84)28/07/以心電信
立場が人を作るというが、人を変えるとも言う。これまでの仕事のポジションだと愚痴の一つや二つ言っててもいいけど、ちょっと役職がつくと、いつまで文句言ってるんだ、と受け取る人も出てくる。役ってなんだろう。
YMOの『SERVICE』というアルバムには曲間に音声コンテンツがいくつか入っている。音声コンテンツというと聞こえはいいけど、内容は全てコント。その中でも初舞台で出番を待つ役者が、自分の役もセリフも忘れてしまってずっと困ってるというコントが秀逸で、このコントの後には名曲“以心電信”が控えているというシュールな内容。
結局自分の役はわからないままで、舞台は無事に終わってしまうのだが、役職も役に例えれば、そんなもんじゃないのかなと思う。ある人は偉くなった役を演じているのかもしれない。自分の役がわかってない人もこのコントのようにいるかもしれない。角度を変えて人を見てみる機会をもらったと思えば、新しい発見があるかも。そう思うと面白い。
しかしこのアルバム、どうしてこういう仕様になったのだろうか。コントを担当するメンバーは三宅裕司さん率いる劇団スーパーエキセントリックシアターのメンバーが参加しているのだが、中にはYMOのメンバーが参加しているものもある。この頃、こうした遊びが音楽にもたくさんあって面白かった。自由だった。いわゆるコラボの始まりだったのかもしれないな。