あなたのまちに、図書館はありますか(その3)
図書館のお話、第3回目です。
図書館建設にあたっての担当設計者は、プロポーザル方式で選定、最終審査は公開コンペをしました。実は私、このプロポーザルの審査員をさせていただきました。47社からご応募いただき、どれもこちらが提示していたコンセプトを反映して下さり実地調査もかなりして下さっていたので、「こんなに手間暇かけて私たちのために構想を練ってくださっている!」という思いと、「私よりもずっと前から待ち望んで活動されてこられた諸先輩方を差し置いて、市民図書館の設計業者を選ばせてもらっている」という重圧感で、まさに断腸の思いで審査させていただきました。
審査員には設計事務所名はふせられているものの、業績など拝見すればわかります。中には私がずっと憧れていた図書館を設計された事務所もありました。審査項目はたくさんありましたが、やはり決定打は……プレゼン時でのやりとりでした!私が推薦させていただいた建築士の方、大御所の雰囲気があるにも関わらず、「こんなにコンセプトが明確な建物に携われることに喜びを感じ、経験は活かしつつも初心にかえって取り組みます」とのコメントが、とても心に響きました。
シンプルで奇をてらってなくて少しつまんないように感じるかもしれませんが、この方なら、市民の思いをくみ取って臨機応変な対応ができるだけの力をお持ちだと感じました。喜ばしいことに、私の推薦した設計事務所が、見事採用されました。その後、設計事務所を交えて開催された「としょかん未来ミーティング」では、いろんな意見を反映してくださり、当初の設計案からも、大幅に変更していただきました。対応力に感謝の念に堪えません。
詳しい過程にご興味をお持ちの方は、こちらをご覧ください。
https://lib.city.setouchi.lg.jp/setouchi_lib/log.html
* 図書館内部の様子。いつも賑わっています。
「家は3回建てたら納得したものが建てられる」とよく耳にします。だがしかし!家もそうですが、図書館建設なんて大切な税金を使わせていただくもの、失敗は絶対に許されません。そのために対話と交流がいかに大切か、ということを感じてくださったらありがたいと思っています。
対話と交流を通してできた建物だからこそ、使う人それぞれが自分なりの居心地の良さを感じられ、そこにいる人たちにとって良い「対流」が生まれますもの。建物は建物が主人公ではありません。そこで暮らす人がいかに自分らしく健康で幸せに暮らせるか、が大切。
公開コンペを勝ち抜いた図面は、市民の要望をあれこれ反映し、今のカタチになりました。だから、誰にとっても気持ちのいい図書館になったのです。
貴方も、貴方のご家族もあれこれ思いがあるけどまだ漠然としているのなら、まずは付箋ワークショップからしてみては。きっとぼやっとしたときめきであふれていた思いがカタチになりますよ。
*未来ミーティングで、グループでシェアした夢や希望を発表しています。
追記:
2018年1月27日「第13回としょかん未来ミーティング もっと!も・み・わ編」が開催されました。開館後の行政と民間の図書館活動を振り返りつつ、参加者が、「わたしは、ここが好き」「(使ってみて)もう少しこうだったらいいな、これがあったらいいな」というものを書き出し、シェアしあうワークショップ。
大人は、
「せっかくの大きなガラス面を活用したアートイベントを開催したい」
「夜がステキだから影絵イベントがしたい」…
子どもたちからは、
「夜の図書館がろうそくみたいでかっこよかったから、お泊り会がしたい」
「据え置き型のハンモックを庭やテラスに置いて読書したい」
などなどたくさんの意見が集まり、またまた夢や希望が膨らみました。あえてこういう場を設けると、思いもよらないアイデアが集まります。お家を建てたあともあえて!こういう時間を作るともっと貴方にとって居心地の良い家になりそうですね。
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