『まだ誰も見たことのない「未来」の話をしよう』
語り:オードリー・タン
執筆:近藤弥生子
SB新書 2022年第1刷
台湾のデジタル担当大臣として有名になった方の本。
とは言っても、ご本人は「語り」という立場。この本を読んで初めて知ったが、オードリーさんは自身の「著作」を持っていない、なぜなら『自分自身をオープンソースにしておきたいから』。
その時点で、「面白い!」と思った。
オードリーさんが話していることや参加した会議はほぼネットで公開されていて、二次利用も可能とのこと。
私自身はとにかくデジタルとかITとかに弱くて二次利用まで考えられないけど、この人の考え方はアナログ中年の私にとって、すごく新鮮に感じた。
そして、この新鮮な新しい考え方ができるからこそのデジタル担当で、急激に変化していく世の中で力を発揮されるのだなあとしみじみと思った。
自分をオープンにすること。
オープンな環境を作ること。
それを受け入れること。
自分にとって難しいこともあるだろうけど、それができないと思う人が多いから日本は変わらないのではないかなあ。
今の台湾に学ぶことは、たくさんある。
・社会的な問題を解決するためのハッカー大会、『ハッカソン』。
・公務員の仕事をオープンにして情報をわかりやすく、ベンダーの成果物もオープンにしてよりよいものを作り上げていく。
・政府に直接意見を投稿でき、その意見に一定数の参道が集まれば政府が対応する。
などなど。
今、日本のデジタル相と言えばマイナンバーカードだけど、トラブルだらけ。そもそもシステムを作る会社はどうやって決まった?システムを作り上げる過程になあなあな点はなかった?
私自身にその才能が無いので自分勝手な言い分ではあるけど、もっと違う視点からの「デジタルだからできること」をやってほしいなあ。
今後の世代の人たちのためにできることは、『できるだけ取り返しのつかない変化を起こさないようにすること』と書いてあった。
科学の進歩で、今まで良いとされてきたことが実はそうではなかったと分かることが、度々ある。現在の判断で何かを変えるとしても、全てを変えてしまわないこと。
オードリーさんの考えには、新しさだけではなくて、思いやりを感じる。
技術だけじゃなくて、人柄も備わった人。日本にも、いるよね?活躍してもらいたいものだ。