同じB777です。このとき私は7Aで、隣席は空席でした。
当たり前といえば当たり前ですが、とにかく開放感があります。広いとか狭いとか議論したところで、所詮は機材が同じB777ですので、物理サイズは一定です。
ではここで「壁」の高さを写真を拡大して比べてみます。
20センチほどの仕切り壁の高さの差があることがわかります。これは個室ドアの有無以上に、閉塞感に直結するのではないかと私は思います。
また、同じ室内幅のB777に、1-2-1で4席分をレイアウトするのと、2-2-2で6席分をレイアウトするのとでは、通路幅や肘掛けなどで調整はあるにせよ、占有空間の幅の差は当然出てきます。なお前後方向、いわゆるシートピッチはどちらも主翼の先端までに12席配置されているので殆ど変わらないと思います。
カタール航空の場合は、隣席が空いていれば広くて開放的で快適だと、私は思います。隣席が見知らぬ人に専有されていた場合にどう感じるかは、人によって千差万別だと思います。
ある記事で読んだのですが、「個室化すると隣席の人と話す機会が減るのはよくない」という意見です。
此処から先はその人の好みや嗜好や国民性によって差が出ると思いますけど、見知らぬ人と話すというのは、楽しい場合もあると思うのです。まあ日本人はこれは相当不得意なところだと思います。不得意どころか、見知らぬ隣の人に話しかけられると、不信感や嫌悪感や警戒感を感じる人が多いのは承知しています。
参考として私がこれまでに搭乗したシートの一例をコメントとともに載せておきます。半分くらいはインボラアップグレードかマイレージ利用の特典券です。
コロナ以降、飛行機を利用した移動はそれまでとは激変しました。運賃、マイレージ、会員ステイタス、LCC、ラウンジ、クレジットカード付帯保険などです。
ビジネスクラスのシートの個室化は、そんな変化の一つのように思います。