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『777 トリプルセブン』

伊坂幸太郎
角川書店 2023年

結構な新作。見つけて嬉しかった。

最初に出てきた人たちの名前が独特で、この話はどう進むのかとまず思った。
結果的には、【業者】の話だった。

私が、この著者の本に感じる感覚は、「ドライ」「飄々」。とても乾いた感じ。湿気が多くて情感過多でべたべたした、とは真反対な感覚。
そんな感じで殺人がどんどん進むものだから、それはそれでイヤーな感じがする。こういう人っているのだろうな、とも思う。これまで生きてきて経験したり本を読んで知識として知っていたりすることが、例えフィクションだとしても「ありえるかも」と思うことに通じてしまうのがなんとも残念。

しかしまあ、業界の人でも明らかにサイコパスみたいな人と、それなりに一般的な感情を持ちながらやっている人の両方が書かれているので、それでバランスを取ることになっているのかな。
最後にはどんでん返しがあって、私はやっとそこで息をつく感じだった。
考えてみれば、サイコパスな人たちが出てきたり、見たものを写真のように覚えて記憶し続けてしまう人が出てきたり、今回は脳神経に関わりそうな話でもあった。それはそれで興味があるのだけど。

スイスイ人。いるよね。私もはたから見たらそう見えるかもしれないなと思ったりする。
でも人って、外から見たのだけではやっぱり分からないよ。人には人の事情がある。

でも、その見えない事情を推察しようとしすぎると大変だから、ある程度で区切って自分なりの解釈をするしかないのだけどね。

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