自分の知らなかった自分に出会えた夏休み(2)
(前回の続きです。)
さて、我が家の夏休みと言えば、主人の仕事の関係で家族旅行がなかなかできません。しかも、子どもたちが大きくなると、部活やら習い事やらスケジュールが埋まり、日程調整するだけで疲労困憊…。今年の夏も、イベント的お出かけと言えば、早朝から午前中で完結する「夏休み全国巡回ラジオ体操in岡山」に参加したくらいでした(苦笑)。
そんな我が家ですが、3人の子どもたちはそれぞれいろんな体験を通して、自分の知らなかった自分に出会えた夏だったようです。一足早くに夏休みをとった(西日本豪雨のため臨時休校になった)長男のエピソードは、先日のエッセーでご紹介しましたが、長女は3年間がんばってきた部活動を引退し、燃え尽き症候群になる間もなく「夏ボラ(夏休みボランティア)」に参加しました。
元々ボランティア精神が高いわけでもなく、「休みは家にこもってダラダラしたい」派なので、「夏ボラ…何しようかなぁ~~」と、決める前からヤル気なしの長女。「行きたいところがなければ『長船夏祭り』のボランティアをしたら?今年から実行委員が大学生になったし、お母さんも学校(※)から出店する2チームの引率をするから!ヨロシク♪との誘い言葉に、長女は軽い気持ちでノミネートしました。
(※)いま、日本でITビジネスを学ぶ留学生のために、日本での多様なヒト・モノ・コトとの出会いを創出し、体験的に学べる授業の非常勤講師をしています)」
「長船夏祭り」とは、4年前、高校を卒業したあと、大学や就職などで地元を離れ都会に行った若者たちが、結婚・出産を機にUターン。戻ってみると、地域のコミュニティ活動が激減し、子どもの頃楽しかった「夏祭り」もなくなっている!ことに愕然とし、(自分たちの子どもたちにも楽しかった夏祭りを経験させたい)一心で復活させたお祭りです。
まだ20代だった彼らは勢いで実行委員会を立ち上げ、ひと昔前にお祭りを担っていた親世代たちの協力を得ながら、いろいろな難題を克服しつつ開催にこじつけました。地元の盆踊りも絶やしてはいけない!と長船地区の3小学校や中学校、備前福岡の市(定期市)などで盆踊りレクチャーまでし、見事、大盛況。「復活!」を成し遂げました。
そんな実行委員たちも30代を超え、本業や家業が忙しくなり肉体的にも精神的にも追い込まれるようになり、持続可能性を模索していたとき、「地元が好き、地元を活性化したい!」と願う大学生たちと出会い、後を託しました。
約1年前から準備を始めた大学生たち。陰になり日向になりサポートし続けた大人たちの存在はもちろん大きいのですが、彼らの行動は、ゆるい中学生たちの心を揺すぶりました。
4日間、会場設営やら備品準備などいろいろな作業を共にした長女たち中学生。お祭りの当日となれば、テンションは最高潮。進行のお手伝いはもちろんのこと、留学生が出店したスリランカカレーやベトナム揚げ春巻きの、店の売上げペースがダウンしてきたことを察知すると、
「私、コレもって営業に行ってきま~~す」
と留学生たちから商品を預かり、
「お兄さん、こんな本格的なカレーをこんなにお安く食べられるとこないですよ~。このスパイスはスリランカから輸入しました!」
「お姉さん、この揚げ春巻きはお野菜たっぷりでとってもヘルシー!ベトナム行かないと食べられないくらいおいしいですよ」
などなど、営業トーク炸裂!まぁ売るわ売るわ……私にはできない(笑)そんなに積極性を兼ね備えていたのか
?長女の意外な一面を見せていただきました!
スリランカとベトナムからの留学生による故郷の味の屋台。中学生もボランティアとして活躍。
お祭り当日は興奮状態冷めやらず、なかなか眠れなかったようですが、翌朝6時前からの片付けにも参加。中学生は10時までという予定でしたが、結局15時まで手伝っていました。お迎えに行っても仲間たちと離れがたく、
「あ~これで終わりって辛すぎる!明日もボランティアしたい!」
「大学生のみなさんが本当に優しくて嬉しかった!女子たちみんなかわいかったなぁ~」
「誰かの“楽しい”っていうのは、こ~んな目の見えない誰かの努力で成り立ってたんやなぁ~」
などなど、こういう会話が1時間以上にわたり、私も引率や仕込み&片付けなので完全燃焼していましたので「同志!」という気分で振り返り雑談に付き合いました。
とにかく、今まで、人との出会いに積極的ではなかった長女ですが、大学生やサポートしていた大人たち、そして留学生たちとの出会いにより、自分の気づかなかった世界や自分に出会えたようです。
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